超臨界状態ってどんな感じですか?

超臨界状態ってどんな感じですか?

授業で説明しましたが、窒素や酸素の臨界温度 Tc

Tc(N2) = −147 °C、Tc(O2) = −119 °C

とかなり低く、常温での窒素や酸素は臨界温度を超えた状態にあります。臨界温度以上では気体の圧力を高めても液体にはなりません。臨界温度を超えた温度にある物質の挙動 1)ここでいう挙動は 圧力を変えた時のモル体積の変化のこと。は理想気体の状態方程式に近く、臨界温度を超えた温度での状態が、私たちが「気体」だと思っている状態であると言って良いでしょう。

臨界温度をわずかに超えた温度で、圧力を臨界圧力 2)Pc(N2) = 3.39 MPa (33.5 atm)、Pc(O2) = 5.04 MPa (49.8 atm) 近くまで高めた、臨界点<<近傍>>の物質の挙動は「臨界タンパク光」現象をはじめとして極めて興味深いものがあります。
液相、気相、超臨界状態を利用することで、物質の構造を壊すことなく乾燥させる「超臨界乾燥」は、電子顕微鏡観察の試料調製や、物質抽出に利用されています。
また、超臨界状態のは無極性分子をよく溶かすなどあたかも「油」のようにふるまい、これを利用した研究も進められています。

2019.2 指摘により、文面を修正しました。

脚注

1 ここでいう挙動は 圧力を変えた時のモル体積の変化のこと。
2 Pc(N2) = 3.39 MPa (33.5 atm)、Pc(O2) = 5.04 MPa (49.8 atm)