式(17.6) の a2 / a1 とはいったい何を意味しているのか

式(17.6) a2 / a1 = f (EE1) の a2 / a1 とはいったい何を意味しているのか

対応する教科書の記述(p. 733)を読むと、

エネルギー E1 と E2 を持った二つの状態 1 と 2 に注目する。
エネルギー E1 と E2 の状態の、系の数は E1 と E2 に依存するはず
a1 と a2 は状態 1 と 2 にあるアンサンブル中の系の数であり、

とあります。 a2 /a1 は、二つのエネルギー状態にある系の数の比です。

  • アンサンブル中に「系」はたくさんある。すべての系の N, V, T は同じ。
    ただし各系のエネルギー E は異なる。
    (気体中に「速い分子」や「遅い分子」が存在しているのと同じように、
    (各系に含まれる分子の運動エネルギーの違いのために)「大きなエネルギーを持った系」や 「小さなエネルギーを持った系」が存在する。)
  • 系の持ちうるエネルギーは状態 1, 状態 2 … というように量子化されており、とびとびの(不連続な)エネルギーとなる。
  • ある系は状態 1237、またある系は状態 2368 というように、それぞれの系は量子化された
    いずれかのエネルギー状態にある。系はいっぱいあるので、
    状態 1 にある系はいくつ、状態 2 にある系はいくつと数えることができる。

式(17.6)は、この二つのエネルギー状態にある系の数の a2 /a1 が 両者のエネルギー差
E2E1 によって決まる、ということを言っています。

f のかたちは後で出てくるように

 \displaystyle \frac{a_2}{a_1} = \exp(-\frac{E_2-E_1}{k_{\rm B} T})  ... (17.10)&(17.16)

となります。(ボルツマン分布)

高いエネルギー状態に存在する系の数は上記ボルツマン分布の式に従い、指数的に減少します。

エネルギー準位と系の数