表19.2 にはダイヤモンドの ΔfH° が +1.90 kJ mol−1 と書いてある。ということは、グラファイトに1.90 kJ エネルギーを与えればダイヤモンドが作れちゃうということですか?

表19.2 にはダイヤモンドの ΔfH° が +1.90 kJ mol−1 と書いてある。ということは、グラファイトに1.90 kJ エネルギーを与えればダイヤモンドが作れちゃうということですか?

good question ですね。

ダイヤモンドとグラファイトの標準モル生成エンタルピーの差はわずかに
1.9 kJ mol−1 です。従って、計算上はグラファイト 12 g あたり 1.90 kJ のエネルギーを与えれば、12 g のダイヤモンドが作れちゃいます。

しかし、(授業では言いませんでしたが)実際に反応を生じさせるには「活性化状態」を経る必要があります。

そのため、かなり高い温度、圧力状態にしないとこの反応は起こりません。
(トータルで系に加えるエネルギーは 1.9 kJ mol−1 でいいのですが・・・)

標準モル生成エンタルピーは強力な手段ですが、
最初の状態と最後の状態だけを扱ったものなので、途中経過についてはなにも言えません。

これは平衡状態(最終的な安定状態)を扱う、熱力学全体にわたる弱点でもあります。