スターリングエンジンとカルノーサイクルの関係がよくわからない

スターリングエンジンとカルノーサイクルの関係がよくわからない
スターリングエンジン
スターリングエンジンの例

授業では熱が仕事に変換される実例を見せることを目的としてスターリングエンジンを紹介しました。

授業で回っていたスターリングエンジンは、
「お湯」(装置の下面)と「室温」(装置の上面)の温度差によって流れる「熱」から「仕事」をとりだし、
装置の上部の丸い金属部分を回していました。

スターリングエンジンは理想的な効率(カルノーサイクル)に「近い」熱効率を持つことで注目されています。が、スターリングエンジン = カルノーサイクルではありません。

インターネットで「スターリングエンジン 」を検索すると、いろいろな動作過程図を見つけることができます。
上記 Wikipedia にはスターリングエンジンが 4 つの過程で動作する図が出ていますが、これが授業で説明したカルノーサイクルの 4 つの過程と一致しているわけではありません。スターリングエンジンの動作機構は高温部と低温部の二つのガス部分を持つなどかなり複雑です。

カルノーサイクルは仮想的なもので、系のエントロピーも周囲のエントロピーも全く増えませんから、実際には回りません。実際に回るためには動作の中に不可逆過程を含み、いくらかでも(周囲の)エントロピーを増加させる必要があります。

カルノーサイクルの説明をしたところでスターリングエンジンを紹介したので、少し混乱させてしまいましたね。

授業で見せた「スターリングエンジン」は演示実験用に市販されているものです。
(長いこと欲しくて、ついに買ってしまいました)
http://www.stirlingengine.com/
http://www.ja.boehm-stirling.com/

他にも、学研「大人の科学」シリーズで比較的安価に販売されています。
http://otonanokagaku.net/magaz……index.html

実物を見ると ピストン部分がスポンジになっていてガスがゆっくりと抜けるようになっていたり、
板の回転と1/4位相ずれてピストンの体積が変わるようになっていたりと、
単純に見える中にもいろいろと工夫がなされていることがわかります。