ギブス-ヘルムホルム式によると G は温度の上昇とともに減少する。ということは、系の温度は自発的にどんどん上がっていってしまうということか?

ギブズ-ヘルムホルム式によると G は温度の上昇とともに減少する。ということは、系の温度は自発的にどんどん上がっていってしまうということか?

いえ、そういうわけではありません。

ギブスエネルギーは「等温、定圧の系の自発的過程の方向を決定する」(教科書22章2節)関数ですので、異なる温度の G を直接比較してもあまり意味はありません。

じゃあ G の温度依存性(G が温度によってどう変わるのか) には全然意味がないのかというと、そうでもありません。
化学変化によって変換可能な2種の化学種 A, B とか、同じ物質の氷と水のような2つの相とかのように、
2つの成分の関係が温度によってどう変わるかを考えるときに、G が温度依存性が役に立ちます。
例えばA, Bそれぞれの G が温度によってどう変わるかがわかっていれば、平衡定数の温度依存性を求めることができます。
水や氷などのそれぞれの相の G の温度依存性が温度によってどう変わるかがわかっていれば、どの温度でどちらの相が安定になるかがわかります。

なお、G の温度依存性は

 \displaystyle \left(\frac{\partial G}{\partial T}\right)_P = -S  ...(22.45)

のように –S に等しくなります。