例題19.1で、圧力を 4.00 bar で計算するのは、最後の圧力を使えばいいということですか?

例題19.1で、圧力を 4.00 bar で計算するのは、最後の圧力を使えばいいということですか?

いえ、最後の圧力を使うというわけではありません。

例題19.1は、
1.00 dm3 の容積を 2.00 bar の圧力で満たしている

0.500 dm3 まで、一定の外圧 Pex で圧縮する
時の仕事を計算するという問題です。

Pex は可能な最小の圧力とするという条件が付いています。

系を圧縮するためには、系の圧力よりも外圧の方が大きくなくてはなりません。

Pex > P

系の最終圧力は P = 4.00 bar で、これが上記の過程での系の最大圧力となります。

よって、圧縮を行うための「一定」かつ「最小」の外圧 Pex は 4.00 bar となります。

 

この問題では、系が 1.00 dm3 から 0.500 dm3 まで圧縮される間、外圧 Pex 4.00 bar という一定の圧力で、系をずーっと押し続けることになります。
従って、「4.00 bar」という圧力を使うことになります。

式(19.1) (w = - P_{\rm ex}\Delta V) は
外圧 Pex が一定のときの
式(19.2) (w = - \int P_{\rm ex}{\rm d}V)
です。 1) Δとdの違いについて  http://science.shinshu-u.ac.jp……ge=2#dandd
今は式(19.2)から計算してみます。

 \displaystyle w = - \int^{0.500 \rm\ dm^3}_{1.00 \rm\ dm^3} P_{\rm ex} {\rm d}V 

ここでは Pex は (V が変わっても) 一定なので定数として扱い、積分の外に出します。

 \displaystyle w = - P_{\rm ex} \int^{0.500 \rm\ dm^3}_{1.00 \rm\ dm^3} {\rm d}V = - P_{\rm ex} \left[ V \right]^{0.500 \rm\ dm^3}_{1.00 \rm\ dm^3}\\ \\ =-(4.00 \rm\ bar)(0.500\ dm^3 - 1.00\ dm^3) \\ \\ = 200 \rm\ J 

脚注