ビーカーの中の液体を三重点の圧力と温度にしたらどうなるか?

ビーカーの中の液体を三重点の圧力と温度にしたらどうなるか?

三重点は固相、液相、気相の3相が共存する点で、相図上の1点、
物質固有の温度、圧力で生じます。 (水の3重点は温度の基準として使われている。)

三重点に物質を置くと、わずかな温度の変化で沸騰や凝固が生じます。
実際には
温度が下がって一部が凝固 → 生じた凝固熱によって残りの部分が沸騰
とか、
一部が沸騰 → 奪われた気化熱によって残りの部分が凝固
など、(物質中に温度のゆらぎが生じるため)複雑な現象が起こります。

下記に、シクロヘキサンの実験の動画をリンクしておきます。
(C6H12, T = 6.32 °C, P = 0.052 atm)

三重点は温度と圧力の両方を厳密に合わせる必要があるので、実現するのは難しそうですが、実は割と簡単です。

密封容器の中に水やシクロヘキサンなどの液体を入れ、
液体窒素等を使って完全に凍らせたのちに、
真空ポンプで真空にします。
あとは放っておけば物質は自然に三重点状態となります。

固体を真空におくと、固体からわずかに分子が蒸発してきて、[固体-気体]の共存状態となります。(相図の昇華曲線=固体と気体の相境界線 上)
そのまま放っておくと、周囲から熱が取り込まれ、次第に温度が上昇します。
(相図の昇華曲線上を右に移動)
温度が三重点温度に達すると、周囲から入ってくる熱は[固体→液体]の相転移に使われ、[固体-液体-気体]の共存状態となります。
(三重点)

我々の研究室では、液体から空気を取り除くため、上記の操作を日常的に行っています。