解答
状態関数である S の変化は経路によらないので、初めの状態と最後の状態を再現する適当な可逆過程の組み合わせを仮定して計算してよい。
1 mol の理想気体を T1、V1 から T2、V2 へと変化させるのであれば
[過程1] T1、V1 からT2、V1 への定容可逆変化[過程2] T2、V1 からT2、V2 への等温可逆変化
の2つの連続する過程を考えればよい。 の基本式を使い、各過程のエントロピー変化を考える。
[過程1] T1、V1 からT2、V1 への定容可逆変化
なので [1 mol あたり]を意味するバーを S と CV につけて[過程2] T2、V1 からT2、V2 への等温可逆変化
等温変化なのでΔU = 0、従って
wrev は
式中にT を含んでいるが、温度一定であるから、 の式に従って単純にT で割ればよい。
1 mol であるからn = 1、S にバーをつける。
過程1, 2 のエントロピー変化を足して
... (20.e14)
(導出終了)
計算
上の式に数値を代入する。
その前に CV (定容熱容量)は
より、
である。
(計算おしまい)
もし定圧条件だったら?
式の中に CV が入ってくるのが違和感がある。CP を使って書けないだろうか。
問題では T1、V1 から T2、V2 への変化となっているので、(定圧や定容条件に限らない)任意の状態変化である。
もし、この過程が定圧条件で行われたとすると
となり、
と、終状態の体積 V2 は、初期の体積 V1 と温度比 (T2 / T1) で定まることとなる。
これを 式(20.e14)
に代入すると
となる。
を使うと、
となり、V に関係する項がなくなり、CV の代わりに CP が現れる。
CP は定圧条件において起こる体積変化分の補正が入っていますよ、という話はここでも成り立っていることが確認できた。
もし定容条件だったら?
もちろん、定容条件であれば V1 = V2 であるから、式(20.e14) の右辺第2項は 0 となって、
となる。