メタン分子(CH4)の双極子モーメントは 0 だが、原子対でみると電荷の偏りが生じているように思うのだが

メタン分子(CH4)の双極子モーメントは 0 だが、原子対でみると電荷の偏りが生じているように思う。
その効果はどのように表されるのか。

分子の中では、電子が広がりを持って存在しているので、
厳密な分子間の相互作用の計算も簡単ではありません。

双極子(dipole)は、原子核とその周りの偏った電子の広がりを
「大きさが等しく反対の電荷(+-)の対」で
近似したものです。

二酸化炭素やメタンは、双極子モーメント 0、すなわち中性分子として扱われますが、「双極子では表現しきれない電荷の偏り」は確かに存在しています。このような電荷の偏りを表すための近似として、四重極子(quadrupole)があります。

四重極子は「大きさが等しく、向きが反対の双極子の対」です。

無理やり図にすると

+-
-+

または

+--+

あるいは

-++-

と表されます。

双極子と四重極子では相互作用の仕方が異なり、
双極子は「電場の傾き(1階微分)」に応答するのに対し、
四重極子は「電場の傾きの傾き(2階微分)」に応答します。

分子間力を考える際には、まずは
双極子-双極子、双極子-誘起双極子、誘起双極子-誘起双極子
の3つの相互作用を考えれば十分ですが、
固体への吸着などで、四重極子が重要な役割を果たすことがあります。

(2015.1)