鉛とアルミの熱容量の実験で、氷の温度が 0 °C だと言っていたけど、−2 °C とか、−5 °C のときもあるのでは?

鉛とアルミの熱容量の実験で、氷の温度が 0 °C だと言っていたけど、−2 °C とか、−5 °C のときもあるのでは?

はい、0 °C というのは1気圧で 水と氷が共存するときの温度で 、氷自体の温度はもちろん −2 °C とか −5 °C とかになりえます。気温が −5 °C のとき、道端にある氷の温度は −5 °C になっているでしょう。

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しかし、気温が 10 °C とか、0 °C 以上のときは、道端の氷 (の少なくとも表面)は 0 °C になっているものと思われます。氷を加熱していったときの温度変化として左のようなグラフを見たことがあると思いますが、室温によって加熱されている氷は、図中の矢印の状態に相当し、0 °C となっています。

というわけで、あの実験での「融けた水と共存している氷」の温度は 0 °C になっています。

以下余談ですが、実際の「道端の氷」の温度はもう少しややこしいでしょうね。巨大な氷の塊の内部は、気温がプラスでも、0 °C より低い温度になっているでしょう。

また理屈では 気温がプラスなら水は絶対に凍らないはずですが、風が吹いている場合には水の蒸発によって奪われる気化熱によって新たに氷ができることもあり得ます。

ファインマン物理学には、「スープを冷ますために息を吹きかけるのは、スープの表面付近の飽和状態の水蒸気を吹き飛ばし、スープからの水蒸気の蒸発を促し、気化熱を奪うため」という話が出てきます。

授業で扱う系では温度や水蒸気圧が均一だと考えますが、実際の生活環境や実験では、場所による温度の不均一やそれによって生じる熱の流れについても考える必要が出てきます。