22-1 相変化とΔG

解答

  G = H - TS   ... (22.12)

式(22.12) より

  \Delta G = \Delta H - \Delta(TS)  

液体→気体の相転移中は T = 一定なので

  \Delta G = \Delta H - T \Delta S  

ΔS は次の式で求めることができる。

  \displaystyle \Delta S = \frac{q_{\rm rev}}{T}  

ここで qrev は可逆過程における熱の流入量である。沸点における液体→気体の相転移は可逆過程であり、

  \displaystyle q_{\rm rev} = \Delta_{\rm vap} H  

なので沸点(80.09 °C)におけるモルエントロピー変化は

  \displaystyle \Delta_{\rm vap} \bar{S} = \frac{\Delta_{\rm vap} \bar{H}}{T}  

となる。数値を算出しておくと

  \displaystyle \Delta_{\rm vap} \bar{S} = \frac{30.72 \cdot 10^3\rm\ J\ mol^{-1}}{(80.09 + 273.15) \rm\ K} = 86.97 \rm\ J\ K^{-1}\ mol^{-1}  

である。

沸点(80.09°C)の場合

式から明らかなように

  \displaystyle \Delta \bar{G} = \Delta_{\rm vap} \bar{H} - T \cdot \frac{\Delta_{\rm vap} \bar{H}}{T} = 0 \rm\ kJ\ mol^{-1}  

ギブズエネルギーの変化は 0 である。

これは、沸点では液体→気体の変化は可逆過程であり、その逆反応(気体→液体の変化)と同じ速度で生じ、平衡状態となることを示している。

75.0 °C の場合

\Delta_{\rm vap}\bar{H}\Delta_{\rm vap}\bar{S} が80.09 °C での値のままと仮定」とあるので、

  \Delta \bar{G} = \Delta_{\rm vap} \bar{H} - T \Delta S  

の式を使い、T だけを変えればよい。

  \Delta \bar{G} = \rm ({30.72 \cdot 10^3 \ J\ mol^{-1}}) - (75.0 + 273.15)\ K \cdot (86.97 \rm\ J\ K^{-1}\ mol^{-1}) \\  = 441 \rm\ J\ mol^{-1}  
\Delta \bar{G} > 0 であり、この過程(液体→気体)は自発過程ではない(逆反応の 気体→液体 が自発過程)ことを示している。

これは沸点以下では液相が気相より安定であることと対応している。

85.0 °C の場合

同様に、

  \Delta \bar{G} = \rm ({30.72 \cdot 10^3 \ J\ mol^{-1}}) - (85.0 + 273.15)\ K \cdot (86.97 \rm\ J\ K^{-1}\ mol^{-1}) \\  = -428 \rm\ J\ mol^{-1}  
\Delta \bar{G} < 0 であり、この過程(液体→気体)は自発過程であることを示している。

これは沸点以上では気相が液相より安定であることと対応している。