トチノキの小葉です.トチノキはこうした小葉が5枚から7枚程度集まって一枚の葉になります.ですから,これは「葉一枚」ではなく「一枚の葉の一部」ということになります. | アワブキ.生の枝を薪として火にくべると泡が出てくることから名前が付いているそうです.私の友人が実際やってみたところ(私も見た),切り口から本当に泡を出しました. |
オオモミジです.オオモミジについては,独立した種である,という学説と,イロハモミジの変種である,という学説の両方があります.確かに隣のイロハモミジと似ていますね.イロハモミジやヤマモミジが欠刻状の重鋸歯を持つのに対し,オオモミジは,細かくそろった鋸歯を持つこと,5枚から7枚ある裂片がとっくり状の曲線を描くことなどが特徴とされています. | こちらはイロハモミジ.欠刻状の重鋸歯ですが,全体にスマートな印象ですね. |
ウリカエデです.この写真では浅く3裂した葉が写っていますが,ほとんど3裂しない葉もあります.真っ赤に紅葉しますね. | こちらはサワシバ.カバノキ科シデ属の落葉高木.この後続く,アカシデ,イヌシデとともに,側脈が葉の縁まで達すること,重鋸歯であることなどが共通の特徴ですが,このサワシバは,葉の基部が心型(ハート型)になっていることが特徴です. |
アカシデです.イヌシデに似ますが,葉の表面の側脈にはさまれた部分に毛がないことが特徴です.また,全体にイヌシデより小さいイメージですね. | イヌシデです.だと思います.紅葉して落ち葉になってしまうと印象が違ってくるので... イヌシデであれば葉の表面の側脈にはさまれた部分に毛があることが特徴です. |
コハウチワカエデです.再びカエデ科カエデ属です.この写真の葉はかなり小さいものです.特徴は難しいですね.裂片は,比較的深く切れ込んでいるのですが,隣の裂片と隙間無く接しているので,葉一枚で見ると比較的丸い印象です.もう少し大きな葉が一般的ですが,こうしたサイズのはもめずらしくありません. | 別の葉ですが,これもコハウチワカエデで,こちらは裏面です.裏面の脈上,さらに脈の付け根,葉柄がつくところに,白い毛が生えます.イロハモミジ,ヤマモミジ,オオモミジなどが5から7つの裂片を持つのに対し,コハウチワカエデは9から11の裂片を持つのが一般的とされています. |
メグスリノキ.これもカエデの仲間です.裂片が切れ込みすぎて,ついには3小葉になってしまったようにイメージすると,カエデの仲間というイメージがわきやすいでしょうか.かつてはこれを煎じた(水に浸した,だったでしょうか)液で目を洗うのに使ったとか.現在は目にいいお茶として売っていたりしますね. | こちらはメグスリノキの裏面.白い毛がたくさん生えているのが分かりますね. |
ヒナウチワカエデです.コハウチワカエデに似ていますね.コハウチワカエデは裂片と裂片の間が直線を引いたようにまっすぐでくっついて見えますが,ヒナウチワカエデの方は,この隙間がえぐれるようなカーブを描きます.隙間の形が,綿棒の先,といったイメージでしょうか.しかし,難しいですね. | 道につもるチドリノキの葉.これもカエデの仲間です.一見,クマシデなどのシデ属の葉と見間違いますが,枝についている状態なら間違いません.というのは,カエデの仲間は葉が対生につくのに対し,シデの仲間は互生につくからです. |
サンカクヅルです.別名ギョウジャノミズ.この葉はその名のとおり三角形ですが,いろいろ変異があり,三深裂-三浅裂する葉などがあります.ブドウ科ですから,実もブドウのようなものをつけます.食べられるかですか?どうなんでしょう.少なくとも動物たちの餌にはなっているのではないでしょうか.そうなると,タネは動物散布(動物が果肉とともに種子を食べてしまい,糞とともに,別の場所に散布される)ということになりましょうか.ブドウの仲間は,ヤマブドウやツタなど,きれいに紅葉するものが多いですね. | ノウサギの糞です.写真では見づらいかもしれませんが,糞には未分解の木材の破片などが細かくなった状態で含まれているので,プロはこれを丁寧に水で洗いながら顕微鏡などで観察して,このノウサギが何を食べたかを調べたりします.すごいですね. 私も仕事でこの糞を数えてまわったことがあります.ノウサギ一匹が一日にする糞の個数が平均的に知られているので,一定期間に落ちている糞から逆算して,その地域にどの程度のノウサギがいるのかを推測するのです. |
渓畔林で優占するシオジの葉です.奇数羽状複葉.高い木は40mほどにもなり,斜面のブナなどよりも高くなります. | こちらはシオジのタネ.大きく見えているのは翼の部分で,種子自体はこの端の方についています.タネが落ちるとき,翼によって空中の待機時間を長くして遠くまで風で運ばれたり,また水に浮いて流れたりして遠くまで移動する仕組みです. |
オヒョウ.ニレの木の仲間です.葉の途中が「つの」のように飛び出すのが特徴ですが,この角がないものもあり,注意が必要です. | ウダイカンバです.シラカバ(シラカンバ),ダケカンバなどと同じ,カンバの仲間,すなわち,カバノキ科カバノキ属です.シラカンバ,ダケカンバに比べ葉が大きいこと,基部が大きく心型であることなどが特徴です. |
ベンチにブナの葉が散っていました.ボコボコとした蒲鉾(かまぼこ)の断面のような鋸歯です.山地帯冷温帯林を代表する樹木の一つでです. | 石灰岩.あってますよね?秩父のセメント産業を支えた石.この地域全体は秩父中生層といわれる,かどの切り立った鋭い岩石がゴロゴロしているところですが,所々この石灰岩が見られます. |
この地域では,斜面で,土壌のある程度ある部分はスズタケと呼ばれるササが林床を覆います.一般の方々がイメージする「熊笹」の様な葉ですが,本当の,種としてのクマザサの自然分布は京都など,ごく一部に限られています.健康飲料などで「熊笹茶配合」などとありあすが,こうしたササ一般の総称として使われているのではないでしょうか. さて,このスズタケは日本の太平洋側のブナ帯を代表するササです.見分け方の特徴は,茎の先端から葉が二枚出ていることです.三枚のこともありますが(笑).例えばクマイザサなどは茎の先端から葉が9枚くらい出るためにこうした呼ばれ方をしていますので(9枚だからといって全てがクマイザサではない),先端から二枚出るというのは大きな特徴で,また我々から見れば見分けやすいものです. |
いっぽう,地形が急峻で土が無く,岩が露出しているところではカンスゲが優占していました.常緑のスゲなので,シカのエサとなります.ここではシカが届かないところなので食べられていませんが.いずれにせよ,植物の分布は決してアット・ランダムではなく,それなりの理由があって分布しています.そのため,「植物を見れば環境が分かる」事になるのです. |
ツガです.これは落ち葉ではありませんが,この季節は常緑針葉樹が大変目立つ季節でもあります.ツガ属(ツガ,コメツガ)はモミ属(モミ,ウラジロモミ,シラビソ,オオシラビソ等)と違い茎からまっすぐ葉が外側に着くのではなく,短いながら葉柄があり,これが茎に沿って枝の先の方に伸び,そして葉身の部分が外側にむきます.ここでは見やすいように裏面(下面,地面にむいている方)をひっくり返して撮影しています.秩父地方は地形が急峻で土壌のない岩石が露出した場所が多く,ツガの生態的最適域となっています.土がしっかりあるところはブナやカエデなどのほかの樹木が優占してしまいますが. |
ツガの優占する典型的な立地の写真です.細い尾根は土壌も浅く,ササの優占度も低下します.ウラジロモミやアセビなどもこうした立地に現れます. |
こちらはウラジロモミ.これも裏面を写しています.ツガと違い,葉がいきなり外向きに生えていますね.モミ,ウラジロモミとも太平洋側のブナ帯に分布しますが,ウラジロモミの方が高い標高に出現する傾向があります.また,モミの方はもっと低標高域の照葉樹林帯にも分布します. モミとウラジロモミを比べると,ウラジロモミは枝がブロック状に分かれており,その一つのブロックから一枚の葉が出ているように見えます.また,枝に毛はありません.モミの方は,枝がこうしたブロック状になっておらず,代わりに当年枝(その年に生えた枝)には黒っぽい毛が生えています.いずれにせよ,この写真ではわかりにくいですね.もっと私のデジカメがマクロで寄れればよいのですが... |