受験生の皆さん元気ですか?今年は暖冬でしたが,信州松本もようやく冬らしくなりました.寒いのはもちろんいやなんですが,やはりある程度寒くないと松本らしくありません.

 植物をやっている人にとっては,落葉樹が葉を落としてしまう冬は見るものが少ないんですが,どうでしょう,たまには鳥でも見てみますか?鳥の場合,「冬鳥」といって,季節的に移動しながら,日本ではこの季節にしか見られない鳥たちがやってきます(もちろん,例外はありますけど,細かいことをいっていると話が進みませんから).

 もちろん,私は鳥が専門ではありません.例のごとく,写真を撮って,図鑑で調べていきましょう.どうですか,皆さんも.こたつでゲームとか,受験勉強ばかりじゃ飽きちゃうでしょ?



豊科 コハクチョウの来るところ
豊科方面を車でブラブラしていたら,いや,正直に言うとCDを取り替えようとして,どこか車止められる場所がないかと脇道に入ったんです.そうしたら,白鳥の名所の看板が出てきて,矢印通りにいったらそこへついた,という感じでやってきました「豊科の白鳥の湖」(笑).ああ,そういえばそんな名所があったなあ,という感じなんですが,ちょうどデジカメも持っていましたし,見学してみましょう.
ホシハジロ,キンクロハジロほか
とりあえず,白鳥より何より,カモがものすごく多いんです,ここ.で,なぜかと思ったのですが,どうやら,白鳥のために,餌をやっているようです.地元の愛好会か何かの方々がトレーラーハウスを利用した事務所のような建物で活動しているようです.で,その餌をカモなどもいただく,ということでしょうか.
 ものすごい数ですが,よく見ると何種類かのカモがいるようですので,チェックしましょう.
 まず,頭,首,胸,背中と真っ黒なのに横の羽の部分だけ白いカモがいますね.図鑑によるとキンクロハジロ(金黒羽白)の様です.それから,頭が茶色く,胸が黒く,他の部分が灰色のカモがいますね.こちらはホシハジロ(星羽白)でしょうか.
 初めての鳥ですが,この程度だと図鑑を見ながら同定することができるので,良いですね.非常に楽しいです.今まで私の世界には存在しなかったものが,新たに存在するようになったのです!すばらしい!

こちらの写真は,実は水辺につくまでに,先に遭遇した風景.何だと思います?トビ(いわゆるトンビ)なんですよ,みんな.すごい数じゃないですか?鳥屋さんにとっては当たり前の光景でも,私のような素人はびっくりしてしまいます.なんでだろう,と思っていたのですが,水辺のカモをねらっているんでしょうね.あとでそうした場面に遭遇します.
コハクチョウ
ですが,まあ,一応ハクチョウの名所なので,先にハクチョウを見ておきましょう.ハクチョウといっても,いわゆる「ハクチョウ」は,幾種類もいる何とかハクチョウの総称です.植物でいう,サクラとかイチゴと一緒ですね.種を同定しましょう.なるほど,コハクチョウですね.
 くちばしの部分を見て下さい.手前は黄色いですが,先の方が黒いですよね.オオハクチョウ,コハクチョウはこの部分で見分けられます.この黄色い部分が大きいのがオオハクチョウ小さいのがコハクチョウです.良いですね,覚えやすくて.ここで私が見たのは,コハクチョウだけでした.双眼鏡を持っていなかったので,遠くから見ただけですが...ちなみに,額の部分が,ボコッとふくれているハクチョウをたまに見ますよね?あれがコブハクチョウです.良いですね,わかりやすくて.
オナガガモ
岸で一番多かったのが,このオナガガモです.特徴は,名前の由来通り,尾が長いこと,それから,胸から首にかけてが白いのですが,この白い部分が首の後ろ,後頭部まで続いています.
 吉野俊幸著「野鳥」(1999,山と渓谷社)には,密集していても彼らは気にならない様子であること,ほかのカモに餌付けをしていても,次第にこのカモばかりになってしまうことなどが記述されています.現場で見ていて,その通りだと感じました.さすがにプロの観察は鋭いですね.写真は,姿形がわかりやすいように単独でいるものを撮りました.
ヒドリガモ
こちらはヒドリガモ.漢字で書くと緋鳥鴨ということで,名前由来は頭が緋色をしていることなんでしょうか.「緋色(ひいろ)」といわれてもよくわからない方も多いと思いますが,何というか,赤褐色とでもいいましょうか.この写真の頭の色は,確かに緋色,って感じです.
 頭が茶色いカモは色々いるので,見分けるポイントをもう少し記すと,頭は茶色(緋色)なのですが,額の部分だけ,色が明るく,クリーム色のようになっていますね.そして胸が...何色って呼べば良いんでしょうか?
トビ
さて,トビです.私もさぞ知ったように書いていますが,トビをしっかり認識したのは30才すぎてから,というか電中研で生態系の仕事をするようになって鳥の人とつきあうようになってからです.実家の江戸川区では,子供の頃,まだ残っていた水田(米用ではなく,しめ縄などお飾り用)や蓮田(昔はレンコン栽培をしていたそうですが,私の知っている頃は既に残骸)にサギが来ていた記憶はありますが,トビは見た覚えがありません.本当は目に入っていたのかもしれませんが,見えていなかった,ということなのかもしれませんが.
 トビは飛んでるときの尾の形が3角形っぽいですよね.いや,正確には3角形ではないですが,何というか,三味線の「ばち」のような形.先端がほぼそろっていて二つに分かれていませんよね.
 「鳶(とんび)が鷹(たか)を生む」とか,「鳶に油揚げをさらわれる」等といって,トビを結構馬鹿にする風潮があるように思いますが,近くで見ると,結構大きいんですよ.あれがまっすぐ自分めがけて飛んできたり,攻撃を受けたら,ちょっといやですね.
トビがカモを襲う 1
さて,図鑑(前述)では小動物を襲ったり,死肉を食べると記されているトビですが,カモを襲っている場面に遭遇しました.猛禽が獲物を襲うのは当たり前なんですが,私が自分の目で見たのは初めてかもしれません.
 接触しそうな瞬間,カモの方が水にもぐるような行動でトビを回避したように見えました.トビは水の中までは入ってこれないことを知っているのでしょうか.で,そのあとは逃げる,逃げる.
トビがカモを襲う 2
トビは2羽で一羽のカモを追います.トビは上からまっすぐ降りてくるのは速かったんですが,水面近くでその高さを維持しながらカモを攻撃するのはどうやら苦手な模様.最初の一撃でうまくしとめられないと厳しい,ということでしょうか.
 追われている方のカモの種類は,ちょっと私にはわかりません.この写真でわかる方,教えて下さい.でも,うまくとれたとして,トビたちはうまく山分けにできるのでしょうか?  
トビがカモを襲う 3
最終的にはもう一羽,トビが現れて三羽で一羽のカモを追います.ところが,結局カモを捕らえることができずに,今回のアタックは終了.カモさんも命拾いしましたね.
 もうひとつ,あとから写真を見て気付いたんですが,あれだけ側でカモが襲われているのに,周りのカモたちは,別になんということもなく,平然としているんですね.一応背を向けてはいるようですが.うーむ,すごい.
飛び立つ白鳥 1
コハクチョウが飛び立つ場面に出会えましたので,必死に写真を撮りました.羽を広げると,なかなか格好いいですね.昔テレビでやっていた「ニルスのふしぎな旅」を思い出しました.「うーん,こんなのだった,こんなのだった」と,このページをつくりながら,ネットで調べてみると,ニルスが乗っていた鳥は,ハクチョウではなく,ガチョウでした.がちょーん.
(すいません,おやじギャグで.昭和に青春を過ごしたものですから)
飛び立つ白鳥 2
すぐに飛び立てるわけではなく,水面を走るようにしながら飛び立つんですね.ピンぼけながら,よくとれた,ということにしましようか.


ところで,カモだったら,近所の「あがたの森公園」の池にもいます.マガモと,カルガモ.せっかくですからこちらのカモも一緒に紹介しましょう.

マガモ 雄
こちらがマガモです.緑の頭が特徴.首に白い輪があってその上が緑色なのでよけいに目立ちますね.風切り羽の一部にあたるのでしょうか,横に青く輝く羽があります.雄はこうやって,結構わかりやすいのですが,雌はちょっとわかりづらい,というかカルガモにちょっとにてますね.
 2005年9月14日訂正.これ,私はマガモのつもりで写真を撮ったのですが,鳥を専門にしている人が,このページを見てくれて,アオクビアヒルらしいということが分かりました.アヒルは,マガモからつくられた家禽で,通常は白いのですが,中にはマガモのような模様になるものがいるとのこと.マガモは冬鳥ですから,「夏でもいれば確実にアオクビアヒルといえる?」と思ったんですが,そう簡単ではなく,現在はマガモでも一年中居着くものもあるとか.詳しい見分け方は,今後調べようと思います.
マガモ 雌
こちらがマガモの雌です.次に出てくるカルガモと似ていますが,マガモは雄も雌も,基本的にくちばしが黄色いですね.それに対し,カルガモのくちばしは基本的に黒く,先端だけが黄色くなっています.ちなみに,このマガモの雌,雄同様,首に白い輪があります.この写真では,首を縮めているため分かりづらいですが.それと風切り羽の所の青色も,ちょっと見にくいですが,ちゃんと見えます.2005年9月14日追記.こちらもマガモではないのかもしれませんね.
カルガモ
こっちがカルガモです.私は素人なので,雄か雌かよく分かりません.図鑑で見ても,雄も雌もそっくりなんですよ,これ.くちばしから目にかけて伸びる茶色い線,黒いくちばしの先端が黄色といったところが特徴でしょうか.凍った池の上を歩いています.
 それから,このカルガモは今回紹介した他のカモとは違い,留鳥とされています.冬鳥ではありません.
カルガモ
こちらはカルガモが2羽.実は左の写真は,この写真の一部,画面右側のカルガモをトリミングしたものです.マガモは近くにいたのですが,カルガモは遠かったもので.
 太陽の方に向かって,じっとしています.なんか,詩的な映像ですね.
ピラカンサ 食べられる前
さて,こちらは外国から入ってきて,庭木としてよく植えられるピラカンサです.ピラカンサ,とはこの仲間の属名 Pyracantha の読みをそのまま使っている名称です.ですから,この仲間にはいくつか種類があり,代表的なところでは,タチバナモドキPyracantha angustifolia)とかトキワサンザシPyracantha coccinea)でしょうか.
 タチバナモドキはオレンジ色の実を付けるのですが,葉の裏に灰白色の軟毛があるということで違いそうです.そうすると,赤みが弱いながらトキワサンザシヒマラヤトキワサンザシPyracantha crenulata)でしょうか.どちらも葉の裏に毛がないとされています.ちょっと即断しかねますので,また今度調べたいと思います.
ピラカンサ 食べられたあと
で,このピラカンサなんですが,木の実の少ないこの季節に,格好の鳥の餌になっています.この木に限っていえば,ドバトが十数羽集まってきて,実という実をついばんでしまいました.左の写真から右の写真の状態になるまで3日ほど.それまではほとんど食べられなかったのですが,20cmほどのまとまった雪がこの3日間に連続でありましたから,ほかに餌が無くなったのかもしれません.いや,しかし,すごいですね.
ドバト
で,こちらがドバト.みなさん,我々が公園などで身近に見るハトに2種類あるの,知ってました?一方はキジバト,もう一方はこのドバトです.
 キジバトは日本にもとからいるハトで,首の下,やや後方に横縞が何本かでる特徴があります.今,手近に写真がないので,皆さん図鑑で確認して下さい.キジバトは,よく,「ぼーぼー(低く)ぽぽー(高く)」と鳴いている,例のやつです.で,写真のドバトの方は,「くるっくー」と鳴いているやつですよ.ね,いわれてみれば鳴き方に2種類あるじゃないですか.これ,別の種類が鳴いていたんですよ.
 ちなみにドバトは,ユーラシアに分布しているカワラバトからつくられた家禽なんだそうです.野生の鳥を,羽とか,卵とかのために改良して...って聞きますよね.あれです.マガモからつくられたアヒルとか.伝書鳩もこのドバトの一種だとか.なるほど...紹介している私が(調べながら)一番勉強になります,はい.
近所の公園
松本は,大晦日に降った雪で,2005年の正月は雪景色です.池の水も完全に凍ってしまいました.私は,タイヤを替えていなかったので,いや,参りました.元旦の夜から2日にかけての最低気温は-14度で,トイレの水とか凍っちゃいましたしね.破裂ではないので,暖めて回復させましたが.皆さんも,風呂釜とか,しっかり水抜きして対応して下さい.(もし信州大を考えている受験生諸君は,覚悟して下さい.ま,慣れますけどね)


と,まあ,そんな感じで,近所の河原や,公園に行くだけでも色々あります.皆さんもこうしたカモの仲間,ハトの仲間なんかは目に入っているはずなんですが,その気になってしっかり認識しないと,なかなか見えてきませんよね?私も同じです.

 「発見」は英語で"discover"といいますね.これは,もともと「dis-cover」で「カバーをはずす」というような意味です.ものはそこにあるのに,我々はまだそれを認識していない,それを認識するのがdiscover,発見なのではないでしょうか.ですから,自分にとっての発見は,文明がどんなに進んでいっても無限にあります.携帯電話で写真を撮って,それを図鑑で調べるだけでも,なかなか楽しいですよ.気分転換に,どうぞ.

と,まあ,今回はこんな感じで.



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