まずは,ナヨクサフジの花のアップから.これは,外来種です.日本 にあるクサフジに似ていますね.違いは花の付き方です. 茎から花柄が伸びて花が着いているのが分かりますね.このナヨクサフジの場合,花 の後ろでなく下側に花柄が着いています.これが特徴.日本在来のクサ フジは,花柄が花の後ろにつきます. 葉の幅もちょっと違うようですが,葉だけでは,何とも難しいですよね. |
セイヨウカラシナです.いわゆる菜の花の仲間ですね.菜の花の代表 選手,セイヨウアブラナに似ますが,花はやや小さく,葉の基部は茎を抱かないことが 特徴です. あとの方で,葉が茎を抱くセイヨウアブラナも出てきますので,比べて下さい. |
セイヨウカラシナの葉の付き方です.茎から葉柄が伸びて葉がついて いますね.葉は茎を抱きません. |
こちらはもう少し,茎の上の方です.上の方に行くと葉柄は無く,葉の葉らしい部分(葉 身といいます)がくさび状になって葉の付け根に流れます. いずれにしても葉は茎を抱きません. |
で,セイヨウアブラナを比べてみましょう. 右の写真がセイヨウアブラナです. 菜の花といえば,もともと日本のアブラナのことを指していたんです が,最近は,こちらのセイヨウアブラナの方がメジャーでしょうか. 先に挙げたセイヨウカラシナと似ていますが,花がこちらの方が大きいことと... |
|
セイヨウカラシナと違い,こちらは葉が茎を抱くことが特 徴となっています. |
おまけにもう一枚.もう,完全に抱きしめていますね. |
こちらはタデ科のイシミカワです.葉身と葉柄のくっついている所 を見てください.これ,葉身が盾状についているんです.普通は葉身の 一番端に葉柄が着くのですが,これは盾状,傘みたいな付き方をしてい るんですよ. 葉柄には下向きにトゲがあるので,さわる際には気をつけて下さい. |
オオイヌタデです.イシミカワ同様,タデ科ですが,こちらの方が,こ ちらの方が,いわゆるタデらしい形をしていますね.似てるんですよ,この仲間,みんな. |
まず,茎を見ます.茎から葉柄がでるところは,薄 い膜で筒状に覆われていて,これを葉鞘(ようしょう)と呼びます.この葉鞘の先に毛があるかどうか,といったところが見分けのポイ ントになりますが,オオイヌタデやサナエタデはこの筒状の葉鞘の縁に毛がないことが大きな特徴です.イヌタデなどはこの葉鞘 と同じ位の長さ の毛が縁に生えています. オオイヌタデは花の時期には1mをこす,大きなものになりますから,そのころには花の特徴もあって(花序が重みで下向きに折れ曲がる)見分けられます が,春先はいろいろな部分を見ないといけません. |
オオイヌタデの若葉の裏です.葉の裏が白く見えるのは,白い 毛が密生し ているためです.オオイヌタデの葉は,後に無毛になりますが,展葉してしばらくはこうした白い毛が密生しています. (2008年5月1日追記) 当初,あまりに毛が多いので,サナエタデかと思ってしまいました.後に葉の裏の毛が無くなり,オオイヌタデと確定することになりました. |
この写真では小さくて分かりませんが,明るい青がかった紫色の花を付けます.花びらは5枚ですが,合弁花類ですから,下でつながっています. |
タチイヌノフグリとオオイヌノフグリは花の色も青で同じです(在来のイヌノフグリは ピンク色の花が咲きます)が,タチイヌノフグリはその名の通り,茎が立ち上がること と,花柄が無いことが特徴です(オオイヌノフグリは花柄がある) |
ちょっと変な写真ですが,ミミナグサだと思います.何が変かという と,ミミナグサは腺毛はない(少ない)んですが,外来のオランダミミナグサは腺毛が多く,長いんですね. で,この写真,花のまわりに長い毛がたくさん着いているように見えます.この毛は,この花自身の毛ではなくあとから飛んできたものがついたんだと思うん ですよ. ミミナグサは,萼辺の長さと花弁(花びら)の長さがほとんど同じで,花が閉じたと きには花びらが隠れますが,オランダミミナグサは萼片の方が短いの で,花が閉じたときに,先から花びらがはみ出しています. どちらもハコベの仲間なので,花びらは5枚で先端が割れます.ハコベはもっと深く花びらが裂けて,花びらが10枚あるように見えるの で,そこ は確実に見分けられます. |
ちなみに,オランダミミナグサの腺毛は,さわると粘るほどなのに対し,ミミナグサは手がべとつくことはないようです. また,ミミナグサは,左の写真のように萼が紫色になることが多いん ですが,オランダミミナグサは緑のまま.茎も,ミミナグサの方が紫色が濃いですね. 現在,オランダミミナグサにおされて,ミミナグサの分布は減っているそうです.危うし,日本の雑草. |
うーむ,イネ科ですね.よく見ますね,こんなの. ヒロハウシノケグサかオニウシノケグサだ と思います.オニウシノケグサとヒロハウシノケグサは似ていて,葉耳の毛の有無を見て毛があればオニウシノケグサ,無ければヒロハウシノケグサとしますが,このけがき説の早い時期(夏前)にはとれてしまいます.で,これも毛が見あたらないのですが,落ちてしまったのかも知れません.周りにはオニウシノケグサのが多いんですが. 外来牧草ですが,全国的に逃げ出しているようで,雑草になっています. |
在来のものとしてオオウシノケグサというのが低地から高山にまで分 布しているようですが,葉が内側に丸まるようです.それと,オオウシ ノケグサの方が花序が少ない印象を受けます. それと,平地では,やはりオオウシノケグサは報告が少ないようです. |
葉が茎につくところで,葉の質がちょっとかわっていますよね,黄緑色になって.この部分を葉耳といっています.ヒロハウシノケグサ はこの部分が写真のように無毛ですが,近縁のオニウシノケグサはこの部分に外向きに伸びる開出毛があることになって います. よって,オニではなくヒロハだろうとおもいますが,この個体だけでなく,周辺にあるものを春の時期に見て,また毛の有無を見ようと思います. |
写真に撮るときは,こんな風に少し葉を引っ張って浮かせた写真を撮ります.そうすると,葉耳だけでなく,葉舌という部分の写真も撮れま す.この写真ではほとんど写っていませんが. オニ,オオ,ヒロハとも葉舌は非常に小さいことが知られています. なので,okな写真です. |
変わって木本(もくほん)のタチヤナギです.名前の通りヤナギ科です. 葉は幅広いですね. |
こちらは花が終わり,タネのからが開き,中の種子が綿毛と一緒に飛ぼうとしているところです.ちなみに,2005年5月18日の写真です.この綿毛に よって,種子は風に舞い,水に運ばれ,新しい立地にたどり着くわけです. ヤナギはいずれも陽樹で,日陰が苦手なので,川の攪乱でライバルの樹木がいないところに定着できることが重要です.うまく運ばれると良い ですね. |
いっぽう,こちらは,カワヤナギです.先ほどのタチヤナギに比べると,葉が細い印象がありますね. 量的には,こちらのカワヤナギの方が,圧倒的に多いです. |
せっかくですから両方並べて写真を撮っておきましょう.カワヤナギ(下)とタチヤナギ(上)です.比べてみると,両者の違いがはっきりしますね. |
再びカワヤナギ.ヤナギって難しいんですよ,本当.葉の細長いヤナギとしては,オノエヤナギが代表選手と言っていいでしょう か. この個体も,葉はやや広いがカワヤナギです.鋸歯がはっきりし,托葉(たくよう)は葉の形をして柄があるのがポイントです.オノエヤナギ はぼほ全縁で縁が裏側に巻き,托葉は斜卵形です. |
托葉に注目して下さい.披針形をして,まるで,普通の葉を小さくしたようなものが1セット2枚ついていま す.托葉に柄までありますね. コゴメヤナギやオノエヤナギは,やはり葉が細長くて似ていますが,托葉が斜卵形でまったく異なります.托葉の観察は大事. |
もう少し見ておきましょう.一般的なイメージのカワヤナギとしては,葉がやや太いですが... |
鋸歯がはっきりしていますね.浮世絵に描かれる波のような形の鋸歯をして いて,その上鋸歯の先端が腺点になっています.裏が白いのも特徴. オノエヤナギは,ほぼ全縁か,不明な鋸歯で托葉は斜卵形. コゴメヤナギは鋸歯も細かいんですが,托葉が斜卵形. これで完璧....! |
草本(そうほん)に戻りましょう.アブラナ科のスカシタゴボウです.イヌガラシを知っている人は,似てると思ったでしょう ね. 似ています.イヌガラシの果実は円柱形で弓形に曲がるんですが,このスカシタゴボウの果実は短い短角果で,ずんぐりとしてい ます. この写真では,ちょっと分かりづらいですね. |
こちらはスカシタゴボウの葉の部分です.羽状に切れ込みます. |
ノヂシャという外来種です.ヨーロッパ原産でオミナエシ科です.葉 は対生で,茎は二股に分枝していきます. |
花びらは合弁ですからくっついていますが,5枚に分かれます.小さな花ですね. |
上の方の葉,根元の方の葉は全縁でヘラ型の葉ですが,中程の葉は写真のように鈍い鋸歯があります. |
こちらは根元の方の葉.全縁で,先の方が太く丸まった,しゃもじ型. |
こちらはメドハギです.在来種で,一見木本のように見えますが,草本です.野生木本図鑑で調べるとでていないので,知らないと調べるのに苦 労するかもしれません.川の植物としてはメジャーですが. マメ科で,三出複葉です. 20060116追記.この前まで,このメドハギを外来と紹介していました.在来です.木本図鑑で調べてでていなかったので,てっきり外 来かと思いましたが,草本だったという落ちです.いや,面目ないです. |
こちらはイモカタバミとかムラサキカタバミといわれて似ていますが,これはイモカタバミの方です. 普通のカタバミは黄色い花が咲き,葉も小さいですが,これは花も葉も大きいですね.花の色が写真のように赤紫色で,中心まで赤紫色なのでイモカタバミ.花びらは赤紫だけど中心が緑色ならムラサキカタバミです. 葉は,クローバーのようなな形です. |
ホソバイラクサという植物です.イラクサ科にはトゲのあるものと無いものがあり,トゲのあるものには注意が必要です.これはトゲがある 方. |
葉は細く,エゾイラクサに似ますが ホソバは托葉が4枚なので見分けられます.エゾは托葉が2枚ですから. 写真で左にでているのが本葉.右には同じように葉が出ていますね(葉柄しか写真に写っていませんが).茎についている所に托葉が4枚写っ ています. 托葉といっても,形や質は本葉に似ていますね. |
おっ,オオカワヂシャじゃないですか. ゴマノハグサ科なので同じ科のイヌノフグリのようながつきます. 葉は対生で細かい鋸歯があります.ちなみに外来のオオカワヂシャは花のサイズも大きく,紫色の色が濃い,花びらに青い筋が入るのですが, これが濃い,ことなどが指摘されていますが... |
下の方の葉はこんな感じ.対生の葉が茎を抱くようについているのが分かります. 下の方の葉は鋸歯のとんがりが穏やかになっていますが...オオカワジシャじゃないですよね? |
上にオオカワヂシャの写真を出したので,カワヂシャの写真を出しておきましょう.レッドデータ植物です.撮影日と場所は違いますが,これ も千曲川中流域です. 花びらが小さく,色が薄いですね?花びらに入る縦筋も薄いです. |
それと,オオカワヂシャは,茎などに赤い筋が入ることが多いとか.そして,花茎が湾曲していると言われています.それに対し,在来のカワヂシャ は,花茎は直線的に斜上しているとされています.斜上しているでしょ?これ. 違ってたら,やだなあ. |
シロバナシナガワハギでしょう.千曲川中流域では,非常に多いんですねこれ. 花はまだでしたが,夏に白い花を多数付けます.葉だけだとウマゴヤシとかに似ていますが,ウマゴヤシなどは黄色い花を付けますので,花が 咲けば,間違いなく見分けられます. |
このシロバナシナガワハギ,マメ科なので,根粒菌を付けます.写真は1本失敬して掘りあげた所. 根のまわりにジャガイモの子どものような球形のものがついていますが,これが根粒菌です. 植物にとって,窒素は,アミノ酸(タンパクのもと)の合成や,クロロフィルのため に必須のものです.空気中の80%は窒素ですが,植物はこれを直接使うことができません. 根粒菌が土中の気相にある気体の窒素をすって,植物に与えてくれます.かわりに根粒菌は植物からデンプンなどの光合成生産物をもらって共生し ています. |
コハコベです.花びらは5枚なんですが,奥まで裂け10枚に見えます.くわえて花弁が萼片よりも短いのはハコベと一緒ですが... |
茎が暗紫色を帯びる点で,コハコベだと判ります. それと面白いのは,花は上向きに咲き,花が咲いた後は花柄が下を向きますが,果実が熟すとまた上向きになるんですね.すごいや. |
ウシハコベです.やはりハコベの仲間なので,5枚の花びらが裂けて,10枚のように見えます. ハコベの仲間では,大きなサイズです.支えている手の大きさを考慮して,コハコベと比べて下さい.撮影倍率はそれほど変わらないのに,こんなに差があり ます. 見分けのポイントは,花柱が5本であることです.花の中心を見るとやや渦巻き状に雌しべの先が5つになっているのが見えますでしょうか. これがウシハコベです. 他のハコベの仲間は,花柱は3本と言うことで,ここを見れば間違いありません. |
葉も大きいんですが,これ,茎の節が暗紫色になっていますね.これもウシハコベの特徴です. さらに上部にある葉は写真のように茎を抱く形をしています. うーん,ウシハコベ,完璧. |
さて,左の畑の写真に,なんだか花が咲いています. これなんだか分かりますか?ダイコンの花なんです.栽培用のダイコンもこんな花を咲かせます.観賞用に植えられているものは,もっと紫色 が濃いもので,ショカッサイとかオオアラセイトウと呼ばれています. ダイコンは,キャベツなどと同様,アブラナ科なので,花びらが4枚です. 余談ですが,青汁の原料になっているケールもアブラナ科.アブラナ科って非常に人間の役に立っているものなんですよ.白菜,ブロッコ リー,カリフラワー etc. |