サドノウサギ(ウサギ科)*1 サドノウサギは,佐渡島にだけ分布するノウサギの固有亜種です. 「レッドデータブックにいがた」には新潟県(準絶滅危惧)とされています. |
佐渡で,雪の上に残った足跡を追いかけてノウサギがどのよ うな場所(植生)をよく利用しているかを調べていました.スノーシュー(洋式のかんじきと言えばわかるでしょうか)を履いて雪の上を歩くのは大変ですが, 雪の上にはたくさんの動物の足跡が残っているのでとても楽しいです!! |
サドノウサギの前に12pのシャーペンを置いてみました.このサドノウサギは生後一週間程度の子供のノウサギです. 写真ではわかりにくいですが,サドノウサギは本土のウサギよりも後足が小さいのが特徴です*2 |
ノウサギの足跡 左側の縦に二つ並んで見えるのが後足で,連なって並んでいるのが前足です. 「Yの字」に見えるため他の動物との判別が簡単です.前足を先につき,後足をつ けるため,進行方向は右→左になります. 一回覚えてしまうとスキー場のリフトの上からでも簡単に見つけることができます! |
ノウサギの食痕 ノウサギの食痕(食べたあと)枝先が刃物で切られたようになっているのが特徴です. 冬は雪の上にでている植物が限られるため見つけやすいですが,冬芽だけでは…植物の判別は難しいです(>_<) |
オニグルミ(クルミ科) これはオニグルミの葉痕(葉が枯れ落ちた痕)です.図鑑には「葉痕はT字形」となっていましたが,猿の顔に見えませんか…?! 川沿いや適湿の地に広く生えます*3 |
大佐渡と田園地帯 佐渡は並列する二つの山脈と中央平地からなり,北側の山脈を大佐渡,南側の山脈を小佐渡,中央の田園地帯は国仲平野と呼んでいます. |
ウスタビガ(ヤママユガ科) 大佐渡を歩いていたら緑色の繭みたいなものをよく見かけました. ウスタビガの幼虫はコナラやクヌギの葉を食べ夏頃繭を作ります.成虫は年に1回秋に羽化します.そのため,繭の中は空でした*4 |
ブナ(ブナ科) 大佐渡では標高約600メートルからブナを見ることができます.佐渡では大佐渡でしかブナを見ることができず,小佐渡ではみられません. |
ツルシキミ(ミカン科) 葉は幹の先端に集まって輪生状につき,しなやかな革質で,もむと芳香(ミカンの匂い)がします. ツルシキミという名は幹が地面をはい,枝葉の様子がシキミ(シキミ科の常緑小高木)に似るということから名づけられました*5 |
ショウジョウバカマ(ユリ科) 山地の少し湿った所に自生します.葉は地面にべったり放射状にでて,葉の両面には毛がなく葉先はとがっています. 雪国では,雪が融けて土が出た頃に真っ先に咲き,春を告げる花です*6 |
ショウジョウバカマの葉先にでた芽 この芽が地面につくと葉先に小苗ができます. ショウジョウバカマという名前は,花を猩々の赤い顔に,葉を袴に見立てたものを言うそうです*7 |
オオミスミソウ(キンポウゲ科) 葉だけでは区別がつきにくいです.オオミスミソウは葉の先がとんがってミスミソウよりも大型で,スハマソウは葉に丸みがあります*6 林道沿いではなかなか見つけられませんでした.ミスミソウ・スハマソウは高値で売買されるため,乱掘が増えています.山に生えている植物は山で咲いているのが一番きれいなのです!!! |
雪割草はどっち?! 新潟では昔からキンポウゲ科のミスミソウ・スハマソウを総称して「雪割草」と呼んでいました.そのため,ミスミソウ・スハマソウのことを雪割草という名前 だと思っていました.しかし,今回島野先生に来ていただき,「ユキワリソウ」はサクラソウ科に属す花であると知りました. 同じ名前で科が違うのは…困ります. 今後はミスミソウ・スハマソウと…本来の名前で呼んであげたいと思います!! 私と同じように雪割草と思っていた方はご注意を(^▽^;) |
小佐渡の雑木林 |
小佐渡は大佐渡に比べて常緑樹が多いと感じました.雪も大佐渡に比べると少ないです. 佐渡は新潟県であるため,多雪で寒いと思う方も多いと思いますが,島の近くに対馬暖流が通っているため比較的温暖です.佐渡の中でも小佐渡は南側に位置しているため,果物(柿,スイカなど)の栽培が盛んです. |
ナニワズ(ジンチョウゲ科) 大佐渡・小佐渡どちらでも見つけることができました.とても低い木なので,草本(草)と間違えないように気をつけて下さい. 葉の先は丸くへりに刻みがありません.初夏に落葉し,8月末に新葉がでます*5 |
キクバオウレン(キンポウゲ科) 小佐渡の林道を走っていたら道路に落石が…車を降りて落石をよけている時に先生が白い花を発見?!図鑑で探したところキクバオウレンでした. 上の茶色に見えるのが葉です.葉が出る前に花が咲くため枯れています.白く細長いがく片が変形して咲きます.黄蓮とは黄色い根の連なりのことで薬草です*8 |
ヤブツバキ(ツバキ科) 小佐渡にはヤブツバキ林が多く存在します.この写真は「田切須」という場所にあるヤブツバキ林で撮影しました. ヤブツバキとユキツバキの区別の仕方は 葉脈が透けない方がヤブツバキ,葉脈が透けている方がユキツバキです. |
ユキツバキ(ツバキ科) この写真はユキツバキの裏面を撮ったものですが,ヤブツバキとの違いがわかったでしょうか? ユキツバキは裏返しても透けています. 新潟県にはヤブツバキとユキツバキの雑種である「ユキバタツバキ」が多いそうです*8 |
ヒサカキ(ツバキ科) 名前は姫サカキのなまりで小型という意味です*5 |
ヒサカキとサカキの違い サカキは神棚に飾ったりするため,スーパーでも売っているのでなじみのある植物かも知れません.しかし,私はヒサカキをずっとサカキだと思っていました(>ω<) ここで違いをはっきりさせておきます!! ヒサカキは鋸歯(葉の縁がギザギザ) サカキは全縁(葉の縁が丸くギザギザがないもの)と覚えてください. 今度スーパーでサカキが売っていたらギザギザがないか確認して見てください. |
ドンデン山,登り口の看板 ドンデンは、鈍嶺(どんでん)で頂きの丸い山の意味.広大な高原状のシバ草原があります. 草原を成立させるためには@年平均気温が13℃でブナ帯気候であることA牛馬が放牧され,休みなく牛馬に喫食されていることが必要です.ドンデンシバ草原は1000年以上の放牧の歴史があるそうです*9 |
今回の調査では4冊の新潟県の植物図鑑を用いました.全国版では載っていないものもあり大変重宝しました!欲を言うと「佐渡の植物図鑑」があったら…などと考えてしまいますが(・・;) また,その地域限定で売られている冊子(地域の人達が出しているもの)はその地域のことを知る近道であることがわかりました. 佐渡では「島の花」という冊子が道の駅の売店にありました.特に気にしていなかったのですが,先生が購入し,読ませていただいたところ… 佐渡で「アテビ」と呼ばれていたヒノキ科の常緑樹は「ヒノキアスナロ」という植物であることがわかりました.「ヒノキアスナロ」は図鑑にも載っていなかったので大変勉強になりました. |
写真:島野 トキ(トキ科) 繁殖期になると白い羽から灰色の羽へと変化します. |
左の写真はトキ保護センター内から双眼鏡を通してゲージ内のトキを撮影したものです. 鳥インフルエンザの影響でゲージに近づくことはできず,室内からの観察しかできませんでした. ご存知の方も多いかと思いますが,現在トキは佐渡にしかいません.日本にいるトキは80羽(2005年7月現在)です.野生復帰に向けて頑張っています!! |
★佐渡へのアクセス★ ☆佐渡汽船の乗り場 新潟港(新潟⇔両津) 寺泊港(寺泊⇔赤泊) 直江津港(直江津⇔小木) ☆空港 新潟空港⇔佐渡空港 |
新潟港に泊まっている「こがね丸」 |
左:本間航介先生 右:島野光司先生 佐渡相川にて 後ろは全て売切れの自動販売機.枯れています。・゜・(>_<;)・゜・。 |
島野先生の学生時代,同じく「ブナ」を研究していたライバル(?)本間航介先生にお会いできました.本間先生は現在新潟大学の先生で佐渡にある演習林に勤 務して,トキの野生復帰に向けて多忙な日々を送っています!トキの話やサドノウサギについての助言もしていただきありがとうごさいました。 島野先生には忙しい中,佐渡の調査を手伝っていただきましてありがとうございました.この場をおかりしてお礼申し上げます!!!そして,これからもご指導のほどよろしくお願い致します. |
*1剥製提供 矢田政治 *2岸田久吉.1937.8 理学界.35巻19 *3平野弘二.「冬の樹木」保育社 *4里山を歩く編集委員会.「信州の里山を歩く(中南信編)」信濃毎日新聞社 *5山本敏夫.「新潟県樹木図鑑」新潟日報事業社 *6山本敏夫.「新潟県野草図鑑<T>」新潟日報事業社 *7畔上能力.「山渓ハンディ図鑑2 山に咲く花」山と渓谷社 *8加藤明文.「ポケットガイド新潟県の山の花」 新潟日報事業社 *9佐渡百選実行委員会.「ニッポンを探そう。佐渡百選」 |