参道は土産物屋やら,うどん屋やらでにぎわっています.写真の奥の方に山が見えますが,あの上が金比羅さん(神社)です.目的地があんな上とも知らず, 今のうちは元気に進みます. |
土産物屋は相変わらず続くんですが,だんだん階段が多くなってきて,上り坂です. 「ひょっとして,ずっと登り?」 この写真のあたりは,まだまだ序章です. |
参道から,ちょっと脇に目を向けます.シロバナタンポポです.西日 本では珍しくないのですが,東日本ではほとんど見ません.とりあえず写真に撮っておきましょう. |
桜が咲き始めた頃でした.美しいですね. |
この地域は開発さえされていなければ常緑広葉樹林(照葉樹林)が広がる気候帯です(暖温帯).神社のまわりは開発されてこなかったため,こうした常緑樹が自然の状 態で残っています. これはウラジロガシ.カシの仲間の中で,葉の先の方に鋸歯があるの はシラカシと一緒ですが,その名の通り,葉の裏が白いんですね.覚え やすいです. |
これは,私もしばらく分からずに悩みました. なんとカナメモチです.カナメモチが種子から自然に再生しているん ですね. 私が今まで見てきたカナメモチは,全て植栽で,しかも,若い芽がより赤く目立つように品種改良された,ベニカナメだとか,レッド・ロビンというものでし た. 野生のカナメモチは初めて. |
いやー,金比羅様,建物が立派.屋根は檜皮葺(ひわだぶき,ヒノキの幹の皮をはいで,屋根の材料にするもの)です. |
こちらがメインの建物,本宮.中に神様がまつられています.正面から写真を撮らないように,注意書きがされています. 私はよく知りませんが,神様の本体を写真でとるのは不敬なことなのでしょう.伊勢神宮なんかは,写真さえ撮らせてくれないゾーンがありましたからね. |
また,展望が良いんですよ.左手に見えるのは,讃岐富士という山. 信州基準考えると,あり得ない形をしています. |
奥社,というのがあるということなので,いってみましょう.そう,何度も来る機会があるとは思えません. 林床にイズセンリョウを見つけました.うーん,常緑樹林ですね.こ れは低木種なので,そんなに大きくはなりません. |
なんだこれ,カシじゃないし... |
アップで見ると,見たことがあるような無いような... |
と思ったら,カゴノキでした.なるほど.幹を見ると分かります.樹木 が成長していくと,幹肌が鹿の子模様(かのこもよう)にはがれていくので「カノコ」→「カゴ」ということです. |
こちらはサカキ.神社で神主さんが使いますね.葉の縁に鋸歯(ギザギザ)が無いのがサカキ,あるのがヒサカキです. 枝の先端を見ると,芽が,ヒュッ,と尖って伸びていますね.これが特徴です. |
常緑広葉樹林の林床といえば,このヤブコウジを忘れてはいけません ね. |
こちらはマンリョウ.お正月,縁起物として飾られたりしますね.も ちろんお金が1万両,という所に引っかけてのことです. え,100万両がいい?どうぞ,おすきに. |
ニッケイです.在来種にヤブニッケイがありますが,こちらは中国原産.どう見分けるかというと,ヤブニッケイの葉の付き方は互生ですが,ニッケイの方 は,対生のように見えます.正確には,対生のように見える互生,何ですが,対生がニッケイ,互生がヤブニッケイ,と覚えておくと良いかもしれません. |
常緑樹林の中にも落葉樹はあります. イヌビワ,です.二次林に良く出たりしますね.ここでは路の脇が明るくて,林冠ギャップの様な役割を果たし,それで(暗いとダメな)落葉広葉樹が分布で きているのでしょう. |
ヤブツバキも暖温帯落葉広葉樹林を代表する種です.植物社会学的には「ヤブツバキクラス」ですから. 枝ごと落ちてしまっているのは,ちょっとかわいそうですが,風情がありますね. |
いやー,つきました.奥社.ここの標高は420mほど.階段で 400m上がったわけではないでしょうが(スタートが0ではないでしょうから),久々に,なまった足腰を使った感じです. おなかも締まってくれると良いんですが. |
といった感じで,金比羅参りをすませました.私の目的は社寺林に残されている貴重な自然だったんです
が,これを守ってくれているのも金比羅様ですので,ありがたいことです. 特に,本宮から奥社まではしばらく道のりがあるため,その分広く,森林が守られる結果になったと思います. この自然が,長く維持されますように. |