(今回は,研究室の3年生がお届けします.島野)

2007年11月7日、今回のゼミは深まる秋を感じに 世界遺産白川郷に行ってきました。天気もよく、紅葉もとてもキレイに見えました。そこで、そのときの様子を3年生がレポートしたいと思います。

前半部白川郷についてを後藤、堀毛が、後半部植物についてを來住、渡邉がお送りします。
では、どうぞ。
白川郷とは、岐阜県(飛騨國)北西部、庄川上流域の総称です。大野群白川村と庄川村からなり、明治期まで は交通の便がわるく、周囲から隔絶され、日本三大秘境とよばれていた場所です。1995年、「白川郷と五箇山の合掌作り集落」として世界遺産に登録されま した。白川村の萩町地区を中心とする112棟の茅葺きの切妻合掌造りは、重要伝統的建造物保存地区に指定されています。
白川郷風景
出逢い橋
白川郷入り口、出逢い橋からみえる景色です。
紅葉がとてもきれいですねー。
合掌造り
これが茅葺き屋根の合掌造りの家です。水漏れ、虫 食いなどの被害がなければ、80年ほどもつそうです。ここにちょっと見えている電柱、なんと木製です!始めて見ました・・・
ここで合掌造りについて説明させていただきます。
合掌造り図
合掌造りとは民家の形式のひとつです。由来はその名のとおり手を合わせたような屋根組みから来ています。 雪を自然に落下させるために屋根を急斜面のしたことから生まれました。
白川郷民家
屋根裏までいれると4、5階建て。1、2階は住居、3階以上は物置として利用されており、また江戸時代以 降は冬の豪雪により農業の厳しい白川郷の重要な換金作物」として養蚕に使用されていました。茅葺き屋根と切妻造が特色です。
白川郷和田家
白川郷内でも有数の権力を持っていた和田家の様子です。白川郷内でも最大規模、かつ最古の建物となってい ます。人の大きさと比べれは家の大きさがわかると思いますが、これが白川郷特有の大家族制をあらわしています。
白川郷魚
散歩の途中で見かけました。養殖でしょうか、お魚です。うーん、イワナかニジマスあたりかな。塩焼きにし たら絶対おいしいです!
白川八幡神社
白川八幡神社では毎年10月にどぶろくをふるまう「どぶろく祭り」がおこなわれています。古くから外界と 隔絶されてきた酒が数少ない楽しみ?だったと思われます。
お酒そのものの他にもどぶろく羊羹、どぶろくきんつばなどの名産があります。
朴葉味噌
お酒、名産ときたらこれです、朴葉味噌。
ホオノキの葉の上に味噌、ネギ、季節のキノコなどをまぜてのせ、小さなこんろで焼いて食べます。
後藤君、堀毛君お疲れ様でした!ここからは、來住と渡邉が見られた植物について 発表します。

サンカクイ
サ ンカクイ Scirpus triqueter

写真ではちょっと遠いですが、田んぼの中に針のような植物が生えています。触ると茎が三角形なのが分かります。池や沼、川岸などに生える、高さ 0.5~1.2mの多年草です。茎の先に長さ2~5cmの苞(花や花序の下部にある葉)が1個直立し、そのわきから2~3個の枝を出し、先端に2~3個の 枝をだし、先端に2~3個の穂をつけます。
ヒツジグサ
ヒ ツジグサ Nymphaea tetragona

写真の水面に浮かんでいる葉がヒツジグサです。日本全国の池や沼に広く分布をしています。水中で地下茎を伸ばし、水面に葉と花を咲かせ ます。漢字では、未草(ひつじぐさ)と書き、未(ひつじ)の刻、午後2時ごろに花を咲かせることから名前が付けられたそうです。でも実際には、朝から夕方 まで花は咲いているそうです。なにか矛盾しているような・・・
アシボソ
ア シボソ Microstegium vimineum

画像が荒くなってしまいましたが、真ん中あたりの岩の隙間からひょろっと生えているのがアシボソです。名前の由来は、茎の基部の方が上部より細いからと言 われています。ヒメアシボソの変種で、ヒメアシボソより全体 的にやや大きめです。小穂は長さ5~8mmで、長さ1.5cm程の長い芒があります。
タマガヤツリ
タ マガヤツリ Cyperus difformis

花序が丸いカヤツリグサ科の植物。茎の先には同系の苞2~3個あり、その間から1~6個の枝を出し、多数の小穂 が球形に集まった直系約1cmの花穂をつけます。他の畦や溝のふちなどにごく普通に生えています。
カヤツリは、漢字で書くと「蚊帳吊」。茎を両端から90度違えて裂くと四辺形ができるので、これを蚊帳を吊ったのに見立てて命名されたらしいです。実物の 蚊帳を見たことがないのであまり想像できませんが。
チョウジタデ
チョ ウジタデ Ludwigia epilobioides

全体がタデに似て、花がチョウジに似ているのでこの名が付きましたが、実際はアカバナ科です。根がゴボウに似ているので田牛蒡とも呼ばれます。右のヤナギ タデと似ていますが、こちらは辛くありません。
高さ30~70cm、茎には稜があり、しばしば赤味を帯びます。葉は長さ1~3cm、表面は側脈が目立ちます。ちょうど紅葉していました。

ヤナギタデ
ヤ ナギタデ Polygonum hydropiper

葉が柳に似ていることからそう呼ばれます。「蓼食う虫も好き好き」のタデがこれで、葉に辛味があります。私達も食べてみましたが、舌にくる辛さでした。芽 を刺身のつまにしたり、タデ酢の原料にしたりするそうです。
水辺に生える1年草で、高さ30~80cm。花序は長さ4~10cmで先は垂れ、僅かに紅色を帯びた白い花を疎らにつけます。
サクラタデ
サ クラタデ Polygonum conspicuum

水辺や湿地に生える多年草で、地下茎を横に伸ばして増えます。
葉は互生し、長さ7~13cmの披針形でやや厚く、裏側に腺点があります。托葉鞘は長さ1.5cmの筒状でふちには長い毛があります。花序は細長く、淡紅 色の花をつけます。
アキカラマツ
ア キカラマツ Thalictrum minus

山野の向陽地に生える、高さ0.7~1.5mの多年草です。葉は2~4回3出複葉で、小葉はペンギンの足のような可愛らしい形をしています。
全草にタカトニン、マグノフロニンという成分を含み、苦味があります。長野県高遠町では古くから健胃薬として用いられています。
秋に淡黄白色の小さな花を円錐状につけるのですが、たくさんの長い雄しべがよく目立ち、その様子がカラマツ(マツ科)の葉に似ていることからこの名になり ました。
ナギナタコウジュ
ナ ギナタコウジュ Elsholtzia ciliata

花穂が反り返り、花が片側につく様子を薙刀に例えたもの。全体的に強い香りがします。
比較的日当たりの良い山地や道端に生える高さ30~60cmの1年草。茎は四角で全体に毛が少しあります。葉は対生で長い柄があり、長卵形で先は尖り、縁 には粗い鋸歯があります。
秋に採取して乾燥させたものをコウジュといい、生薬として利用されています。
ホトトギス
ホ トトギス Tricyrtis hirta

若葉や花の斑点を、鳥のホトトギスに見立てたもの。
山地のやや湿った所に生える多年草です。茎には斜め上向きの褐色毛が密生しています。葉は8~18cmで先が尖り、基部は茎を抱きます。
オオケタデ
オ オケタデ Persicaria orientale

高さ1~2mにもなる大型の1年草。アジア原産で、江戸時代から観賞用として栽培され、現在は各地の道ばたや荒地、河原などに野生化しています。
葉は卵形で長さ10~20cm、先はとがり、基部は心形となり、長い柄があります。托葉が筒型で、縁は葉状となります。花穂は淡紅色で長さ5~12cm、 先は垂れ下がります。
ドクダミ
ド クダミ Saururuceae huttuynia

ドクダミは、低地や山麓の日陰に集まって生えていることが多いです。花は、小さく淡黄色で多数集まって穂をつくっています。その下に、白色の苞(ホウ:葉 が変化したもの)が4枚十 字型につきます。皆さん見たことがあると思います。
全体に臭気があって、昔から薬に使われています。小さい頃飲まされたドクダミ茶を思い出します。。。
ミソハギ
ミ ソハギ Lythrum anceps

山野の湿地に生え、高さは1m位になります。葉は細長く、先端は尖っています。花は写真では見づらいですが、6枚で紅紫色をしています。
名前は、ミソギハギ(禊萩)の略といわれていますが、その由来は、身を清める小川の周辺に生えていたから、身を清めるために使っていたからなど、さまざま な事が言われています。お盆の花に使われるなど、不思議な雰囲気を持った花ですねぇ。
コブナグサ
コ ブナグサ Arthraxon hispidus

コブナグサは、水田の付近や道ばたに生えます。茎の下部は横に伸び、上部は斜めに立つという面白い成長の仕方をします。長さが3~4cmの穂ができます。
名前の由来は、葉の形が小ブナのようだから。。。ホントに??
ヤマナシ
ヤ マナシ Pyrus pyrifolia

落葉高木で、高さは5~10mになります。
本州、四国、九州の人家近くの山中に自生し、中国にも分布します。
ナシはヤマナシから栽培されたと考えられる。確かにナシの味がしました!!(落ちていたのを食べました)
ホオノキ
ホ オノキ Magnolia obovata

山地に生える落葉高木で、大きなものは高さ30mにもなります。葉は、枝の上方に集まってつき、形は写真のような倒卵形または倒卵状長楕円形になっていま す。
南千島、北海道、本州、四国、九州の主として冷温帯から暖温帯の上部に分布しています。材は、家具や細工物に用いられ、葉は古くから食物を盛るのに用いら れていました。ホウバ味噌は、この葉を使っています。
以上、至らないところも多くありますが、白川郷ゼミのレポートとさせていただき ます。
今回、このような機会をもてたことに対し、島野先生、先輩方にお礼申し上げます。

参考文献
野に咲く花/林 弥栄監修/山渓ハンディ図鑑
日本の野生植物 木本Ⅰ/下中 弘/平凡社 1989
信州の野草/奥原弘人/信濃毎日新聞社
高山と飛騨路/高倉三朗/ブルーガイドブックス
Microsoft エンカルタ総合辞典
ウィキペディアフリー百科事典
参考HP
白川村ホームページ http://shirakawa-go.org/
おしゃべりな部屋 http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/
季節の花 http://www.hana300.com/
深山毒草園 http://kitola.hp.infoseek.co.jp/
花図鑑(松江の野草樹木の花の名前)・サイクリング日記 http://homepage.mac.com/n_yoshiyuki/