山形市内と蔵王山って近いんですね.全然知りませんでした.市内から1時間も車でかからなかったと思います.で,ロープウエイ. 目指す「いろは沼」は山地帯の落葉広葉樹林(ブナ林)と亜高山帯の常緑針葉樹林帯の境界域に位置します. |
針葉樹林と,落葉広葉樹林の両方を見られてお得な「いろは沼」,時間がないので有名な「お釜」は今回はお預け. ロープウエイからスキー用のリフトに乗り換えると,紅葉の中を,まさに空中散歩. 気持ちいいですよ,これ. |
蔵王はですね,ミヤマナラ,というミズナラの高山型の変種がありま す.背が低くて,大きくなりません.多雪に対する適応でしょう. |
葉を見てもミズナラそっくりで良く違いが分かりませんが... |
裏面脈上に伏せた毛があるのが分かりますね.これが特徴.私が学生 時代の後輩がこれを研究していて,「寝た毛がある」と繰り返していたのを思い出します. |
あとはですね,針葉樹,イチイ.上高地でも見ますね.葉が綺麗には 並ばず,ランダムに生える感じがイチイ.あとで出てくるオオシラビソと比べて下さい. |
亜高山の広葉樹といえばシャクナゲですが,これはハクサンシャクナゲ. |
裏に毛があるのが特徴ですが,ケナシハクサンシャクナゲというのは毛がないので,どうやって見分けるのか分かりませんね(^^; |
あとで出てくるナガボノシロワレモコウは穂が垂れます. |
こちらはシロバナトウウチソウの葉.紅葉していますが,葉のようなものが7枚くらい見えますが,これらは小葉(しょうよう).これが全部集まって一枚の 葉です.奇数羽状複葉. で,このシロバナトウウチソウは,小葉に葉柄がある(小葉柄がある)のが特徴のひとつ. それにしても濃い色ですね.アントシアニンでしょうか. |
再び針葉樹.ゴヨウマツの仲間ですが,キタゴヨウです.チョウセン ゴヨウはもっと葉が長いのですが,これは比較的短いので区別が付きます. あと,分布.チョウセンゴヨウは雪の少ない中部山岳地域に出ますが,キタゴヨウは雪のある東北などに分布します. |
球果の写真もお見せしましょう. |
ゴヨウマツ,五葉松という名の通り,葉が束になって出ますが,1ヵ所から5本の針葉を出します. アカマツ,クロマツなんかの二葉松は二本. |
こちらはオオシラビソ.シラビソと違い,雪の多い地方に行くほど多 くなります.シラビソはこうして枝葉を見たとき,上から見て枝が見えますが,オオシラビソは枝の上にも葉が生えているので枝が見えません. これで見分けられます. |
ハナヒリノキ.これも紅葉がこいですね. |
これはブナ林の樹木,ハウチワカエデ.コハウチワカエデやオオイタ ヤメイゲツが葉身(葉のうちの葉柄を含まない部分)と葉柄の比が1:1ぐらいなのに対し,このハウチワカエデは明らかに葉柄が短く,葉身の1/2位しかありません. |
オオカメノキ.これもブナ林の林床に出るものです.私個人はムシカ リとよぶことが多いです. 東京,三頭山に「ムシカリ峠」というのがあって,その影響です. |
ミツバオウレン.こちらは亜高山の針葉樹林下に出るものですね. |
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ナンブアザミ,葉を見ると,上の方は鋸歯があっても切れ込まないんですが... |
下の方に付いている葉は,羽状に切れ込みます.ということで,葉で見ても,ナンブ アザミということで. |
うーん,イネ科が出てきてしまいました.ヒメヌカボかなんかでしょ うか. |
こんな感じなんですが.どなたか教えて下さい. |
...と散策している間に,いろは沼に到着.大小たくさんの沼があるということで「いろは」に例えているのだと思います. |
ああ,いいじゃないですか.オオシラビソの森に囲まれて. |
草本が紅葉することを「草紅葉」とよびます.「枯れている」という と残念な感じですが,「草紅葉」っていうと,ちょっといい感じでしょ? |
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こんな感じ.イワショウブであれば,白い花だったはずです.ユリ科. |
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葉っぱがこっちは少し見えますね.キンコウカもユリ科です. |
アカミノイヌツゲ.文字どおり,実が赤いです.岩場に出たり,湿原 の脇に出たりしますので,生理的には広い環境幅に適応可能で,しかし競争には弱い,といったものだと思います. |
夏に来たら,と想像をふくらませます.また来たいですね. |
これも紅葉が見事です.サラサドウダンツツジ. |
こちらはミネカエデ.コミネカエデがブナ林,すなわち山地帯に分布 するのに対して,このミネカエデは亜高山帯に生育します. |
クロヅル.ツル植物ですが,これ,多雪地帯に生育するので,これが あるところは結構雪が降る証拠です. |
この高さは雪の深さの大まかな指標になりますね. |
ザオウオヤマノリンドウ,というのがあるそうです.普通に見ればオ ヤマノリンドウ.花が一番上にだけつきます.良く花屋さんで見かけるのはエゾリンドウの仲間で花が何段にもつきますね. このザオウオヤマノリンドウ,オヤマノリンドウの地域型か何かでしょう.誰か調べてみて下さい. |
こちらはタケシマラン.葉はとっくに枯れていますが,実はまだ残っ ています.動物は食べてタネを散布してくれないのかな? |
ブナ林の林床に出る常緑樹を2種. こちらはヒメモチ.ヒメアオキじゃありません>自分.葉柄が濃い紫色なのが特徴です. どちらも,寒い冬期の間,雪のカバーに守られて氷点下何十度とかにならずに済んでいるため,標高の高いところでもok,と考えられています. |
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ナナカマドも,しっかり紅葉しています.実が横向きに付いています が,ここ,蔵王ではタカネナナカマドは確認されていないと言うことなので,ただのナナカマドでしょう. |
ブナ林も紅葉しています. |
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さて,リフトもロープウエイもスキー用を兼ねているので,スキーのゲレンデを歩いてみましょう. で,ブタナを発見.いきなり現実世界に戻ってきたような気分. ちなみに,ゲレンデ,というのはどうやらドイツ語.英語ではスキー・スロープといいます. |
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前日は蔵王を見て,午後から会議.で,翌日.カモシカが洋ナシを食べたりして被害を起こしていると.その対策を見に行きます. 洋ナシを食べるというか,枝や芽を食べてしまって,木をダメにしてしまうんですね. |
立派な洋ナシです.ラ・フランスだそうな.この,ヒョウタン型とい うか,2段になっているのが特徴. お世話になっているバーで,秋の季節,「洋ナシのフローズン」というのがお勧めのカクテルになっています.私はウイスキーばかりですが. |
ウイスキーの話になってしまうと,また夜の話になってしまうので,戻ります. カモシカよけのネットは,こうしたもの.長野県担当の方と話をしたんですが,長野県では同じようなものでも「シカ対策用」で予算を組んでいる関係で,実 際にはカモシカ対策にもなっているかもしれないが,「カモシカ対策はしていない」ことになるのだとか. 難しいっすね. |
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先ほどシロバナトウウチソウのところで触れた,ナガボノシロワレモコウで す.まず,穂が長いために,まっすぐ立たないで,垂れていますね. |
で,ですね,小葉が多いんです.11枚から15枚くらいあるそう で,ここでは13枚. 確かに,多すぎ. |
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アブラガヤでいいでしょ?小穂が独立していると,何とか,とか聞き ますが. |