2009年3月.4年生はみんな卒業です.研究室のみんなで,最後に出かけておきましょう.遊び,じゃダメだけど.で植物観察.
 ですが,冬場の植物観察って,難しいんです.信州だとみんな葉っぱが散ってしまって,ソヨゴとかアカマツとかばっかり.で,この季節は暖温帯の常緑広葉樹を見る のが正しい.こういう所は,夏行くと暑かったり,蚊に刺されたりして大変なので.

 で,何処へ行くか.

 身近な環境で自然の残されている所というと,神社林なわけです.ほう,暖温帯で,神社.どうせなら有名な,大きな所へ行きますか?

 で,伊勢神宮

二泊三日.初日は移動.二日目の朝です.朝風呂(温泉)が浴びられるので,禊ぎもかねて,さっぱりしておきます.

で,伊勢神宮・外宮(げくう).
 神社林,これ,正式には社叢(しゃそう)と言いますが,ちょっと難しい言葉なので神社林で良いと思います.ちなみに社寺林というのは神社やお寺の林.お 寺の境内は 「庭」としてとらえられているので,必ずしも自然ではありませんが,神社の境内というのは,神様が降りてくる舞台,と言うことで,人が手を入れず自然が守 られています.
 あるいは,山自体がご神体とされたりしますので,やはり山の自然に手を入れません.
 では,外宮,北参道から見ていきます.
バリバリノキ
 では,バリバリ行きましょう.まずはバリバリノキ.なんだよ,おや じ ギャグかよ.クスノキ科ハマビワ属.垂れた枝が風ですれるとき,バリバリと音を立てる所から,名前が付いたとか.
 バリバリノキは葉の縁が波打ちますが全縁.似てて鋸歯があるのは多分ヤマモガシです.
ホソバカナワラビ
 石垣に見えるのはホソバカナワラビ.オシダ科カナワラビ属.カナワ ラビの仲間は,羽片て言うんでしょうか,一番下の羽片から,もう一つ大きめの羽片がでる のが特徴です.で,これ全体で一枚の葉ですが,葉の先端にかけて急に細くなる. これがホソバカナワラビ.だんだん小さくなっていくのはコバノカナワラビ.コバ,は小葉,です.
マメヅタ
これもシダ植物.マメヅタです.良くこうやって大きな木や岩に張り付 いていたりします.

 神社林を見ると言っても,参道からはずれることは出来ません.参道際にある植物を見ていきましょう.
サカキ
 これはわかりますね.サカキ.枝先の頂芽が,芽鱗(がりん)等が無 く,ひゅっと伸びます.この写真ではちょっと見にくいかな.
イズセンリョウ
 ああ,久しぶりです,イズセンリョウ.クチナシみたいな葉を付け て,花は枝から遠くない所に地味めにつけます.ヤブコウジ科イズセンリョウ属

 社務所や神楽殿のある建物の側面.いや,でかいですね.
サンゴジュ
 こちらはサンゴジュ.日頃見るのは,公園などで植えられたものです が,これは植えられたものではありません.
ウバメガシ
 ウバメガシ.海沿いの断崖絶壁の所に生育したりします.材は備長炭に使われます.備長炭の産地は紀州が有名で,伊勢は違いますが,同じ紀伊 半島ですね.


ヤマビワ
 ヤマビワです.標準ズームレンズしかもって行かなかったので, トリミングして部分拡大しています.これ,なんとアワブキ科アワブキ属.葉は常緑で,鋸歯がある場合と無 い場合があります.葉の下面脈上に褐色毛があり,茶色く目立ちます. 葉の先は急に鋭く尖る特徴があります.
アオガネシダ
 実はタチシノブかと思って写真を撮って,佐藤先生に見ていただいたんです.そしたら,葉柄の裏が黒いことがわかって,アオガネシダであることがわかりました.タチシノブはホウライシダ科タチシノブ属,アオガネシダはチャセンシダ科チャセ ンシダ属と言うことで,他人の空似(そらに).
マツバラン
 これも大木に着生しています,マツバラン.マツバラン科マツバラン 属.松の葉のような,と言う名前でしょう.
三石
 正宮に向かってすすみます.で,これ,三石と言うんだそうです.知 る人の間では...まあ,良いです.
外宮
 ああ,来ました.外宮正宮.御祭神は豊受大神(とようけのおおか み,とようけひめ).受(うけ)とは食物のこと.豊かな食物をもたらしてくれる神様,と 言 う意味だそうです.人によっては,こここそ国常立太神,天之御中主神につながる,ともいいます.
外宮
 角度を変えて.わざと正面をはずして写真を撮っています.正面から 写真を撮るのは不敬なこととされていますので.鳥居をくぐったり,参道を歩くときも 中 央 は通りません.一応,日本のマナーとして,知っておきましょう.外国から人が来たら,皆さんから,教えてあげて下さい.
式年遷宮の地
 こっちは式年遷宮(しきねんせんぐう)の地で,次にお社が移される所.皆さん知っていると思いますが,伊勢神宮は20年に一度,社(やしろ)をとなりの 敷 地に移します.今の社の前はここに社がありましたし,また,次の機会にこちらに社が移ります.次は平成25年,2013年です.
風宮
 こちらは,風宮(かぜのみや).御祭神は級長津彦命(しなつひこの みこと)と級長戸辺命(しなとべのみこと).wikiによると,元々は農耕のための雨 風を司る神様だったそうですが,元寇のときに,神風を吹かして日本を守ったのがこの二柱の神様とか.
ホソバカナワラビ
 風宮から多賀宮に向かって参道の階段を上がっていきます.再びホソバカナワラビ. こっちはストロボで,バチッと撮りました.
ヌリトラノオ
 佐藤先生に教えていただきました.ヌリトラノオだそうです.チャセ ンシダ科チャセンシダ属.葉が 真っ直ぐ伸びますが,先っぽに無性芽をつけて,先から分かれると言うことです.私はツルデンダとか,その辺の仲間かと思ったんですが,佐藤先生いわく「他 人の空似」.
多賀宮
こちらも別宮,多賀宮(たかのみや).檜尾山,という山の上にありま す.豊受大御神の荒御霊を祭ってあるとのこと.

 ああ,なんだっけ,アオノクマタケランじゃなくて...(学生諸君が,図鑑をめくってくれてアオノクマタケランのページを出してくれます),ああそう, こっち,ハナミョウガ.これです.ショウガ科ハナミョウガ属.図鑑に はビロード状の毛があって...と書いてありますので,みんなで触ってみます.
 おお,すごい手触り!高級ソファーな感じ.
ミミズバイ
 ミミズバイ. ハイノキ科ハイノキ属.この属は,常緑樹がたくさんあって,私,苦手なんですよ.博士号をとったのが,ブナ林の研究だったため,対象はほとんど落葉広葉樹 で.
 で,ミミズバイですが,基本は全縁ですが,たまに小さな鋸歯がある,と.さらに葉の縁は透明な膜状になっていると言いますが,そこまでは確認しませんで した.
アオキ
 これは基本種.アオキ.ただミズキ科だって知っていました?ミズキ科アオキ属.葉は対生.実は熟すと赤くなります.
土宮
 多賀宮から降りてくると土宮.風宮のはす向かい,と言った場所で す.御祭神は大土乃御祖神(おおつちのみおやのかみ).これまたwikiによれば,こ の,外宮の土地の土地神様だそうです.
ヘラシダ
 岩からあやしいシダが.例によって写真を持って佐藤先生に聞いちゃいます.ヘラシ ダだそうです.なるほど,へら型です.イワデンダ科ヘラシダ属.ああ,そうですか,属を代表するような有名人でしたか.失礼しました.
亀石
 有名な亀石.と言っても,私も今回初めて知ったんですが(笑).パ ンフレットやガイドには必ず出ています.この石,橋になっているんですが,これが上か ら見ると亀の形になっているんです.今見てているのは甲羅の部分,で写真の左側の方をみると,真ん中から頭を出して,左右に前足があって,って状況が見 えます.知っていると楽しめるアイテムですね.
神楽を奉納
 で,ですね,有志で神楽を奉納させていただきました.なかなかここまで来れないですし,せっかくなので.
 こういうのはもちろん自由参加.あんまりカジュアルな服装だと困りますので,服装が何な人もちょっと.で,私を含めて5人で.
 神楽を奉納,と言っても,我々が神楽を舞うわけではありません(笑).そ んなの出来ないし.
 社務所で神楽を奉納させて下さい,とお願いすると,住所や名前,お願い事なんかを聞かれ,書いてくれます.これは,神楽の前に祝詞の奏上があるのですが そこで 名前などを言ってもらったりするためです.私は,お願い事は無いので,「神恩感謝」としてもらいました.ま,意味としては,神様に,生かしていただいてい る恩に感謝 する,という感じです.
 太々神楽をお願いして,待合室で待っていましたら,神職の方が見えて,代表の私の名前だけでなく,皆さんの名前も,と言うことで,殿上で全員の名前を 挙げていただけることとなりました.ありがたいことです.
 写真は,待合室で.神楽の写真はないの,って,写真なんか撮っちゃダメです
 こ の写真は内宮ですが,こんな感じ
 別のサイトに飛びます

 お神楽のあと.表参道方面に移動して,橋の上でまた一枚.一応,男子学生諸君はネクタイをしていて,皆さんジーパンとかではないんですが,これが後々問 題に (笑)!こうご期待.
アラカシ
 こちら,ご存じアラカシ.葉の先端のほうから半分くらいまでの部分 に粗い鋸歯があります.信州でも,飯田とか,南の方に行くと見られます.松本とかでは見ませんが.
テイカカズラ
 こちらは,テイカカズラ.木本のツル植物.全縁です.ですが...日陰だと鋸歯がある場合があって,ツルマサキと似ます.ただ,テイカカズラは葉をちぎると中から繊維状のものが出てくるのでそれで判別できます.
 いや,こうした神社なんかでそんな事してはダメですよ.

 で,これまたせっかくなので,式年遷宮のご寄付をさせていただきま した.日本の伝統と文化を守る,と言うことです.そうしましたら, カードを頂き,これ で御垣内特別参拝ができるとのこと.これ,何かというと,先ほどの写真で鳥居があって,門があって,そこに白い布がかかっていますね.御帳(みとばり)と 言います.普通はあの門の,御帳の前で参拝するのですが,あの門の先へ行って参拝できるとのこと.そういうことなら参ります.
 で,そんな話をしたら,有志学生諸君も,それなら,と言うことで寄付を差しあげ同行します.写真は,向こうのカウンター(?)で,ご寄付をさせていただ いている所.
 みんな緊張しながら(いや,私も),参拝させていただきました.
赤福
 さて,外宮をあとにして内宮(ないぐう)へ向かいます.外宮からは内宮行きのバスに乗りますが,途中の猿田彦神社で降りて,土産物屋さんなんかを見なが ら行きます.大変な人,人,人.
 みんな赤福のお店で,誘引され,トラップに引っかかっています.

 昼食もこの辺で.伊勢うどんとか,豚捨,とよばれる牛丼が名物らしいんですが,私はなんと,ここまで来て「信州そば」.ええ,慣れたものが良いんです よ,この年になると.
宇治橋
 さて,有名な宇治橋(うじばし)を渡って...と行きたい所です が,なんと掛け替え中.
宇治橋
 ありゃー,これは渡れませんね.
宇治橋
 となりに掛けてある,臨時の橋を渡ります.ま,こんな風景も見られないと言えば,見られないですが.
カナメモチ
 さて,境内に入ります.まずは野生のカナメモチ.これ,バラ科で す.バラ科カナメモチ属.芽だしの葉は赤いのが特徴.この時期は赤くないですが.
 よく生け垣で園芸品種が植えられています.葉っぱがずっと赤いやつ,ね.レッドロビンとか言うそうです.
アセビ
 アセビが花を咲かせていました.これは山地帯,標高1000m以上 の所でも自生します.ブナ林の尾根部なんかに.
シロバイ
 知らない樹木を発見.my新種.色々調べてツツジ科のシャシャンボかと思ったんですが,どうもシロバイの様です.であれば,ハイノキ科ハイノキ属.特徴としては,若枝に密に 斜上する毛がある,常緑,葉には低い鋸歯がある,と言った所.現地ではわからず写真で調べていったんですが,確かに若枝,当年枝に,密な毛があります.
 違っていたら教えて下さい.
shimanoあっとshinshu-u.ac.jp まで.
(シロバイ,ってタイプすると白バイって変換されてちょっと嫌かも(^^;)
内宮 式年遷宮の地
 さて,鳥居をくぐり,手や口を清めて,ずんずん進みます.こちらは内宮の式年遷宮地.こちらもすでに準備が進んでいて,板で囲われ,中は見えません.
 光に包まれていますね.

 ねえ,ねえ,みて,これ,すっごいよ!

うーんすごいです.
内宮
 で,みんな参拝をすませ,記念写真.
 内宮で写真を撮れるのは,この石段の下まで.ここから先では写真を撮るのは禁止されています.石段の上に鳥居が見えますね.あの先が拝殿.
で,私は学生諸君より早く来て,御垣内参拝をさせていただいていたのですが,さてみんな戻ろうか,と言う とき.
「御垣内参拝,いいの?」と私.例の4人です.
実は,寄付をさせていただいたときの金額によって,カードが異なっていて,私のカードには「平成28年まで有効」と書いてあるんですが,学生諸君のカード は,「1回限り」と書いてあったそうなんです.
 で,外宮で一度済ましているからこれで終わり,と言う解釈と,外宮,内宮,それぞれ一回限り,と言う解釈で悩んだそうなんですね,彼らも.
「でも,まあ,だめもとで行ってみたら?」
「はい」「じゃあ」
と言うことで再び石段を登っていきました.
御垣内参拝は,神職の方がお祓いをして下さったりで,そうすぐに終わるものではないんです.結構厳か(お ごそか).でもそれにしても時間がかかっている. 石段下で待ってた私ですが,上まで上がって様子をうかがいに.ちょうど終わって出てくる所.

「ずいぶん時間,かかったね」
するとみんな照れ笑い.「なんかあったの?」

「いや,みんなでカード出してお願いしたとき,神職の方に『外宮もそれ(その格好) でお参りしたんですか?』って聞かれたんです...外宮で認めちゃっ たんなら,仕方ない な,って感じで」
私,爆笑.

 もう一度,彼らの格好,ファッションを見てみましょう.うーん,ちょっとカジュアル(笑).本当は,みんなスーツを着て参拝するものなんですよ,御垣内 では(笑)
 ま,良い経験になったんではないでしょうか(笑).
内宮神楽殿
 内宮神楽殿.もう日は斜めになっています.
五十鈴川
 五十鈴川を渡って風日宮へ.
カナメモチ
 さっきの写真で葉が見えませんでした.でもう一度.カナメモチ
タラヨウ
 こちらはタラヨウ.これは関東でもよく植わっているので,わかります.
風日宮
 で,風日宮.御祭神は外宮の風宮と同じだそうです.
 実はここへ向かう途中,ちょっと済みません,という感じで歩みをとめられました.何でも何処か地方のテレビ局の撮影のようで,えーと,ぐっさん,っていうんですか?ビールのCMの人.あの人が来ていました.神職の 方とお参りしたあと,我々とすれ違ったんですが,
「お待たせして,済みませんでした」
とあいさつされていきました.礼儀正しい方です
我々も会釈だけ.もっとはしゃいだりしてあげたほうがよかったんでしょうか,有名人に対しては(笑).
タイミンタチバナ
 タイミンタチバナであってますよね?宮崎の植生学会エクスカーショ ンで,一度だけ,見上げるようにしてみたことがあるだけ.ほぼmy新種.互生,鋸歯が無くスマートな被針型(ひしんけい),葉柄の部分が赤く色づきます. ヤブコウジ科ツルマンリョウ属.違ってたら教えて下さい.
shimanoあっとshinshu-u.ac.jp です.
神鶏
 おお,にわとり,神鶏(しんけい)っていいます.尾っぽの羽根が立派ですね.
神鶏
 人に動じません.逃げません.というか,彼女らの所へよっていきます.私の所へは来てくれませんが(泣).やはり,心の綺麗な人のことは見抜いてしまう んでしょうか.カジュアル・ファッションはともかく(笑).
 私も神鶏に認められるように,人間を磨かないといけません(^^;
カクレミノ
 これもわかりますね,カクレミノ.ウコギ科カクレミノ属.葉が3裂しているのは分かりやすいんですが,分かれていないものもあり,それはちょっと難しい です.しかし,木全体を見ればきっと分かれている葉があります.探しましょう.
マンリョウ
 こちら,マンリョウ.これで大人サイズ.葉の縁,鋸歯が波打っているのが特徴.ヤブコウジ科ヤブコウジ属
ネズミモチ
 これもおなじみ,ネズミモチ.モクセイ科イボタノキ属.葉は対生で,全縁.葉を空に透かしたときに,脈が透明に見えたら外来のトウネズミモチ.ネズミモ チは透けません.
 伊勢神宮,内宮はここまで.
ねこ
ねこ.ネコ科ネコ属.寝る子は育つ.

にゃー
コシダ
 泊まりは志摩.海岸沿いの崖地を見ますと...シダがあります.コシダ. ウラジロ科コシダ属.5つの羽片が鳥足状になって,一枚の葉です.
ウラジロ
 すぐとなりに生育していました.こちらはウラジロ.同じくウラジロ科ですが,属は違ってウラジロ属.一枚の葉が,大きく二つに分かれています.特徴的で すね.
 地方によっては,正月の鏡餅の下にこれを敷いたりするそうです.



という感じでこの日は終了.
遠く彼方に,お日様が沈みます.

ひとっ風呂浴びて,スパークリングワインを飲み,みんなで飲みに行きます.いや,飲み屋でずっと飲んでると,きりがないし,お金もかかるので,飲みに行く 前に飲むと良いんですよ.

「飲む前に飲む!」
さて,翌日.最終日ですが,再び神社林.志摩の国一の宮の伊雑宮(いざわのみや,いぞうぐう)を目指しま す.今は伊勢の国も志摩の国も同じ三重県ですが, 元々は別の国.
 で,この伊雑宮ですが,昨日訪れた,内宮の別宮になっています.

御祭神は天照大神(あまてらすおおみかみ)
神社の札の書き方によれば
天照坐皇大御神(あまてらしますすめおおかみ)
となります.
伊雑宮

ヤマアイ
 駐車場に車を駐めて神社に向かいますが,ヤマアイを見つけました. 前に見たのも,白山ひめ神社という神社の境内でした.神社植物(笑).トウダイグサ科ヤマアイ属.ちょうど花が咲いていました.
マテバシイ
 遠くてよく見えませんが,マテバシイですね.他の,シイ,カシと同 じブナ科ですが,マテバシイ属に属します.
ヒイラギ
 クリスマスでおなじみ...といいたい所ですが,クリスマスに使われるのは,セイヨウヒイラギで,モチノキ科モチノキ属.互生です.
 一方,これ,日本在来のヒイラギはモクセイ科モクセイ属で,葉は対生します.写真でも枝が対生しているのが分かりますね.これまた他人の空 似.
ノキシノブ
 神社ではおなじみ,ノキシノブ.胞子をつけていますね.シダです.
ヒトツバ
 佐渡の度津神社のそばでも見ました.ヒトツバ.ウラボシ科ヒトツバ 属.暖地の神社植物(笑).
ヒトツバ
 佐渡で見た個体は胞子をつけていませんでしたが,これはみっちりつけています.すごいですね.

鳥居をくぐって,境内へ.
手水舎
手水舎(ちょうずしゃ)
柄杓(ひしゃく)が綺麗に並べられています.
手水(ちょうず)のときもマナー(作法)があります.

1. 柄杓(ひしゃく)を右手に持って水をすくい,左手を洗う.
2. 次に柄杓を左手に持ち替え,柄杓にある水で右手を洗う(水をつぎ足さない)
3. 再び右手に持ち替えて左手の掌,指をお椀状にして水を受け,ためる.そして左手から口に水を含む.口をすすいだら,下の砂利の所に口の水を出す.

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柄杓を直接口に当てるのは,マナー違反です
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4. 最後に残った水を柄杓の柄のほうに流し,柄杓のとっての部分を洗います.

一連の動作で,身を清める,禊ぎ(みそぎ)をする意味を持つとされています.滝に打たれるのは大変でしょ?

ポイントは水は一回しかくまないこと,そして柄杓に直接口を付けないこと,でしょうか.
モッコク
 ああ,良いですね,モッコク.ツバキ科モッコク属.全縁で葉柄の部分が赤くなるのが特徴.
ミミズバイ
  こちらでも,ミミズバイを発見.葉脈は葉の上面で凹み(へこみ), 下面で凸(とつ)に浮き出ます.
ホソバカナワラビ
 ここでもホソバカナワラビ
伊雑宮
 お宮が見えてきました.まずはお参り.
 神社はですね,神様にお願い事をする所ではありません.今,生かされていることの感謝を伝える所です.
 いかん,どうも説教くさいな.
シキミ
 さて,つづけてみていきましょう.こちらはシキミ.シキミ科シキミ属.タブノキのように,赤く色づく頂芽がひとつつきます.葉の形は倒卵形,つまり葉の 先のほうが広いんですが,最後はキュッとすぼまって,先っぽがひゅっと尖ります.
バクチノキ
 カンザブロウノキかと思ったんですが,葉柄に腺点があります.ということでバクチノキ.腺点があるのは,バラ科サクラ属だからです.サクラの仲間!で,常緑!
イヌマキ
こちら,イヌマキ
ナンテン
ナンテン.3回3出複葉とか,そんな感じです.数えてみてください.
ナナミノキ
 おっ,香川でも見た,ナナミノキですね.モチノキ科モチノキ属.常 緑のアオハダ,といった風情です.
ヒメユズリハ
 ヒメユズリハでしょうね.葉の裏の色を見られればいいのですが.ユズリハの葉の裏(下面)は,粉白色.ヒメユズリハは緑色です.
 もう一つの見分け方は,葉柄と葉身の長さのバランス.ユズリハは葉が大きい,特に葉身の部分が大きい(長い)ので,相対的に葉柄が短く見えます.一方ヒ メユズリハは,葉柄は葉身の3分の1程度と相対的に長く見えます. ユズリハの場合は4分の1程度.
シロダモ
 おなじみ,シロダモ
ヤツデ
ヤツデ
伊雑宮
ここも,平地に常緑樹林が保たれています.素晴らしい.平地の常緑樹林が,今,日本にどれだけあるか.いや,すばらしい.
伊雑宮
パンフレットがあったので,頂いてきました.知らない所よりも知った所のほうが親近感がわきますよね.


さて,暖温帯の神社林で常緑樹を見る,という当初の目的は完了したのですが,学生諸君が
「せっかくなので鳥羽水族館」
といいます.

そうですね,帰り道上ですし.寄っていきますか,水族館.



この水族館,感心したのは,珍しい海外のサカナばかりでなく,日本近海の魚や,日本の渓流を再現したセットで,日本の自然のサカナを紹介している所です. すばらしい.
ウォーターレタス
 とは言っても,私は植物以外のものはよく分かりません.
 あ,これ知ってる,ウォーターレタス.外来種で,今広がって困っています.
ホシガメ
ホシガメ
ハナガメ
ハナガメ
ニューギニアアオアマガエル
ニューギニアアオアマガエル
アシカ
アシカ 前足が大きい

貝が綺麗.名前はピンぼけで判読できませんでした.
ホネガイ
ホネガイ
トサカガキ
トサカガキ
アロワナ
アロワナ
チョウザメ
チョウザメ.キャビアはこれの卵.
オオモホラ
オオモホラ
イガグリガニ
イガグリガニ
ハリセンボン
ハリセンボン
ウツボ
ウツボ色々




と,まあ,名前は展示してあるので分かります.いや,しかし,多すぎて覚えられません.いったい何種いるのやら.

 松原君は水槽にサカナを飼っていたりしているそうなんですが,ここの水槽の展示の仕方は非常に勉強になったそうです.そうですか,よかったですね.

人工的な施設の中ですが,学んだり,自然に触れるきっかけができれば,これに越したことはありません.

いやはや,お腹いっぱい.これ作るのに,6時間ぐらいかかっちゃっいました.植物を調べるのも入れたら,膨大.勉強になりました.


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