徳本峠登山組.そうだ,どうせ行くのなら上に登ろう.健康なうちに. みんなでワイワイがやがや.私からは靴ひもの結び方をレクチャー. ハイカットの靴(くるぶしが隠れる)の場合,登りの時は靴の上の方まではひもを結ばない.足首が曲がらなくなるから.逆に山を下る時は靴の上までひもを結 ぶ.足首が固定され,歩きやすく,体重を靴ひもにかける事が出来るので体力の消耗が防げます. |
では,出発.戸田先生,鈴木先生が最前列.私は最後尾につきます.学生諸君には,私,島野が最後尾なので私より後ろにならないように指示を出しておきま す. という事で,私は植物でも見ながらぶらぶら行っても役目を果たせる,と.去年は自分が引き連れて歩かなければならなかったので,全然周りを見られません でしたが,今年は,良いですね. |
エゾムラサキ.ムラサキ科ワスレナグサ属.いわゆるワスレナグサは ヨーロッパ原産.似てますね. お礼とお詫び.これ,エゾムラサキなんですが,初回にアップしたとき,なぜか「エゾルリソウ」と書いていました.うっかりの勘違いなんですが,申し訳ないです.今回もフュッテアルプ様にご指摘頂きました.いつもチェックして頂いてありがとうございます.知っている植物って,図鑑で確認しないので,ダメですね. |
ミヤマハタザオ.白い花でヤマハタザオに似ますが,茎の上の方の葉 は線状に長細く,鋸歯がありません.アブラナ科ヤマハタザオ属. |
クロクモソウ.ユキノシタ科ユキノシタ属.ユキノシタは全身毛だら けですが,それに比べるとこれは(ほぼ)無毛.いや,毛はあるんですが,ツルンとした 印象. |
ご存じニリンソウ.一ヵ所から花が2本出てニリンソウですが,1本 でもニリンソウ,3本でもニリンソウ.ポイントは小葉柄がないところ.イチリンソウ も,サンリンソウも小葉柄があります.キンポウゲ科イチリンソウ属. 小葉柄,といういい方で良いのかな?形態の人に怒られちゃうかな? |
ヒメイチゲ.可憐です.これもニリンソウと同じくキンポウゲ科イチ リンソウ属です.いわゆるAnemone,アネモネ. 小さいんですが,これで大人サイズ. |
ユキノシタ科チャルメルソウ属. |
先ほどのコチャルメルと似ていますが,別種です.ズダヤクシュ.こ れもユキノシタ科.ただしズダヤクシュ属.コチャルメルソウの葉は全体に大きく,切れ込みが大き いですが,ズダヤクシュは葉じたいが小さく,また切れ込みが浅い姿をしています. |
オオタチツボスミレ.スミレ科スミレ属.まず,茎が立ち上がってい ますね.これが特徴.で,これだけだとタチツボスミレと同じですが,オオタチツボスミ レは,花の後ろ側に筒状に伸びた距(きょ)という部分が白いんです.花自体はムラサキ,というかスミレ色なんですが. |
カニコウモリ.キク科コウモリソウ属.コウモリソウという,葉の形 がコウモリの羽を広げたような形の植物があります.それの仲間で,これは葉の形がカニ の甲羅のようだ,というのがその名の由来. |
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シロバナエンレイソウ.
別名ミヤマエンレイソウ.ただのエンレイソウが紫色の花弁なのに対し,こちらは
白色.ユリ科エンレイソウ属. 学名はTrillium tschonoskiで,属のTrilliumのTriは,三枚の小葉を表していますi (本当はイタリックにするのですが,web上で見にくいのでイタリックにしません).tschonoskii は,須川長之助さんの名前を冠したものです.須川長之助さんはロシアの植物分類学者Carl Johann Maximowicz (カール・ヨハン・マ キシモヴィッチ)のお弟子さんで,日本の植物を海外に知らせるきっかけを作った大きな功績があります. マキシモビィッチですが,本当はロシア文字で書くので,上に書いた書き方は,なんというか,英語表記です.多分,ロシア文字,皆さんの画面上で,きちん と出ないので. |
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クルマバツクバネソウ.ユリ科ツクバネソウ属.ただのツクバネソウ は葉が4枚輪生しますが,これは8枚とか,多くの葉が車の車輪上に付くので容易に見分 けられます. |
シウリザクラ.木本,樹木です.バラ科サクラ属.山地帯と亜高山帯 の移行部でしばしば見ます.葉柄が赤く葉身の基部がハート型にふくらんでいるのが特 徴.栄養繁殖する事が小川みふゆ博士の研究でよく知られています. |
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サンカヨウ.メギ科サンカヨウ属.葉が盾状について花が上に出る部 分が切れ込んでいます.この写真じゃ分かりませんが.山深い所へ来たと感じさせる植物 です. |
こちらは里山でも見ます.ヤマエンゴサク.ケシ科キケマン属.エゾ エンゴサクと似ていますが,花の部分に付く苞(ほう)に注目.エゾエンゴサクは苞が全 縁,ヤマエンゴサクは切れ込みます. |
ハシリドコロ.ナス科ハシリドコロ属.毒草です.これを食べると, 苦しくて所かまわず走り回る,という事で付いた名前だとか.私は食べた事がないので分 かりません.土砂がたまって,湿った堆積地に出ます. |
コウモリソウ...のつもりで写真を撮ったのですが,あとで写真を 見ると葉柄に翼があって,葉の基部が茎を抱いているように見える.となるとイヌドウ ナ?しかし雪国のイヌドウナはもっとごっつい.そもそも上高地にイヌドウナはあるのか? ペンディング.今度またチェック. としていたんですが,上高地で調査をしている,川西くん(今は鹿児島大教育学部の先生です)に聞いたら「オクヤマコウモリ」って言うんだそうです.コウモリソウで葉柄が茎を抱くやつ.2010年11月4日追記. |
ミヤマザクラ.バラ科サクラ属.花が穂状につきます.葉は重鋸歯. マメザクラの葉に似ますが,マメザクラは当年枝に毛があるのに対し,ミヤマザクラはあ りません(春,ちょこっとありますが,時機にとれます). |
1時間弱で明神.コースタイム通り. |
で,記念写真.ここまでは平地歩きですので楽勝. 「靴に防水スプレー,この辺でしておいた方が良いですか?」とか聞かれる. 「ここだ.ここでしなかったらスプレー缶持ってきた意味がない.始めからしてくれば良かったんだよ,スプレー.汚れ止めにもなるし」 「なるほど」 |
ラショウモンカズラ.シソ科ラショウモンカズラ属.名前の由来 は...長くなって面倒くさいので省略.紫の濃い色が良いですね. |
ツバメオモト.ユリ科ツバメオモト属.亜高山帯の針葉樹林帯で見る 事が出来ます. |
おみごと. |
キリンソウ,で良いかな? と思って図鑑を調べると,ミツバベンケイソウというのがあって,どうもこれのようです.葉は三輪生で裏が白っぽい. |
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ボタンネコノメで良いと思います.難しいんですが.ユキノシタ科ネ コノメソウ属.葉は対生.根生葉は丸っこくて鋸歯があり,緑色の地に白い網状の模様が でます.写真でも分かりますね. ニッコウネコノメも葉は対生で毛が無く,ちょっと似ていますが,ニッコウネコノメは花の時期には根生葉が残らないとの事.で,ボタンネコノメで良いと 思った次第です. |
こちらはツルネコノメ.葉は互生.互生なんですが,茎が二股に分か れていくイメージ. |
いよいよ高度を稼いでいきます. |
タケシマランですね.この仲間,分枝しないものが多いんですが,タ ケシマランとホウチャクソウは分枝します(オオバタケシマランとか色々ありますが, ま,またいずれ).ユリ科タケシマラン属. |
カラフトダイコンソウ.キク科ダイコンソウ属.羽状複葉の小さな羽 片の付く様をダイコンの葉に見立てたのがダイコンソウ.その仲間で,やはり標高の高い 所のものです.あと北方か. |
シモツケソウに見えますが...シモツケソウで良さそうですね.オニシモツケの小さいものかと思いましたが,羽状複葉の側小葉がある程度の大きさになっているので,シモツケソウで良さそう.オニシモツケは,側小葉が非常に小さいです。 |
ノウサギの糞です.冬は緑がないので木の枝などを食べます.で,こ んな糞をするんですね. |
前方に雪渓.この辺はみんなまだまだ余裕.しかし12時近いのと,この先は雪渓で座る所が無くなりそうなのでこの辺で昼食にします. |
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で,傾斜ですが,ドンドン急になっていって,もう,みんな滑りまくり.いや,滑りやすい人がいます.これは,歩き方の癖とか,そんな事ですね. で,基本は歩くだけなんですが,みんなで協力します.前方を歩く人は,滑りにくそうな所を探して,さらに登山靴の先端を雪中にキックして階段を作って いったりします. |
道は雪の下なので,見えません.最後は雪が切れ,藪こぎ(やぶこぎ)で,尾根まで直登.ササの上を踏むとこれまた滑るので,地面を覆うササの隙間にうま く足を入れ,ササを引っ張りながら登ります. やれやれ,ご苦労様.山は,尾根に付けば安心です.写真は,私が付いた最後尾のグループ.男子学生二人が雪の階段を作ったり,冗談を言いながら女子学生 を励 ましたりしてここまで来ました. えらいっ! |
明神岳.左奥は穂高. |
みんなホッとしています. |
雪渓歩きで,良くここまで来ました. |
という感じで,明神岳をバックにポーズ. |
まあ,いろんな趣味をもった学生がいて,キノコがどうしたとか言っています.うーん,菌類ですが. で,これを見つけた学生が「公文先生に見せるんだ」と喜んでいたんですが,いざ公文先生がこれを見ると「見るに値しないよ,こんなの」という感じで, -----終了---- (´・ω・`)ショボンヌ |
イワカガミの根生葉.上高地は,どうなんでしょう,オオイワカガ ミってあるんでしょうか.普通ので良いのかな. |
ゴゼンタチバナ.なんとミズキ科.で,ゴゼンタチバナ属.花が咲く 個体は葉が6枚つきます. |
ショウジョウバカマ.春を告げる植物ですね.ユリ科ショウジョウバ カマ属. |
登るときは大変だったんですが,下りは怖い.歩いたり滑ったり止まったり,色々しながら下ります.いや,はやい事,はやい事. |
この辺になれば傾斜も緩やかで安心.しかしよく登ってきたものです. |
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フキがまだ咲いていました.フキノトウとして食べるにはもう遅い時 期です.あ,ここで採ってはダメですよ. |
オトギリソウの仲間ですが,トモエソウではないかと推測します.オ トギリソウ科オトギリソウ属. |
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レンプクソウ.レンプクソウ科レンプクソウ属.色は緑で地味です が,花が咲いています. |
シシウド.セリ科シシウド属.まあ,誰も目を留めないけど. |
ウラジロモミの枝が落ちていました.裏側を見ましょう.葉の気孔線 が白いのが名前の由来ですが,枝の表面が,タイル状に線が入って分かれているように見 えます.これが特徴.マツ科モミ属. |
ミヤマカラマツ.繊細な葉が素敵です.キンポウゲ科カラマツソウ属 |
ザリコミですね.木本です.ユキノシタ科スグリ属.赤い実がなりま す. |
さーて.ミヤマトウバナかなんかですかね...まだ小さいですし, 標本を採るわけに行かないので,また縁があったら見に行きましょう. |
クリンユキフデ.花の盛りですね.タデ科イブキトラノオ属. |
コミヤマカタバミ.小宮山,ではなく,小深山カタバミ,という意味 です.ミヤマカタバミの小葉はもっと尖って三角形に近いですが,これはハート型に近い ですね.カタバミ科カタバミ属 |
シモツケソウ.勘違いしていました.初回アップ時に,オニシモツケ,としたんですが,オニシモツケは側小葉が非常に小さいんです.という事でシモツケソウ.羽状複葉の側小葉がよく見えるように指を入れています.私の 人差し指の所にも小さな小葉があります. |
フッキソウ.ソウ,という名前ですが木本です.ツゲ科フッキソウ 属.うーん,ツゲ科なんですね.今白く見えているのが花. |
カラマツソウかアキカラマツかを見分けるポイント.アキカラマツを噛んで苦い,というのは確かにポイントですが,国立公園でそういうわけにも行きませ ん. |
で,これはカラマツソウなんですが,2-3回三出複葉なんですが, その小葉柄の部分に托葉状の付属体があります.これがカラマツソウ. アキカラマツには ありません.キンポウゲ科カラマツソウ属. |
ま,今日はこんな所かな. |
で,夜は皆さん楽しくバーベキュー.写真は,例によって縄跳びを楽しんでいる所です. |
オシドリが迷い込んできました.人慣れしていて,私が近づいても, 全然逃げません. カモ科オシドリ属 |
さて,翌朝.上高地のステーションを出発します. |
明神橋を渡って. |
ヒロハヘビノボラズとか |
イワセントウソウとか |
バイカモなんかを見ていきます. すみません,これも初回アップでタヌキモ,と書いていました.修正.仕事じゃないとはいえ,もっと真剣にやらないといけません>自分 |
公文先生の解説を聞きながらなんですが,ま,バスが待っているのでほどほどで. |
で,乗鞍の滝めぐり. |
まずは三本滝. |
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針葉樹を見ておきましょう. こちらはオオシラビソ.枝が葉に隠れて見えませんね.これが特徴. |
こちらがシラビソ.枝が見えます.これがシラビソとオオシラビソの見分け方. どちらもマツ科モミ属.オオシラビソは雪の多い地方で多くなります. |
ついでにトウヒ.マツ科トウヒ属.葉の先がつんつんした印象です が,枝を見ると,葉の付き方がまったく違います.写真はないんですが... |
傘型樹型.また授業でやります. |
吊り橋を渡って... |
スキー場を下ります. 注意! この下にヘビの写真が出ます.嫌いな人は飛ばして下さい.あと,嫌い でなくても,比較的アップででるので,驚かないように... |
学生がですね,ヘビ捕まえちゃうんですよ. |
ああ,ジムグリです.おとなしい種類のヘビです.マムシやヤマカガ シでなくて良かった. ジムグリはナミヘビ科ナメラ属...で良いのかな,別の説もあるようなので,興味のある人は調べて下さい. |
おなかはこんな感じの模様.すごいね. |
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美しい大自然....と思うかもしれませんが,一度伐採したあとの林です.ミズナラとシラカンバがメイン.切ったあと植えたわけではないので,天然林と いういい方が良いですね. |
ムラサキヤシオ.雨に濡れた赤紫の花が目に鮮やかです.ツツジ科 ツツジ属. |
あとはアオハダとか |
ミヤマワラビとか |
ハナイカダとか |
バイカウツギとか |
タマアジサイなんか. |
いや,もう良いでしょう.私も疲れてきました. |
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