で,蛭間くんの家に車を止めさせてもらってます.私の車のトランクが空いているのは,カメラを取り出したため.前日は飯田の街中でそれなりに飲んで,帰 りのタクシーでコンビニに寄ってもらいワインを購入.で,それを飲みつつも12時すぎには寝ました.大人だから(笑). 日曜日の朝は,蛭間君が寝ている中,朝5時過ぎには家の周りの野外観察.オレ,偉すぎ(笑). |
早朝のカメラ散歩.発見しました.ネコハギです. 茎も葉も毛深いですね.私も実際に見 るのは初めてです.卒業生の堀毛君が新潟で見つけたのを私も写真で見たことあったんですが,実物を見るのは私も初めてです,ネコハギ. |
もう一つ私が初めて見た種,外来種ですが,クルマバザクロソウで す.花も咲いていたんですが,なんだか全然わからなくて,「アカネ科かな,だけどアカネ 科なら花びら4枚だよな」と思いながら写真ををったんですが,星野先生ご夫妻に伺うと「クルマバザクロソウ」とわかった次第です.星野先生ご夫妻,ありが とうございます. 蛭間君じゃわからないんで,助かりました(笑). |
で,8時に飯田市美術博物館に集合,車で乗りあわせて出発,現場にたどり着きます.飯田から1時間ぐらいでしょうか. |
さて,星野先生の植物案内ですので,内容はそれなりにマニアック.というか,高等. これ,ぱっと見るとミヤコザサのようなんですが,実はミヤマクマザサと のこと. |
ミヤコザサと同様,葉の裏には毛があります.だったらミヤコザサと見分けられないですよね? |
肩毛もしっかり確認できます. |
で,ミヤコザサとミヤマクマザサ,どこが違うかというと,ミヤコザサは基本的に枝分かれしませんが,こちらミヤマクマザサは地上で枝分かれします.これ が ポイント.桿の枝分かれは,1本ではなかなか分からないので,多くの桿を見て,全体として判断すべきでしょうかね. |
ええと,イネ科.ノガリヤスの仲間なんですが,ノガリヤスは実の先からノギが出ます.これはノギが出ていないので,ヒメノガリヤスと判断していて良いで すね. |
エゾノヨツバムグラです.アカネ科.エゾノ,というのは「北海道 の」という意味で,ま,本州で言うと,標高の高いところ,寒いところに出てく る物と理解してい いでしょうか.四輪生で一つ一つの葉は丸っこいのが特徴と見ていいと思います. |
タニソバですね.タデ科です. 写真で見える葉の部分は先がとがる三角形型ですが,葉柄の部分に良くがあり,これが茎を抱きます.この写真だとわかりませんが,これが特徴. |
ミヤマタニソバです.写真がまずくてすみません.タデ科.葉っぱは 三角形の形になるのが特徴です. |
一方,こちらはミヤマタニタデです.タデ,という名前が付いていま すが,アカバナ科の植物です.葉の基部は切形もしくはやや心形で,大きな目立つ鋸歯が あります.タデ,と名前が付いていますが,アカバナ科ですので,そこんとこヨロシク. |
ミヤマタニタデ.こちらは花のある状態の写真.小さな花ですが,木 漏れ日を受けて,美しいですね. |
ミヤマカラマツですね.秋ですので,花は終わって,実になっていま す.画面中央上部で放射状に枝分かれしているのは実の部分で,先端が膨らんでいま す. これが分布するのは関東・中部で標高1500m以上の亜高山帯の明るい林道脇とか. 上高地でよく見ますね. |
こちら,イネ科はヤマカモジグサですね.毛深くて,葉は裏面を上に 向けます.茎が斜めになることで葉の裏面が上を向く感じはノガリヤスなんかといっしょ なんですが... |
ヤマカモジグサ,実が全然違いますね.こんな感じ. |
葉鞘に毛がありますね.で,葉にも毛があります.これがヤマカモジグサの特徴.とにかく毛深い. |
こちら,ミヤマナツノタムラソウ.どこがミヤマナツノタムラソウか というと,花を見ます.で,花は右に... |
はい,ミヤマナツノタムラソウの花.雄しべや雌しべが花びらより先 に出ていますね.アキノタムラソウは出ません.で,ナツノタムラソウなんですが,繊毛 が多いので,ミヤマアツノタムラソウということになりそうです. |
テバコモミジガサです.キク科.テバコ,というのは,手箱山で見つ かったということで地名なんですが,普通のモミジガサとどう違うかというと... |
これです.葉の裏.まずは葉の裏に毛がある.それと,主脈,側脈以外にも,もっと細かい脈がキチンと見えます.これがテバコモミジガサ.ただのモミジガ サは毛もないですし,こんな細かい脈模様も見えません.そんなことで見分けてください. |
という感じで,山地帯落葉広葉樹林から上がっていって,亜高山帯針葉樹林に突入,という感じ. ヒロハヘビノボラズだと思います.普通はなかなか見ませんよね.茎 (枝)にトゲがあるのが特徴ですね.これも落葉広葉樹ですが,亜高山帯針葉樹林の開け たところで見たりしますね. |
バイカオウレンですね五小葉で一セットの葉.これ,もう, 1500m以上に分布する常緑針葉樹林帯に生育する林床植物ですね. |
で,林冠の樹木はいろいろなんですが,林床で優占するシダがシラネワラビ. こちらはブナ林にでるシダなので,標高1500mm未満の標高域に出るj物と 言えましょうか.ですのでこのあたりは二つの気候帯,森林帯の境界域と言えましょう. |
「これなんてシダ?」「知らねーよ,こんなワラビ」というでシラネワラビということなんですが,そんなことで覚えてもらっていいんじゃないでしょうか. 私もそれで覚えます(笑) |
また例によってスゲです.蛭間君は首をウーンとひねっているし,私は全然わからないので,星野先生にうかがいます.で,ゴンゲンスゲ(コイトスゲ)ではないかというご 提案. |
多分同じ種の実.柱頭が二岐か三岐で判断が大きく変わるんですが,変わるんですが,三岐として理解すると図鑑的にはゴンゲンスゲでよさそう. |
やや,なんでしょう.怪しい単子葉植物.ですが,地元の詳しい方がいろいろいらして,これはホソバノキソチドリではないかと.ははーん.そうですか. |
で,もう少し育っている状態のホソバノキソチドリらしい植物.こちらは茎葉です.図鑑だと普通は葉が一枚ということになっているんですが...これは別 物? |
で,花...はもう終わっているんですが,実の部分.私は確信持てませんが,知っている方の話だとホソバノキソチドリだそうです.実の部分がねじれてい ますね.それと苞葉も実と同じくらいの長さ. |
ヒメコマツだと思います.五葉松の仲間.マツは,一カ所から葉が2 本でるアカマツやクロマツの仲間(マツ科マツ属ニヨウマツ亜属)と,一カ所から葉が5 本でるヒメコマツやチョウセンゴヨウのような五葉松の仲間(マツ科マツ属ゴヨウマツ亜属)があります. チョウセンゴヨウは,葉がもっと長いです.アカマツ,クロマツのように.こちらはそれに比べると,葉の長さは半分程度. |
で,せっかくですので,シダ,コケも見ようかという展開.星野先生,蛭間君ともそういうモードではなかったんですが,こちらはそういうモードにちょっと だけ入りました. そんなことで,トウゲシバ.トウゲシバで一括りでもいいと思うんで すが,細かく言うとホソバトウゲシバということで良さそうです(トウ ゲシバの変種).これ,コケのようみ見 えますが,シダ植物です.亜高山帯のものですね.富士山の針葉樹林帯なんかで見ます. |
今この記事を書いているのは,埼玉は飯能のホテルの一室なんですが,部屋でかかる音楽をFM各局の他にBGMというチャンネルを選べます.で,クラッ シックの小品とかが流れたりしているんですが,今流れているBGMが,ユモレスク.いや,どうでもいい話なんですが. で,写真はスギゴケの仲間ではないかと思ってとった写真です.確信 はありません.でも,スギゴケとか,オオスギゴケとかこんな感じですね.どなたか教え てください. ユモレスクは,私が中学生時代(夢も希望も好きな女の子もいた),放課後の掃除の時間に流れていたので忘れません.今BGMで流れているのは,愛の夢3 番ですけど.リスト. もう,30年も前か. |
イワダレゴケではないかと思いますが,どうでしょう.図鑑で調べて いません. むかーし,千葉大の園芸学部にいたとき,後輩にコケに詳しい学生がいて,教 えてもらったりしていました.超不真面目でしたが.でその時に教わったのがこれ,イワダレゴケ. これ,葉がベローンって伸びるんですが,伸びた葉の先端近く の途中からまた葉がベローンって伸びます.そんな入れ子構造(カスケード)がこのイワダレゴケの特徴だと思います. |
シダ植物にシシガシラというのがあって,シダシリーズのつもりで近寄ってみたら,シダではありませんでした. これ,オサバグサ.ケシ科でオサバグサ属です.これの生態や分布に ついては千葉中央博物館の大野先生の論文(植生学会誌)が興味深いですね.詳しく知り たい方は,Ciniiに登録された,こちらを どうぞ. |
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ところがさにあらず,星野先生によるとチョウセンナニワズとのこ と.何でも石灰岩地域に分布するのだとか.私は名前も聞いたことがありませんでした. 似た仲間を整理すると,このチョウセンナニワズは冬に落葉します.なので葉も薄く 柔らかい感じ. ナニワズは冬緑で初夏に落葉します. オニシバリも冬緑で初夏に落葉します.なので,オニシ バリもナニワズも常緑のように葉が厚いですが,分布が違うので大丈夫だと思います(ナ ニワズ:日本海側,オニシバリ:太平洋側). |
おっ,カワラハンノキでしょうね.葉の先端がちょこっと凹む.日本海側のミヤマカワラハンノキはもっと凹んで,葉は横広がり.ヤハズハンノキは文字通り矢筈型に凹 みます(V字にへこむ).私はあまり見た経験ないんですが... このへんの仲間は,いずれもハンノキ科で根に根粒菌を共生させ,窒素を得ることで,土壌の薄い山岳地域でも有利に生活できるという特徴を持っているはず です.多分. |
山を降りて,もう,皆帰るよ,というところで,私が車を止めたあたりでゴマノハグサ科の植物を見つけました.ヤマケイの「野に咲く花」や「山に咲く花」 には出ていません.テングクワガタ.奥原弘人先生の「信州の野草」には出ています. 花の特徴ですが,合弁で4枚ある花弁はつながっています.で,そのうち,一枚だけが非常に小さい.ここが特徴です. 葉は対生で,同じくゴマノハグサ科のグンバイヅルのような感じ. |
これも「帰ろうか」と言っていたあたりで見た植物,オニルリソウ. サワルリソウ,オニルリソウと比べて,オニルリソウの方が毛深い(毛が長い)ことは何 度か見てきました. |
こちら,オニルリソウの花. |
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花はこんな感じ. |
この仲間はいずれも葉の裏に黒い点があって,特徴的なんですが,みんな同じように見えてよく分かりません. |