で,飯田は蛭間邸を尋ねた後,洗濯が終わるのを待って,フィールドにでも
出ようかという話に.いや,その間蛭間君は清水さんおみやげのババロアやらガトー・ショコラやら(違ったかも)をほおばっておりましたので,私は庭にてヌカキビを撮
影.
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ヌカキビ,こんな感じ.外来のオオクサキビがちょっと似ていますが,そちらは花序の枝が,横に広がりながらも斜め上に伸びますが,こちらは真横か,やや 下がる感じ.頑張れ,ヌカキビ! |
で,フィールド.文字通り枯れた山野ですが,見るべきものは色々あります. 写真は木道にたたずむ蛭間君.たそがれています(笑). 良いんだよ,人間,一人が基本なんだから.気楽だし.金かかんないし.テレビ番組も自由にできるし,トイレットペーパーへらないし.一人もん最高! |
で,なんだ,ユキノシタか...と思ってよく見ると羽状複葉.頭頂葉だけが異様に立派に見えていました.ダイコンソウです.大根はアブラナ科,ダイ コンソウはキク科でぜんぜん違うんですが,このダイコンソウの葉が大根の葉に似るということでつけられた名前. 皆さん,大根の葉っぱ,見ますか?スーパーだとみませんが,八百屋だと葉付きの大根を売っていることがあります.葉は大根本体と切り離し,水洗いしたあ と,塩でもんでおくと漬物として食べられます.みそ汁の具でもいいですが,ちょっと硬いかな. あ,ダイコンソウの話から遠くなりました. |
冬の落葉期はシダが目立ちます.オクマワラビ.葉の裏に胞子がつきますが,葉の上半分だけに胞子が付いて,葉が縮れるようになります.クマワラビは枯れて無くなっちゃうけど. |
葉の表面を見ると葉のオモテ面の脈がへこむのが特徴ですね.ぜひアップで見てください. |
なにこれ,と思うかもしれませんが,シュンランです.図鑑では例の花の写真ばかり見ますから,図鑑で勉強していても,これじゃ全然分かりませんよね.私 も分かりませんでした. |
ま,そこは蛭間君の出番です.「あ,島野さん,これ,分かります?シュンランですけど」という感じでさらりと言います.自慢しないところが良いですね (笑). で,どんな特徴かといいますと,葉が黄緑でヘリはざらつく所とか.確かに,アップで見ると葉の縁がギザギザ.ヤブランの葉は同様に縁がざらつくんです が,葉の色が黄緑ではなく,もっと緑なんだそうです. |
お,何コレ,と聞くと,リョウノウアザミとか.リョウノウアザミ?ちょっと珍しいです.名前の由来は美濃(今の岐阜県南部)と信濃(長野県)の二つの地 域にまたがるということで「両濃」あざみ,ということです. |
外見上の特徴は,集合花を包む総苞片(タンポポの花の緑の部分に相当),これの基部が細いというのが特徴のようです.確かに,普通に見るノ アザミやノハラアザミは下の部分がら,グンン,と横に丸く広がりますからね.こちらは漏斗(ろうと)状というところでしょうか. また,花の季節に来たいと思います.人生で二回目に見ました.リョウノウアザミ. |
水辺にはミズゴゲの仲間があって,蛭間君いわく,オオミズゴケだとのこと.「どこがどうだとオオミズゴケなの?」と聞くと,「いや,ここのミズゴケはオ オミズゴケになってますんで」とたよりない返事(笑). |
保育社の図鑑とか見れば検索点が書いてあるんですが,とりあえずパス..ま,またおいおい勉強しましょう. |
あ,これは以前も見ました,ミヤマシラスゲ.大型です.葉の断面はM字型で柔らかい.で... |
で,葉の裏は文字通り白いです,ミヤマシラスゲ. ヒメシラスゲもこんな感じですが(もうちょい小さいか),どこで見分けるんでしょうかね.ヒメシラスゲは日本海側の分布らしいですが. |
先程までの湿地ゾーンから,斜面を上がって,乾いた尾根地にたどり着きます.アセビ.太平洋型ブナ林で見ますね.ツツジ科です. |
これも雪の少ない太平洋側の山地帯に出現する,ツガです. |
太平洋側の山地帯(ブナ帯)シリーズ,モミ.先程のツガは鈍頭ですが,モミの若木は葉の先が鋭く分かれ,とがります. |
お,今回のMy新種です.アズマスゲ.立地は,先程のアセビ,ツガ,モミなどと同じ乾いた山地の斜面..どこが特徴かというと,この写真では分かりづら いかもしれませんが,スズメノヤリのように葉が白毛をまといます.ここに気づければ同定は難しくないだろうとのこと. |
シダです.シシガシラ.胞子葉を付けている個体があったので写真をとったんですが,茶色で,バックの落葉と色が同じなので,わからないですね.ま,また 今度いい写真を取りたいと思います. |
冬は何にも無いような山の斜面. |
乾いた斜面シリーズで,ヒノキです.ですが,自然のものではなく,立地の特性に合わせて過去に植えられたものの子孫が天然に(植えたものではなくて)更 新したものだろうとのこと. |
ソヨゴ.信州全域で見られる,数少ない常緑広葉樹です.飯田みたいな南の地域ですとシラカシやアラカシなど,他の常緑広葉樹も見られますが. 温かい地方では神社に備える常緑樹はサカキですが,寒い信州ではサカキは分布しませんので,代わりのこのソヨゴが使われる神社が多いです. |
ハイイヌツゲですね.再び湿地近くに移動.ツゲとイヌツゲは全然違う種で,ツゲは対生,イヌツゲは互生.で,これはイヌツゲの変種です.ハイイヌツゲで いいと思いますが. |
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ササがポツポツ出てきます.何だ,枝先から二枚ずつ葉が出るんならスズタケと思いきや... |
枝先から葉が何枚も出ている.クマイザサ?いや印象が違う.葉も長いし...というところで蛭間くんに聞くと, 「ネザサです」との返事. 「えー,ありえない!!!」と私. ネザサって,3mとか4mとかに成長して,ササというよりタケなんですよ.いや,でもこの場では何の資料もないので,とりあえず聞いておきます. これがネザサなんでしょうか?(帰ってからネットで調べると,刈り込まれたりすると,こうやって背が低くササみたいになるのもあるらしいんです が...) |
あ,これ,コバギボウシね.実をリリースしたあと. |
こちらはシダ,マンネンスギ.確かに葉はスギの葉に似ていますね.頂部の茶色い部分に胞子をつけています. |
「島野さん,こっち,こっち...」と蛭間くんに呼ばれ,辿りつくと「オオクジャクシダです」と言われる.ちょっと遠くから「おいおい,全然クジャクじゃ じゃねーじゃん.ヤマソテツとかじゃねーの?」と私はいうんですが,「オオクジャクはクジャクシダとは違うんですよ」とのこと.帰って調べるとどうもそう らしい. |
私なりによく見ると,オオクジャクシダの脈は,写真のように放射状に分かれる感じ,胞子嚢は各小羽片の先の方につくのが特徴かなと思いました. ま,しかし,次回出会えても同定できる気はしません.もう少し勉強させてください. |
お,ナライシダ.ナライシダなんですが,ホソバナライシダではなくてナンゴクナライシダとのこと.どのへんが特徴なのかと聞くと... |
あ,ここ,この部分がホソバナライシダとちがって隙間が開いているとのこと.それから小羽片丸くて,毛あるというのがナンゴクナライシダとか. |
ナンゴクナライシダ,葉の裏面のアップです.毛のある感じが見えるといいんですが... |
シダシリーズ.キジノオシダです.京都とか,三重県とか暖温帯で見てきたシダ.飯田には出るんですね. |
これも暖温帯のシダ,ベニシダ.最初の方で見たオクマワラビと比べると,オクマワラビは脈が凹みますが,こちらは凹みません. |
ベニシダ,葉の裏も見ておきましょう.こんな感じです. |
一方,こちらはミヤマイタチシダ. |
ミヤマイタチシダ,脈はへこみ流れるように放射状に分岐します. |
もうちょいアップで見ましょうか,ミヤマイタチシダ. |
で,オモテ面にへこんだ放射状に分かれる脈は,裏面に浮き出ます,ミヤマイタチシダ. |
シダ・シリーズ,最後はシノブカグマ.本来は日本海型ブナ林.にでるもので,鱗片の黒いのが特徴.以前紹介した,大町の回で紹介しました. |