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こんな感じ.山の斜面が急なため,開発されず残った林という状況です.で,道なんですが,結構観光客みたいな人が道を登り降りするのであまり落ち着きま せん. |
ちょっと離れたところですが,バラン.日本庭園なんかでも見ますが.暖温帯の植物です.ハラン,という方が正しいか.ユリ科ハラン属.この大きな葉を食 べ物をくるんだり,弁当の中仕切りに使ったりしてきました.で,今でも弁当の仕切り,今ではビニールですが,バランって呼びますね. 単なる中仕切りではありません.包丁で葉を切りますね.で,弁当が腐るとアンモニアが出て葉が変色します.すると,葉が茶色いと「弁当が腐ってる」と分 かるわけです.ね. |
シダ.ホウライシダです.ホウライシダ科ホウライシダ属.俗に言うアジアンタムの仲間です.ハコネシダとちょっと似ていますが,ホウライシダは,ソーラスは 葉の先っぽの縁全体につきます.ハコネシダは葉の先が二つに割れて,真ん中だけにつくので,区別できますね. |
ヤマイタチシダですね. |
ヤマイタチシダ,葉の裏側.胞膜は円腎型で大きく目立ちます.で,これに引っ張られるように,葉のオモテ面はボコボコしています. |
ハゼノキ.蛭間くんはこの木の近くでノグルミの実らしきものを見つけて「島野さん,これ,ノグルミっすよ」って言ってきたんです. 島野「えー,違うんじゃん?クルミらしくないよ?」 蛭間「ノグルミ属なので,他のとは全然似てないんですよ!」 で,私が松本に帰ってから図鑑を引くとぜんぜん違う(笑).「ぜんぜん違うちゃん」とメールを打つと,しばらくして,自分でも調べたんでしょう,「ハゼ ノキですかね?」. オイオイ,また伝説を作る気か !? |
コバノタツナミソウですね.シソ科.タツナミソウに比べると,高さは20cm以下と小さく,葉も小さい.葉が1cm程度と小さいので,結果として鋸歯の 数がタツナミソウに比べ少なくなる.写真をアップで見ると毛がふさふさ,です. タツナミソウは明るい所.草原とか.でこちらのコバノタツナミソウは林縁なんかの,ちょっとだけ暗いところが一般的な立地とされているようです. |
クマワラビです.葉の先方の羽片にだけ胞子をつけて,その部分が枯れてしまいます.この時期(9月下旬,秋)は,そういう意味でわかりやすいですね.葉の 表面はマット状でつや消し.上に出てきたヤマイタチシダや右のホソバカナワラビなんかはストロボで光りますが,これは光りません. |
ホソバカナワラビ.本当はもっと大きな葉になります.先端が急に細くなるのがホソバカナワラビ.コバノカナワラビはだんだん細くなっていきます. |
ナキリスゲでいいですかね.以前,神代植物公園で見て,写真を元に,千葉中央博物館の大野先生に教えていただきました. 「葉が細くて大型の株で.この時期実を付けるのはナキリスゲだよ」 そのとおりで恐れいった記憶がありますが,ここでもそのとおりナキリスゲでした. 写真の個体,あんまり典型的ではありません. |
ビロードシダです.だそうです.私には全然目につかなかったんですが,蛭間君が足を止め,「島野さん,これ,ビロードシダですね」って教えてくれまし た.むー,そうなんだ.しかしこれで蛭間君もノグルミの失敗,名誉挽回でしょうか. (ま,農工大の皆さんが「蛭間ダメじゃん」って言うかもしれませんが) |
イワヒバですね.シダです.岩場に生えるヒバに似た植物ということのネーミングだと思いますが,ヒバというのは,ヒノキ科の樹木.確かに,ヒバに似てい ると言われればヒバに似ています.良いネーミングなんでしょうね. |
ツメレンゲですね.左の写真はストロボを炊いているので,すっごくはっきり写っていますが,これはストロボなし.写真のくっきりさは負けています ね... ベンケイソウ科の多年草で分厚い,というか,立体的な葉に十分な水を貯めて岩場のような乾燥地で生き残ります.クロツバメシジミの食草でもあります.クロツバメシジミが多くの県でレッドなの は,食草であるこのツメレンゲが少ないことがあるのでしょうね. |
いい写真じゃなくてすみません,シノブです.風鈴で,シダが使われているのを見ることがありますよね,そのシダがこれ,シノブです.繊細で私も好きなシ ダなんですが,暖温帯でしか見られません.この写真も,この地にシノブがあった,ということを記録するための写し方で,シノブの美しさを生かした写真では ありません.すみません. |
あとは,どんな植物があったかを,ノートにメモする代わりに,バンバン写真に収めて記録していきます.まずはアオキ.暖温帯の代表選手. |
アラカシですね.信州でも伊那方面の暖かいところでは見ます.葉を見ると,付け根側は細く,葉の先に行くほど葉が広くなります.で,葉の付け根側に鋸歯 はないんですが,葉の先の方,1/3ぐらいには鋸歯があります.シラカシ,ウラジロガシに比べても,大きな鋸歯です.シラカシ,ウラジロガシは葉の先の方 が広い,ということはないので,間違えることはありません. |
マルバアオダモですね.アオダモの変種になっています.アオダモに比べ,マルバアオダモは標高の低いところに分布しますので,このへんに出てきても,違 和感はありません. マルバアオダモの判別点は,葉が丸いかどうかではなく,鋸歯が有るか無いかです.アオダモはバリバリ鋸歯がありますが,マルバアオダモは,鋸歯がない か,あっても少数で高さも低いです(主張が穏やか). |
カモメヅルの仲間ですが,林のなかという立地からして,オオカモメヅル でしょう.多分.この仲間は,本当は花をよく観察して,毛がどうだの,こうだのとチェックします.花の色は当然として. 今回はそうした花がありませんので,生態的な立地を考慮して,オオカモメヅルではないかと推測する次第です. |
そんなことで,神戸初日は終了.あ,調査はね. この後,ホテルにチェックインして,車をちょっと遠いところまで置きに行ったりして,蛭間君と神戸・元町に飲みに行ったというのが前回の話.ね,ちゃん と植物の調査してるんですよ,ほんとに.ま,蛭間君はウルシを見てクルミと言ったり,いろいろおイタもあるんですけど,ま,良いじゃないですか. で,二日目です. |
私は,地域地域にうかがったときには,地域にご挨拶,ということで神社をめぐるんですが,今回は湊川神社というところにお参りさ せていただきました.楠木正成候がまつられています.逆に,足利尊氏は悪者(笑).ともあれ,清潔で皆から愛されているのがわかる,良い神社でした. |
さて,午後から神戸大で植生学会の委員会があるんですが,直行しても時間と空間がもったいないので,近隣の山でフロラを見ます. で,再度山の林道へ. |
こんな感じ.林道としてはかなり立派.本来は常緑広葉樹林なんでしょうが,切り開かれた結果,落葉広葉樹を基本にした林ですが,林床には暖温帯落葉広葉 樹林帯(照葉樹林帯)の植物を見ることができます. |
まずは,クマワラビ.先に説明したように,葉の先の羽片にだけ胞子をつけ,その羽片は枯れてしまうので,この時期,先っほがないように見えます.あと は,葉の表面がマット状で,全然光りを反射しません. |
む,これは...ホソバカナワラビの小さいやつの可能性がありますが,ハカタシダの可能性もあります.どうなんでしょうか. ちなみに,左のササはスズタケで,雪の少ない地方を示唆します. |
これは前日も見た,ヤマイタチシダですね.きっと. |
イヌビワですね.関東でもポピュラー.常緑広葉樹林帯のギャップなどに出現する落葉広葉樹.明るいところで,早い成長を行ない,早く種子生産をする,と いうことで,スダジイやカシ類と生活の性質を棲み分けて共存している種ですね. |
オオバノイノモトソウですね.暖温帯にでるシダとしては,押しも押されもしないシダでしょう. よ,大棟梁. ちなみに,大統領じゃ,ないよ. |
お,キク科.この辺は色々あって,苦手なんですよね. 「ガンクビソウですよ,枝分かれするのが普通です」と蛭間君. うん,そうなんだろなーと思いつつ,以前,佐渡でシュウブンソウと迷った日々などが思い起こされます.あ,あと佐渡でいった飲み屋とか...違うか. |
ガンクビソウ,こんな感じ. |
ええと,コバノヒノキシダでいいですかね.これも暖温帯もので,信州・松本では見ません. |
幸運にも,ソーラスが付いていました.okでしょうか,コバノヒノキシダ. |
最後の一枚は,超普通種,マテバシイ.ま,フロラの確認という意味と,この写真では分かりづらいんですが,実を着けているという状況があって,写真に収 めたという次第です. |
というこで,どこかに出かければ,なるべく色々見て歩こうと思っています.新しい出会いもあり,これまでの確認もあります. 例によって,蛭間君が私に嘘を教えたり(笑),騙そうとしたり(笑),素で間違えたり(笑)しますが,ま,そう言うのはいいじゃないですか.ともに行動 範囲を広げることで経験を重ね,知識を深めていきましょう.いつか,日本中を収めてしまうかもしれません(笑). みなさんも,いろいろ不思議なこと,興味のあることを調べて,教えてください.あ,スィーツばかりおすすめされても,私は食べられないと思いますが (笑). ではまた. |