すっっっごく久しぶりの更新です.締め切り仕事が終わらなくて,なかなか更新もままなりません.いえ,今も終わってはいないんですが,そう言っていると大 学を引退するまでずっとweb siteの更新もできなさそうなので,正月休みに記事を書いています.

今回の記事は,安芸の宮島.広島に豊原源太郎先生にお会いしに行く仕事があり,そのついでに宮島を見ておこうということで,宮島の紹介とそこで見た植物の 話です.今回は植生情報編集委員長の蛭間くんと一緒.2012年12月半ばのことです.


広島市内から宮島行きの船乗り場へは車で1時間ほど.で,船に乗ります.写っているのは船と蛭間くん.

宮島の桟橋が見えてきました.

上陸.噂には聞いていましたが,普通にシカがいます.昼間は山から降りてきて,夜は山に帰るそうです.

まずは厳島神社へ.商店街には土産物屋やお食事処が.

ああ,ついに来ました.

ここは,神社には珍しく,参拝料を取ります.数百円ですけど.ま,建物の維持やら何やらにお金がかかるのは理解できます.

御祭神は市杵島姫命 (いちきしまひめのみこと),田心姫命 (たごりひめのみこと),湍津姫命 (たぎつひめのみこと)の三柱で,宗像三女神と言われていますね.厳島神社,平清盛が作ったことで有名ですが,厳島神社自身はもっと前からあって,清盛が今の海上社殿を作った,ということですね.

ちなみに渡り廊下の敷板ですが,ぴったり敷き詰められているのではなく,隙間があります.波が来ても水が逃げるようにということです.

さて,参拝を終え,山の方へ歩いていきます.なかなか良い感じ.林床がすっきりしているのは,シカが食べてしまうから.

シノブ.樹木に着生しています.

イヌガシですね.カシ,と名前がついていますが,クスノキ科.関東周辺だと伊豆半島などで見られます.

枝の途中に花芽がついています.

裏は白いです.三行脈が目立ちますね.以上イヌガシでした.

こちらはミミズバイ.葉は先のほうが広く,付け根はくさび形になり葉柄につながります.

シカもあまり食べないのでしょう.シキミです.

これも有毒植物,アセビ.

シダなんですが...何でしょうか?

イチイですね.こんなに立派です.あ,スケールがないのでわからないと思いますが,10m以上です.

My新種.後で豊原先生に教えていただくことになったのですが,ホウロクイチゴとか.うーん,名前も聞いたことがなかった.

ホウロクイチゴ,木本ですので,いわゆるキイチゴですね.葉の裏は白く,葉脈,葉柄にトゲがあります.

こちらはおなじみ,ヒサカキ.鋸歯があります.

イヌマキですね.

モミです.若い木の葉の先は2裂します.

お,モミとシキミが同所的に分布しています.画面中央上がシキミ.
で,モミ−シキミ群集だ,とか言って盛り上がりました.
あ,モミとシキミがあればモミ−シキミ群集というわけではないので,良い子は真似しないように(笑).

これもMy新種,クロキ.関東では見ませんね.あ,もちろん松本も.

私も種名を書いた札があったのでそう認識できた,という感じです.クロキ.ちょっと暗くて被写界深度が浅く,シャッタースピードも遅いので,ボケた上にぶ れています.ストロボ炊けばよかったですね.

これも新種.シャシャンボ.互生でヘリには細かい鋸歯.葉柄は非常に短いか,ほとんど無いようにも見えます.

裏から見るとこんな感じ,シャシャンボ.側脈は鋸歯に達せず,ループ状になって隣の側脈につながります.


ヒメイタビですね.相変わらず葉が小さい.

これは松本周辺でも見ます.ソヨゴ.

シダはコシダ.例によって蛭間くんは遠くから見て「ウラジロ」とか言っていたんですが,彼の名誉のために,このことは秘密です(笑).

シカ,普通にいます.人馴れしていて,逃げません.

うーむ,これも新種,カンコノキ.名前は聞いたことありましたが...
今回我々が歩いたルートは道沿いに植物(木本)の名札があって,大変助かります.

カンコノキ,アップで.倒卵形で,葉の先のほうが幅広になります.

これまた新種.ヒメヤマツツジだとか.ほとんど落葉してしまっていますが.

ほとんどサツキぐらいの葉の大きさです.

宮島は全山(全島)花崗岩だとのことですが,目視により確認しました.真砂化(まさか)しています.

普通の常緑樹もあります.アラカシ.

イズセンリョウですね.

イタチシダspですが,細かいところまではわかりません.

これは落葉樹,マルバウツギ.

シダはミツデウラボシ.3つには裂けていませんが.

イヌビワ.

こちらはハスノハカズラ.これ,ハスと同じように葉が盾状についています.ちょっと面白いですね.

マンリョウ.




今回,我々が歩いて,樹木に名札のついていた道は,港方面からロープウェイに向かう道.ただし,旅館かなんかの送迎バスが何度も何度も結構なスピードで行 き来するので注意.

さて,午後1時に広島駅前で豊原先生と待ち合わせです.あまりゆっくり出来ません.

厳島神社に向かう参道のお店でカキフライの定食をいただき,島をあとにします.

時間に通りに落ち合えました.豊原源太郎先生と...

その弟子,現在兵庫県立大学の講師,黒田あすもくん.
取材の内容は,「植生情報」誌に載る予定.
よろしく,蛭間くん(笑).



いやあ,こんなに新種に出会えるとは思はなかったな.今度は冬じゃなく,いい季節に来よう.


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