会議当日は午後から新潟県庁で会議なんですが,当日松本を出て...というのは不可能ではないんですが,
朝,非常に
早くでないといけない.危険.寝過ごしたら終わり. |
というわけで前日に新潟入り,午前中は新潟県立植物園とその周辺の植物を見ようということになりました. 山とかに登るといったことは時間的に無理なので,社寺林で身近な植物を見るのが現実的でしょう. |
新潟県立植物園はJR古津駅(ふるつえき)が最寄り.バスの便が悪いので,駅から歩きます. 街の住宅地図を見ると,町外れに神社があるらしい.で,やって来ました古峯神社(ふるみねじんじゃ).境内の植物を見てみましょう. |
まずは普通に,ゼンマイ. |
次.こちらは暖温帯の普通種,ベニシダでいいですかね. |
裏も見ておきましょう,ベニシダ. |
またしてもシダ.ヤワラシダですね. |
葉脈が葉のヘリまで達しないのがヤワラシダ.達すればハリガネワラビ.これは達しないようです. |
東日本で暖温帯の常緑樹といえばこれ,シロダモ.関東で散々見ました.クスノキ科ですから三行脈が目立ちますね.葉の裏は白いです. |
これも暖温帯で見ますね,ショウジョウバカマ.春に桃色の花をつけますね. |
ツタは常緑のキヅタ.冬にも葉をつけているのでフユヅタとも呼ばれます. |
これはヒサカキでいいですね. |
アオキですね.次にヒメアオキが出てくるんですが,アオキの方はご覧のように葉の先が特に広く,鋸歯も目立ちます.こちらは関東でも見ます. |
で,こちらは雪国に特有のヒメアオキです.アオキに比べ葉が細くスマート.鋸歯もあまり主張しません.さすが雪どころ,新潟. |
この感じはヒメワラビ.植物同定にとって,見た目の第一印象は大変大事です.ですから,標本にしてしまうと,わかりにくかったりします. |
こちらはウメモドキ.モチノキ科モチノキ属.だけど落葉樹.ウメの葉に似ていると言えなくもない. |
ガマズミですね.信州松本だと,明るいアカマツ林の林床にでたりします.春に花が咲き,夏には赤い実をつけ,鳥の餌を供給してくれます. |
新潟なのでユズリハかその変種で多雪地分布のエゾユズリハなんですが(ヒメユズリハは新潟に分布しないらしい),なんか印象が違う.何で印象が違うかと いうと普通は葉柄が赤いんですが,これ,赤くない. で,ちょっと調べてみると品種でアオジクユズリハというのがあるらしく,それが葉柄が青い(緑色)らしい.うーむ,確信はもてません.一応,メモをして 記録しておきます. |
こちらはクサイチゴですね.羽軸に腺毛があります.地面に這いつくばりますが,草本ではなく,木本です. |
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ヤブコウジ.新潟は雪がふるので寒い印象があるんですが,暖温帯です.で,ヤブコウジ. |
ササはクマイザサでした.葉の裏に毛のないタイプ. |
チゴユリですね.春先に白い花を茎の先端につけます.今は緑色のみを茎の先端にひとつつけていますね. |
一瞬,タカネザクラ(ミネザクラ)かと思ったんですが,標高的にありえない.となるとこの葉の裏のテカリはカスミザクラか.ま,コシアブラも出てくるので (下記),あってもおかしくないか. |
スノキ |
こちらはタカノツメ.落葉樹ですが,暖温帯にでますね.あの辛いヤツとは別ですよ(笑). |
ツルアリドオシも日本海型ブナ林など,雪国で見る植物ですね.太平洋側では見ませんね. |
コシアブラです.通常はブナ帯に出る樹木ですが,ここでも見られました.春の若芽は山菜になります.私は松本・縄手通りの「いわな」という料理屋さん(飲 み屋さん)が馴染みなんですが,そこのマスターが季節になると天ぷらで出してくれます. |
こちらはキンミズヒキですね.左のシダはシシガシラ. |
そんなことで社叢(しゃそう:神社林のこと)をあとにします. |
で,植物園に向かって歩くんですが,溜池があり,どうやらヒシが群生.普通は水面に葉を広げるんですが,ここでは栄養状態が良すぎるのか,空中に葉が浮い てしまっています(笑).硝酸イオンが多いのかな. |
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で,新潟県立植物園.自分で寄り道しておいて言うのもなんですが,結構長かった(笑). |
立派な温室もあって,こちらも楽しみましたが,今回は野外を紹介しましょう. |
ここは,園内の真ん中に大きな池があって,ここにいろんな植物がでます.必ずしも植えたものではないんでしょうが,充実してます. |
まずはヒツジグサ.スイレン科スイレン属です.葉は,普通水面に浮きますが,ここでは浮き上がっていますね.普通は花の色は白いです. |
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真ん中に生えているのがミソハギです.ここでは葉の写真をとっておこうと.この時は35mmのマクロレンズ1本で出かけたので,ズームとかはできません. ま,アップはまたの機会に. |
こちらはカヤツリグサ科のカワラスガナですね.特徴を説明するのは,なかなか難しいです. ですが,これ,茎の先に葉っぱのような苞が広がっていて,その中心にたくさんの小穂をつけますね.これで終了.それに対して,カヤツリグサとかウシクグ なんかは,こ こからまた何本もの枝を出してそこにたくさんの小穂をつけます. |
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パッと見,クサネムかカワラケツメイですが,これは茎が中空でパイプ状になっているのでクサネムですね.カワラケツメイは茎が詰まっています.茎を痛めな いように,そっと親指と人差指の先でつまんでみましょう.中空かどうかわかります. |
クサネムの花.マメ科クサネム属です.これも湿地の植物.千曲川の河原なんかでも見ます. |
イボクサですね.ツユクサにちょっと似ますが,ツユクサはツユクサ科ツユクサ属.こちらはツユクサ科イボクサ属.葉は細長いです.ツユクサとは花の形が違 いますね. |
ヒメクグです.カヤツリグサ科.「クグ」はカヤツリグサの古い呼び方.ヒメは姫の意味ですね.茎の先に放射状の苞をはやし,その中心に金平糖(コンペイト ウ)のような花をつけます. |
ミズアオイの後ろのでこぼこした葉はオニバス. |
ミズアオイの花のアップです. |
ミズオオバコの花です.葉は水中にありますので見えません.花の周りに見える葉はミズオオバコのものではありません.注意. |
こちらはガガブタ.ミツガシワ科.特徴的な花ですね.ガガイモの花を思い出します. |
ヒメジソ.生育地もまさに写真のようなところですね.葉の後ろに油点がたくさんあります.これが特徴.シソ科. |
似たカンガレイは,小穂を4-10個ぐらいつけ,しかも小穂に枝がありません.こんなところが見分けポイント. |
ガマの仲間ですが,ここではヒメガマ. 普通のガマは葉の幅が2cmくらいで広い.しかも雌小穂と雄小穂(茎の先の方に,2つ小穂があるように見える)の間に隙間がありません. コガマはやはり2つの小穂の間に隙間はないんですが,葉の幅は1cm程度まで. で,ヒメガマは2つの小穂の間に隙間があって,普通に茎が見えます.葉の幅はやはり1cm程度まで.こんなふうに見分けられます. コガマとヒメガマは,ですから花がないと見分けるのは厳しい. |
これは植栽.花の時期は終わってしまっていて,面影もわかりません.が,葉の形は,同じユキノシタ科のダイモンジソウとか,ジンジソウとか,そんな感じ ですね. また次回. |
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こちらは植栽,オミナエシ.秋の七草ですが,現在は草原が減っているため,野生のオミナエシを見ることはほとんどありません.かく言う私も,野生のもの は,ほんの数回です. お寺のお庭なんかで見たりします. |
ヒツジグサ.こちらは白い花が咲いていますね. |
最後,こちらは温室の中なんですが,オオオニバス.さっきまで写真に写っていたオニバスは,葉の表面に大きな凹凸(おうとつ.デコボコじゃないよ)が あって,それが特徴だったんですが,こちらは盾状についた葉のヘリに水が入らないような囲みがあって,これが特徴.大きなものだと,赤ちゃんぐらいは乗っ ても沈まないとか.ま,あえてそんなことさせる親はいないでしょうが(落ちてワニにでも食べられたら大変(笑).あ,ここはワニとかいませんよ). |