私,河川水辺の国勢調査のアドバイザーをさせていただいているんですが,今回は大町ダム周辺.で,上がってきた報告書だけ見ても,なかなか判断は難しいの で,業者の方にお願いして,実際に調査をする現場を見せていただきました.ご迷惑をおかけしましたが,大変有意義な日でした.2013年9月.


 大町ダムです.電力会社ではなく,国土交通相の管轄.


 
  カワラハハコですね.葉が細い.河畔の乾いたところに生育します.
 
 ヤマハンノキ.成長が早い樹木ですので,河原は得意なのでしょう.


 ダムと河川の周囲がメインなんですが,それを囲む山も対象になります.

 おお,イワウチワですね.葉の先が凹みます.花は終わってしまっていますが,イワカガミの仲間と違い,花が一個だけ付きます.

 エゾユズリハ.雪国の分布です.

 セリバオウレンですね.

 ツルシキミ.これも日本海型のブナ林にでるものです.

 ミツデカエデ.対生,三出複葉,鋸歯.
 フサザクラですね.あまり標高の高くない渓畔沿いにでます.標高が高くなると,シオジ,サワグルミ,カツラ.

 続いてシャクナゲが林床にあるタイプの森林.

 あ,これね.ホンシャクナゲ.
 ホンシャクナゲはアズマシャクナゲの変種ですので,葉の基部がくさび形です.ホンシャクナゲは切形.

 ホンシャクナゲ,アズマシャクナゲとどう違うかというと,アズマシャクナゲは裏に毛があるんですが,ホンシャクナゲはない. 

続いて草地.ダムが増水すると水をかぶるところだそうです.

 こんな感じ.

 イタチハギが多いんです.で,多分水で種子が散布されてしまうのでしょう.河川水辺の国勢調査ではイタチハギとは言わないで,クロバナエンジュと呼ぶん だそうです.

 イタチハギ,たくさん実をつけていますね.

 ブタクサ.これの花粉も困りますね.

 外来種,オオクサキビ.河原に出ます.

 こちらはコメヒシバ.二股に分かれて,これで完了.普通のメヒシバは4本とかありますが.

 コメヒシバ,葉です.

 ヒメジソですね.シソ科.田圃の畦とかによくでます.

 ヤハズソウ.茎に下向きに毛があります.マルバヤハズソウは上向きの毛.

  スズメノヒエ.小穂の背中が見えます.外来種のシマスズメノヒエは見えないで毛があります.この写真でわかるかどうか...

カワラスガナですかね.



 ヤシャブシなんですが,葉の裏に毛があるので,変種のミヤマヤシャブシ.以前の調査ではヤシャブシになっていたようです.ま,種レベルでは一緒なのでいいと思いますが.

ミヤマヤシャブシ,雌花序が3つついていますね.ヤシャブシと一緒です.太平洋側にでるオオバヤシャブシはこれが1個.日本海側のヒメヤシャブシは5-6 個付きます.

 一度切ったあとに再生した二次林ですね.木のサイズが揃っています.

 先程見たイワウチワもそうだと思うんですが,細かく言うと変種のトクワカソウらしいです. イワウチワの変種でイワウチワは葉の基部が心形だが これは円形からくさび形になることが違いのようです.

 ダムをまわる遊歩道には,植物に札が付いているのに加え,岩にも説明があります.さすが国土交通相,こちらのほうが得意なんでしょう,本当は(笑).
 粗粒花崗岩,有明花崗岩だそうです.

 現物はこれね.確かに花崗岩ですね.

 イタチシダは,ミヤマイタチシダでした.

 ミヤマイタチシダの裏.

 あとはハクウンボクとか...

 サワラとか...

 今度は,ひん岩だそうです.

 マイペディアによれば,玢岩は安山岩質の成分を持った半深成岩とのことです.

 アクシバですね.

 アクシバの葉の裏.脈が唐草模様のようになっています.

 ここの特徴は,中信的な,雪の少ないところの植物もあれば,雪に多いところの植物もある,というところでしょうか.
 報告書だけ読んだら,「ほんまかいな」となるかもしれなかったですが,現場を見せていただくことで状況がわかりました.
 大町事務所のみな様,東京建設コンサルタントのみな様,ありがとうございました.
 所長さんに名刺いただいてしまったのに,私,現場服だったので名刺なかったのはまずかったな.皆さんは私のような失態はしないように.

 あ,この放水,珍しいんだそうです.写真,写真.




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