鳥取大の永松先生に集中講義に来ていただきました.松本まで来て,そのまま帰っていただくのは勿体ありません.ぜひどこか,という時に白馬栂池というプ ランが持ち上がりました.ここは,スキー用のゴンドラなどで,湿原巡りなどができます.お金はちょっとかかるけど(笑).今回はそんな話です.2014年 8月あたま.


 麓まで来るまで行って,後はスキー用のゴンドラ高なんだかを乗り継いで,気軽に雲上の湿原. 

 ええ,こういう感じです.

 池塘ですか.いいですね.

 そんな中を木道歩きをしながら自然,植物あわよくば動物も観察しちゃいましょう.

 湿原にたどり着く手前,林縁.ヤマブキショウマ.ちょうど花の時期ですね.
 ヤマヨモギ.別名オオヨモギ.平地はヨモギですが,標高の高いところのヨモギ.普通のヨモギは,葉柄の付け根に托葉みたいな付属物があるんですが,ヤマ ヨモギ・オオヨモギにはそれがありません.ま,背が高く,葉の切れ込みがシャープなので遠目にもわかりますが.

 こちらはヒトツバヨモギ.先ほどのヤマヨモギや普通のヨモギは葉が切れ込みますが,これは切れ込みません.それでヒトツバヨモギという名称ですね.

 湿原ゾーンに侵入.オニシモツケです.日本海要素.

 といったところで湿原手前の林縁ゾーン.オオイタドリです.イタドリの仲間ですが,日本海側の多雪地に分布して,葉の基部が心形です.

 イワノガリヤス.高層湿原なんかに出る,高茎草本.花穂が紫色に見えるのが第一印象的に,大きな特徴.
 今回,いつものペンタックスをメインで,フジのデジカメをサブで使い,それがこの写真ですが,ペンタに比べ,緑色が浅いですね.

 サンカヨウですね.花は終わって,もう青紫の実がついています.

 ダイニチアザミなんだと思います.ここに生育するのか,これだとされていますので.

 シダです.オオバショリマですね,この感じ.

 葉の裏も撮影しておきましょう,オオバショリマ.

 オタカラコウですね.一つの花と見えるのは舌状花の集合でオタカラコウは5-7つの舌状花からなり,メタカラコウは3程度なので,花がある時期なら区別 が付きます.

 手前左はオニシモツケ.奥の黄色はオタカラコウ.右の陸地はなんだったかな.これもフジのデジカメ.ちょっと色が浅いですよね.

 うん,ベニバナイチゴ.赤紫の花びらの花が咲きます.これは葉っぱだけですが.これもちょっと色が不満.フジ.シャープなんですけどね,ローパスフィル ターレスで.

 おなじみ,ハリギリ.トゲは動物に食べられないようにする適応なんでしょう.

 これは現地でわかりませんでした.葉は対生で,表面にシワがあるのでオオヒョウタンボクみたいな感じなんですが,花がたれていて全然別.あとから調べ るとクロツリバナ.

 これです.花柄が長く伸びて,花は4数性.黒,と名前がつくように,他のツリバナは黄緑の実をつけますが,これは黒というか赤紫の実をつけます.

 で,こちらがオオヒョウタンボク.花は白くて立ち上がります.実もスイカズラらしいもの.
 クロツリバナはフジ(X-M1)なんですが,こっちの写真はペンタックス(K-r).ペンタのほうが,緑,綺麗ですよね.以前はニコンを併用していたんですが (D90),やっぱり緑色はペンタックスが綺麗で,ニコン,やめちゃいました.

 モミジカラマツ.フジの色ですね.ま,色はともかく,葉は掌状にさけてもみじ型,花はカラマツソウに似て,カラマツ型.標高だと1500m以上でしょう か.

 おお,キヌガサソウですね.よくぞ咲いてくださいました.

 アラシグサ.これもほかではあまり見ませんね.

 お昼ごはんは傘なしで野外で食べたんですが,霧が濃くなり,霧雨になりました.

 こんな感じ.幻想的でいい感じではあります.

 枠を貼って,地元の方々が調査・研究をなさっています.

 ニッコウキスゲですね.ゼンテイカ.
 クロトウヒレンです.写真じゃよくわかりません.茎にヒレがあって,花が黒紫色.

 森林ゾーン.ハクサンシャクナゲ.小さな個体でしたが,大きく育ってください.

 林床というか,林縁ゾーンですが,コイワカガミですね.

 オオバミゾホウズキ.分布は亜高山帯でしょうか.久しぶりに対面しました.
 ミソガワソウ.シソ科.これも久々です.こちらはペンタックス.

 ミソガワソウ,アップ.こちらはフジ.ちょっと,緑,暗い感じになっちゃいますね.露出補正なし,フルオートにしているんですが.

 ミヤマハンノキですね.言うことありません

 ミヤマワラビですね.言うことありません.

 クルマユリ.下の方につく葉は車輪状に葉をつけます.で,クルマユリ.周りに植物があるので,なかなかそれらしい写真は取りづらいですね.

 ヒロハユキザサ. 茎に2本の稜があります.似たミドリユキザサには稜がないです.
 スイマセン,いい写真じゃないですね.色も出てないし.

  タマガワホトトギスだとおもいます.県内で花が黄色いということで.信州は,ただのホトトギス,ヤマジノホトトギス,ヤマホトトギス,イワホトトギス,そ してこれタマガワホトトギスしかありません.ということで,県内で黄色だったらこれ.
 ジョウロウホトトギスの仲間はたしかに黄色いですが,細い筒状の花を下向きに咲かせますので,全然印象が違います.

 シラネニンジンですね.葉は細かい.あとは何が特徴かと言われると,困ります(笑).

 湿原から離れたところ.オニシオガマ.

 望遠マクロです,オニシオガマ.色が見事.そして腺毛がしっかり.

 カンチコウゾリナですね.茎に刺があって痛いのはそのとおりなんですが,これは総苞片が黒いのが特徴.

 ヤマヨモギ,別名オオヨモギ.先程も出しましたが,こちらのほうが葉の形などははっきりするかなと思いまして.

 これ,シナノオトギリなんですかね.
  オトギリソウの仲間は本当に悩ましい.特に,シナノオトギリと,イワオトギリ.検索点を色々見るんですが...

 モミジカラマツ,再び.ちょうどこの季節なんですね.上高地なんかでもよく見られます.



 あ,写真中央の葉,ミヤマセンキュウ.手前の花や葉はオニシモツケ.

 オタカラコウですね.舌状花が多い.
 トリカブトですね.これまで報告されているリストでは,ミヤマトリカブトになっています.詳しいところはまた今度.
 ああ,オオカサスゲでいいですよね.普通のカサスゲは茎の先端にある雄小穂がひとつ.オオカサスゲは2つ,3つ.

 イワショウブですね.今もユリ科でいいんでしょうか.

  ワタスゲですね.雨に濡れてちょっと元気ないですが.

 うーん,初見,現地では解らず,写真をとって後日調べました.で,ダケスゲと判明.これ,次のヤチスゲと似るんですが,ヤチスゲは雌小穂1-2個,この ダケスゲは2-3個.この写真の個体だけでなく,いろいろ見て,これはダケスゲ.

で,こちらはヤチスゲ.雌小穂は1-2個です.ダケスゲは2-3個.一個体だけでなく他の個体も見て決めます.

 ああ,リュウキンカですね.花の頃は寒くてなかなか出会えません

 クロバナロウゲですね.キレイに取れました.見ればわかります.付け加えることはありません.

 うん,これは迷います.遠くから望遠レンズで撮っていますが.あ,ホソバノキソチドリですね.距は下向きです.これに似ているコバノトンボソウは距が上 向きに なります.

 で,こちらがコバノトンボソウです.距は上向きなので,距が下向きのホソバノキソチドリと見分けられます.


 チングルマですね.花ではなくて,実の時期の写真ですが,この状態のほうが皆さん馴染みがあるかも.

 はい,モウセンゴケ.皆さんご存知のように食虫植物です.葉に溜まる美しい蜜のような粘膜に触れたら最後.みなさん,気をつけましょう(笑).

 イワイチョウですね.この写真だとはっきりしませんが,葉がイチョウの葉ように横に広がるので,イチョウの名をもらっています.

  こちらは,再びイワショウブ.ちょっと似ていますが,花をよく見れば違いますし,葉も違います.

  ミヤマアキノキリンソウです.アキノキリンソウの変種.花が固まってつくように見えます.

 クルマユリ.再びですが.車輪状の葉が写っていないので,いい写真とはいえません.ですが,花は綺麗です.

 ヒオウギアヤメです.アヤメは比較的乾いた草地に生育しますが,これは湿地に生育します.外見上の違いは,アヤメでは立ち上がる内花被片がほとんど見え ないのがヒオウギアヤメの特徴です.

 ワタスゲですね.先ほどの,雨にうなだれるワタスゲよりいいかも.望遠レンズで撮りました.

 はい,ゴヨウイチゴでいいと思います.茎に刺(とげ)があるはずです.花は下向き.ヒメゴヨウイチゴと言うのがあって,こちらは棘なしで花は上向き.

 写真は小さいですが,ミツバオウレンです.

 エンレイソウ.もう実ですが.

 ニッコウキスゲ.改めて.

 スゲをいくつか.まずはおなじみ,ミタケスゲ.この仲間としては実は大型と言っていいと思います.

 で,これを小さくしたようなのが,普通はヤチカワズスゲなんですが,ここでは,カワズスゲだそうで.過去の研究結果から.このカワズスゲ,ヤチカワズス ゲより小さい変種だとか.

 次.ヒメカワズスゲ.名前はカワズスゲやヤチカワズスゲに似ているんですが姿は別. ハクサンスゲに似ます.が,苞がとがるということでヒメカワズスゲ.

 うーん,わかりません.

 こちらは林縁,ミヤマホツツジ.雌しべが90度,上向きに曲がっていますね.これがミヤマホツツジ.

 湿原から降ります.キオン.スキー場にて.

 同じく,スキー場の草原ヘリ.エゾリンドウですね.似たオヤマノリンドウは一番上と,二番目ぐらいまでに花をつけますが,エゾリンドウは下の節まで段々と花をつけます.

 ミヤママタタビですね.葉の基部は心形.
 それと,マタタビは花期に葉が白くなりますが,こちらはピンク色になります.
 そんなことで,永松先生には信州の自然を楽しんでいただきました.
 左の写真は前々日の夕食.妻と娘も一緒.娘は早めに寝かさないといけないので,夕食も早め.

 永松先生は,2014年から3年間,植生学会誌の編集委員長であらせられます.おごったりすると賄賂みたいになっちゃうので,きれいに割り勘.いや,集中講義をお願いしたのが2013年で,その時は永松先生が編集委員長になられるとは思っていなかったので...うちの学生(卒業生)がファーストの論文は,いずれも厳しく見ていただきました(笑).

また飲みましょう.




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