1-10 分布式の変数変換(*)

λν = c の関係を使って、プランクの分布側(1.2式)を λ (および dλ)で表せ。

(注)

ν で表された黒体からの電磁波の分布式

 \displaystyle \rho_\nu (T) {\rm d}\nu = \frac{8 \pi h}{c^3}\frac{\nu^3 {\rm d}\nu}{e^{h \nu / k_{\rm B}T}-1} ... (1.2)

を λ (および dλ ) で表された式に直します。

λ (ラムダ)は波長、ν (ニュー)は振動数、c は光速度。
hプランク定数kBボルツマン定数T は温度です。

「分布」の表し方

この数式には dν (微小な ν) が含まれています。「dなんとか」 が含まれている式の扱いは慣れていないと思われるので、少し解説します。
(高校数学の積分式で出てくる dx と、実は同じものです。参考「Δ と d の使い分けがわからない」)

左辺、\rho_\nu (T) {\rm d}\nuとあるのは、分布式を示す時の常套手段です。
電磁波の、振動数 ν を横軸とした分布 (振動数 ν の電磁波がそれぞれどのくらいのエネルギー分含まれているか)
を表すには、数式で \rho_\nu (T) {\rm d}\nu と表し、
横軸を ν として、 \rho_\nu (T) 部分をグラフにします。

(1.2)式の場合、

 \displaystyle \rho_\nu (T) = \frac{8 \pi h}{c^3}\frac{\nu^3}{e^{h \nu / k_{\rm B}T}-1} ... (1)

なので、これを T = 6000 K としてグラフにすると

プランクの黒体輻射の式 (T =6000 K)

というように横軸を振動数とした分布を表すことができます。
特定の振動数の範囲の電磁波のエネルギーを求めるためには


のように、グラフの横軸である ν の微小量である dν をかけてグラフの面積を求めます。言い換えると、

 \displaystyle \int \rho_\nu (T) {\rm d}\nu ... (2)

のように積分をしてやればよいということになります。

「次元」を考える

数式の持つ次元(単位)について考えておきましょう。(1)式

 \displaystyle \rho_\nu (T) = \frac{8 \pi h}{c^3}\frac{\nu^3}{e^{h \nu / k_{\rm B}T}-1} ... (1)

の単位について考えます。
まず、指数関数の中身

 \displaystyle \frac{h \nu}{k_{\rm B}T} ... (3)

は、

h = 6.624 × 10−34 J s
ν = 数値 s−1
kB = 1.381 × 10−23 J K−1
T = 数値 K

ですから、単位だけを考えると (J s s−1)/(J K−1 K) = (1) で無次元となります。
(物理量を扱う場合、指数関数や対数関数の中身は基本的に無次元になる)

(1)式の残りの部分

 \displaystyle \frac{8 \pi h}{c^3}\nu^3 ... (4)

についても同様に単位を考えると

c = 2.998 × 108 m s−1

を使い、(J s s−3)/(m3 s−3) = J m−3 s となります。

J m−3 は「体積当たりのエネルギー」です。
(1)式の次元は J m−3 s であり、dν (単位 s−1) をかけることで、求めたい量、
J m−3  (体積当たりのエネルギー)となることがわかります。