「解となっていることを示せ」ってどう答えればいいんですか

調和振動子のシュレーディンガー方程式は次のように書かれる。

\displaystyle \frac{{\rm d^2}\psi}{{\rm d}x^2} + \frac{2\mu}{\boldsymbol{\hbar}^2}\left( E-\frac{1}{2}kx^2 \right) \psi(x) = 0 …(1)

この波動方程式を満たす波動関数のうち、最もエネルギーが低いものは、

\displaystyle \psi_0(x) =\left(\frac{\alpha}{\pi}\right)^{1/4}\,e^{-\alpha x^2/2}\ \ \ …(2)

ただし

\displaystyle  \alpha = \left( \frac{k\mu}{\boldsymbol{\hbar}^2}\right)^{1/2}

である。(2)式で示された ψ0(x)が (1)式の解となっていることを示せ。

なお、調和振動子の振動数 ν は、換算質量 μ力の定数(ばね定数) k だけで決まり、

\displaystyle \nu = \frac{1}{2\pi}\left(\frac{k}{\mu}\right)^{1/2} …(3)

となる。

 

微分方程式(1)を「解く」というのは、微分方程式中の関数 (この場合は ψ )が、どんな数式で表せるかを示せ、という意味です。
ここでは ψ が示されている(解が示されている)ので、これを方程式に入れて、等式が成り立つことを示します。

(1)の波動方程式を解いて 解 (2)を導くことは困難ですが、
(2)が (1)の解になっていることは比較的簡単に確かめることができます。

(1)の左辺に(2)を代入して、(1)の左辺が = 0 となることを示せば よいのです。

ただし、(1)式中の E (振動している粒子の全エネルギー)は 問題中では与えていませんでした。調和振動子の は 振動の量子数を V として

\displaystyle E_V = h\nu(V + \frac{1}{2}) \ \ \ (V = 0, 1, 2, 3...)

となることを知っていれば、「最もエネルギーが低い」ので、 V = 0 で

\displaystyle E_0 = \frac{1}{2}h\nu …(4)

となるので、これを代入します。この値は (1)の左辺が正しく計算できれば、固有値として得られます。

何人か、

(2)式を(1)式に代入すると、(1)式に示されているように 左辺 = 0、なので、
(2)式は(1)式の解である。

としている解答がありました。

出題は、「(2)式が(1)式の解になっているかどうかはわからないので確かめてください」、という意図なので、(1)式の等式は成り立っているかどうかまだわかりません。よって(1)式の等式自体を解答に使ってはいけません。

上で示したように、(1)式の左辺、右辺をそれぞれ計算して、等しくなることを確かめる、という手順になります。