16-23 沸点と臨界温度

解答

横軸を臨界温度、縦軸を沸点としてプロットしてみよう。
このように、2 つの値に関係性があるかどうかを調べるには、一つの値を変化させた時にもう一つの値がどう変化するかをグラフにするとよい。このような検討を「相関を調べる」などという。

プロットは多少ばらつきがあるものの、原点を通る直線となった。
両者は「相関がある」と言える。
(「相関がある」→上記のようにグラフが右に行くにしたがって増えたり、逆に右に行くにしたがって減ったりする。
「相関がない」→値はランダムになる。)

沸点、臨界温度はいずれも分子間力と関係しており、分子間力が強いほど高い沸点および臨界温度を持つと考えられる。
ちなみにグラフ中の直線は原点を通るように最小二乗法で求めた直線で、傾きは 0.612 であった。これは臨界温度の 0.612 倍が(1 atm における) 沸点となることを示している。

他にはどんな物性値が相関を持つだろうか。

例えば、融点と臨界温度はどうか。融点は分子間力だけでなく、固体の分子の並びかたによって影響を受けるので(パッキング(詰まり方)が良いものほど融点が高いと思われる)、相関は上の例より悪いことが予想される。

分子量と臨界温度はどうか。無極性分子の間に働く引力は「電子雲のゆがみやすさ」によるので、一般には分子量の大きな分子ほど強くなる。

沸点と蒸発熱(蒸発エンタルピー)の間には相関があることが知られている。沸点と蒸発熱はよい直線関係を示し、(蒸発熱/沸点)の比を取ると、概ね 80 J K−1 mol−1 となる。(トルートンの規則, Trouton’s rule)

物質の種々の物性値をまとめたものとしては CRCハンドブック などが有名であるが、Wikipedia や Wolfram alpha 等のインターネット上の情報源を利用して調べることもできる。 1)例えばWolfram alphaで “boiling point of hydrogen, nitrogen, oxygen, carbon monoxide” と入力する。Wikipedia の値は間違っていることもありうるので注意が必要。

下に 18 種の分子の沸点、融点、臨界温度、分子量、蒸発熱、融解熱のファイルを置いたので、例えば上記のプロットを行い、相関があるかどうか、直線関係から「はずれる」のはどのような分子かなどについて考えてみてください。

脚注

1 例えばWolfram alphaで “boiling point of hydrogen, nitrogen, oxygen, carbon monoxide” と入力する。Wikipedia の値は間違っていることもありうるので注意が必要。