立方体以外の単位格子の繰り返しの考え方

問題 9 のヒント

問題 9 (氷) 難易度A

  1. 下図は氷(Ice Ih)の単位格子である。氷の構造を図示し、その特徴について述べよ。酸素原子のみを示せばよい。(水素原子は示さなくてよい)

 

真上(z 軸方向) からみた氷の単位格子の繰り返し

このような立方体以外の形の単位格子では、ベクトルの考え方を使います。

単位格子は 3 つのベクトル、 abc で表すことができます。(以下、太字はベクトルを表しています)
ベクトルを次のように成分表示で書くことにすると

  • a = (ax, ay, az)
  • b = (bx, by, bz)
  • c = (cx, cy, cz)

下図の氷(Ice Ih)の場合、3 つのベクトルはx, y, z の成分表示で例えば次のように書けます。(他の書き方もあります)

  • a = (4.48*cos60°, 4.48*sin60°, 0)
  • b = (-4.48, 0, 0)
  • c = (0, 0, 7.31)
氷(Ih)の単位格子
横から見たところ(数字は長さの比)
上から見たところ(数字は長さの比)

そうすると、単位格子に含まれる 4 つの酸素原子の位置は、3 つのベクトルabc を使って次のように書けます。

  • O1 = (1/3)*a+(2/3)*b+(1/16)*c
  • O2 = (1/3)*a+(2/3)*b+(7/16)*c
  • O3 = (2/3)*a+(1/3)*b+(9/16)*c
  • O4 = (2/3)*a+(1/3)*b+(15/16)*c

実際の xyz ファイルには各酸素原子の xyz 座標を書く必要があります。
O1 の x 座標は、上の式の abc の x 成分をとりだして計算すればよいので、以下のように計算できます。

  • O1x = (1/3)*ax + (2/3)*bx + (1/16)*cx
  • すなわち
  • O1x = (1/3)*(4.48*cos60°) + (2/3)*(-4.48) + (1/16)*0

同じように、y 座標と z 座標も求めることができます。

  • O1y = (1/3)*ay + (2/3)*by + (1/16)*cy
  • O1z = (1/3)*az + (2/3)*bz + (1/16)*cz

うまくセルを並べて、$マークを駆使すれば、計算は一気に行えます。

赤い部分の答え(やり方は他にもあります。)

上の表で 2.22045E-16 とあるのはコンピュータの世界で指数形式と呼ばれるもので、
2.22045 × 10-16 を表しています。つまりこの場合、ほぼ 0です。
VESTAはこの指数形式も読み込むことができるので、そのまま xyz ファイルに貼り付けてかまいません。
表示の違いが気になる場合は、セルを選択して、エクセル上のメニューから[書式]-[セル]で表示される[セルの書式設定]で表示形式を[標準]から[数値]に変更し、[小数点以下の桁数]を 3 桁程度に設定してやるとよいでしょう。設定の桁数になるように四捨五入され、表示されます。
この設定は、将来書く実験のレポートで、数値を有効数字の桁に揃えるときに使います。

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