示量性変数と、示強性変数の違いをもう一回説明して
教科書(p.670)には、「系の大きさに比例するのが示量性変数(extensive variable)」、「系の大きさに比例しないのが示強性変数(intensive variable)」、とあります。
私は、系を半分にしたとき半分になるのが示量性変数!と教えています。
体積 1 L の気体を半分の 500 mL ふたつに分けると・・・
- 体積 V 半分になる → 示量性
- 物質量 n 半分になる → 示量性
- 温度 T 変わらない → 示強性
- 圧力 P 変わらない → 示強性
- モル体積 (単位 m3 mol−1; 1 mol あたりの体積) 変わらない → 示強性
となります。最後のモル体積は要注意です。
本質的には、よく出てくる熱力学量の中では 圧力 P と温度 T のみが示強性変数だと考えてよいと思います。
体積 V とか 熱容量 CP とかは 示量性の量です。これらの示量性の量を、系の物質量(モル量)で割ることで「1 mol あたりの量」、
モル体積 ( = V/n) や
モル熱容量 ( = CP/n) が定義されます。
これらの 「モル何とか」は、(系の大きさが変わっても変わらない量なので) 示強性となります。
このあと出てくる新しい物理量、例えば 内部エネルギー U とか、エントロピー S とかを理解するためには、まずそれが「示量性」なのか「示強性」なのかが、理解するうえでのカギになります。
(ちなみに U、S ともに「示量性」です。それぞれ、モル当たりの量 モル内部エネルギー , モルエントロピー という量も定義され、これらの「モル~」は示強性の量となります。)
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