ΔS = q/T, q = ∫CP dT, 分子の q に積分式を代入するのだから、エントロピー計算の分母の T って積分に入らない気がするんですが。

\displaystyle \Delta S = \frac{q_{\rm rev}}{T}, \displaystyle q = \int C_P \,{\rm d}T, 分子の q に積分式を代入するのだから、エントロピー計算の分母の T って積分に入らない気がするんですが。

うーん、本当は最初の式は

  \displaystyle {\rm d}S = \frac{\delta q_{\rm rev}}{T}   ... (20.3)

と微分形で書かないといけないのです 1)δ(小文字のデルタ)は、マッカーリ・サイモンでは経路関数の微小量を表すのに使われています。 。(教科書p.862参照)
なので、分母のT も、もともと積分の中に入っています。

  \displaystyle {\rm d}S = \frac{1}{T} \delta q_{\rm rev}   ... (1)

温度が一定のときは (1)式を

  \displaystyle \Delta S = \frac{q_{\rm rev}}{T}   ... (2)

と書いてもあまり問題ないので、授業ではわかりやすさを優先し、(2)式の形を使っていたのでした。

q の式も微分形で書くと

  \displaystyle \delta q_{\rm rev} = C_P \, {\rm d}T   ... (3)

となるので 2)定圧条件のとき。定容条件のときは \delta q_{\rm rev} = C_V \, {\rm d}T になります。 、(3)を(1)に代入し

  \displaystyle {\rm d} S = \frac{C_P}{T} {\rm d}T  

となるのでした。積分すると

  \displaystyle \Delta S = \int\frac{C_P}{T} {\rm d}T   ... (4)

と、分母の温度は積分式の中に入ります。

定圧条件での加熱のように、温度が一定でない場合
刻一刻と温度が上がっていくので、エントロピーの増加分は、その時々の温度で割ってやらなくてはなりません。(4)式は、そのような演算に対応しています。

実際の計算例は、問題21-2にあります。

脚注

1 δ(小文字のデルタ)は、マッカーリ・サイモンでは経路関数の微小量を表すのに使われています。
2 定圧条件のとき。定容条件のときは \delta q_{\rm rev} = C_V \, {\rm d}T になります。