黒豆河原(stop1)で採取した最大サイズの火山岩塊. 170g,見かけ密度 2.13g/cm3. |
黒豆河原(stop1)で採取した最大サイズの軽石. 32g,見かけ密度1.28g/cm3. |
浅間牧場(stop2)で採取した最大サイズの軽石. 8.7g,見かけ密度0.58g/cm3. |
噴石の多く左側の写真のような多角形状の岩片(安山岩)でしたが,まれに軽石も含まれています.軽石は,着地の衝撃(?)で割れているものが多く,その外側と思われる面には,厚さ数mm〜2cmの黒色皮殻がついているものもあります.
黒色皮殻はガラス質でフランスパンの皮のように割れています.
軽石の中では黒色皮殻のついていないものが多いのですが,完全に近い形の軽石質パン皮状噴石もごく少数見つけることが出来ました.
黒色皮殻のあるパン皮状噴石.(斜め上から Stop1:9月2日採取) |
黒色皮殻のあるパン皮状噴石.(横から Stop1:9月2日採取) |
発見時に割れていた黒色皮殻のあるパン皮状噴石.(左:噴石の断面 右:切断,研磨後)
上の写真は浅間牧場で1m四方の範囲から集めた噴出物です.これを篩い分けして,2〜5mmの粒度のものを実体顕微鏡で観察しました.含まれる全ての軽石(黒色皮殻をがついたものも含む)を取り出し,乾燥重量を測定したところ,軽石の全噴出物に対する重量比は約7.4%でした.なおこの値は軽石と黒色皮殻部の最小見積もり値です.
安山岩片 |
スコリア |
軽石 |
ここに紹介した試料は雨で細粒部が流されており火山砂から火山礫で構成されています。
雨の影響等で分別を受けているかもしれませんが,多くは左の写真の安山岩片で,スコリアは全体のおおよそ5%未満,新鮮な軽石は1%未満でしょう。
安山岩片とスコリアの全岩化学組成はこちら,スコリア中のガラスの化学組成はこちらをご覧ください.
礫種ごとの重量比を求めたところ,安山岩(少し発泡したものも含む)80%,スコリア12%,赤色スコリア3.6%,軽石0.9%,その他3.6%でした.
火口から北4.5km,7.5km地点で採取した火山礫を9/23噴出物と同様にカウントしました.
礫種は9/23噴出物と同じで,その割合は安山岩(少し発泡したものも含む)78.2%,スコリア10.0%,赤色スコリア6.4%,軽石0.6%,その他4.8%と9/23に噴出した火山礫とほとんど一緒でした.
左は火口から北東へ4.9km地点で採取した10/10噴火の火山砂.
右は比較のための9/23噴火の火山砂(火口から北東に8km地点で採取).いずれも写真の横幅は7cm.
10/10と9/23はほとんど変わらない砂粒組成を示しているように見えます.
火山砂の中にはスコリアも含まれますが,9/23,9/29と比べるとその量は少なくなっています.
ただしスコリアに比べてると,同質のガラス質の岩片(発泡度が低い)の方が多く含まれているようです.
火口東方4.4km地点で採取した火山礫.近接した2地点で採取したサンプルの中で,それぞれ大きなものの写真を掲載した.最大径は5cm.多角形状で灰色の安山岩片が多い.この安山岩は9/23,29に噴出した火山礫と肉眼的には非常によく似ている.また,安山岩のうち数%程度は赤色酸化している.
9/23のようなスコリアは現在までのところ認識していないが,安山岩の一部に軽石質の部分を伴うものがあり,これは9/23の軽石とよく似ている.なお,これらは9/1の軽石とは全く異なる.
軽石質部分(右側)と安山岩部分の境界 |
軽石質部分を拡大 |
この軽石質の部分を薄片にし顕微鏡観察してみましたが,珪長質な岩石が不完全溶融し発泡したもののようであり,マグマ起源の岩石ではありませんでした.(11/20 1:15追記)
灰-灰白色の火山礫は,実体顕微鏡下での観察では,2004/9/23以降の噴火時の安山岩礫によく似ている.(2009/2/2記)詳細については分析,検討中です.(2/3追記)
千ヶ滝西区別荘地内(火口から南東6.4km近辺)で採取した火山礫
下2段の青灰色から暗灰色安山岩が主な礫種.写真中最大のものは重量1.88g.
(同質の岩石で最大のものは2.67gであった)
上段は肉眼鑑定で主たる安山岩とは区別できる岩石.