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研究テーマ

原山研究室のキーワードは原(フィールド)と山(北アルプス)
どうしても大好きな北アルプスと周辺地域がフィールドになります。
積極果敢な探検精神と、古地磁気や年代測定、岩石鉱物の分析が原山研究室の得意技。
今一番気に入っているのは、下の4つのテーマです。

北アルプス

北アルプスはいつ頃から隆起してきたのだろう? その原因は?

最近の研究で,およそ230-150万年前と130万年前以降の2つの時期に
激しい隆起上昇が起こったことがわかってきた.
いわば2段階の隆起があったことになる.
従来は,200万年前頃に激しい隆起があった後,
侵食を受ける一方で造山隆起はなかったと考える研究者が多かった.
ところが,爺ヶ岳や白沢天狗山(後立山連峰)の火山岩の地質を丹念に調べたところ,
200-160万年前に大型のカルデラ火山として活動していたこと,
それが現在では60-70°も東に傾いている(傾動した)ことがわかってきた.
傾動構造は,東に傾斜する低角断層(スラスト)に沿って
爺ヶ岳一帯のブロックが(東西圧縮の力で)西にずり上がった結果,形成された.
その運動は約130万年前には始まっていたらしい.
関連論文:原山ほか(2003)

図1-1.北アルプス北部(爺ヶ岳周辺)の東西断面

図1-2.北アルプス北部(爺ヶ岳周辺)が東側に急傾斜していることを示す凝灰岩の露頭

図1-3.北アルプス南部(穂高岳周辺)の東西断面図

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珪長質マグマ

マグマはどこでできて,どうやって上昇してくるのか?

マグマの熱はどうやって保たれているのか?
冷え固まるときはどの位の時間がかかるのか?
マグマの発生・上昇・固結プロセスにはわからないことだらけ.
原山研では,北アルプスで見つけた
世界一若い花崗岩(滝谷花崗閃緑岩)を主な対象に,
さまざまな手法でこの疑問に挑戦しています.

図2-1.滝谷花崗閃緑岩体の冷却史

図2-2.露頭にて海外の研究者とのディスカッション
―黒部川花崗閃緑岩体に含まれる暗色包有岩を取り囲んで―
2003年8月に行われた花崗岩研究の国際会議
(第5回ハットンシンポジウム)の巡検で,
山口先生と和田君(2004年博士号取得,手前右)と一緒に,
北アルプスのフィールドを海外の花崗岩研究者に案内しました.
露頭からどんな情報を引き出すことができるかも重要です.

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陥没カルデラ

カルデラ火山はどんなふうに陥没していったんだろう?

古い時代のカルデラ火山だったら,
侵食で削られて中(答え)が見えているのかも!

図3-1.白沢天狗の傾動したコールドロン(カルデラ)
左図のように,円筒形の陥没カルデラが東方へ傾動し,その後侵食された.
この結果,右図のようにカルデラは半月状になった.

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大規模火砕流

恐竜時代(白亜紀末,7000万年前くらい)のカルデラ火山や
北アルプスで激しく侵食されたカルデラ火山が対象.
火砕流の中にはとてつもなくでかいものがある.
世間では噴出量が1立方キロを越えると大規模と呼ばれることがあるけど,
世界最大級では2,000立方キロを超えるものもある.
北アルプスでも176万年前に,
400立方キロを超える超大型火砕流(丹生川火砕流)が発生して,
高山盆地や松本盆地を埋め尽くした.
こんな大量のマグマはどんな通路を通って地表に出てきたのだろうか?
原山研では,北アルプスを始め,
各地で見つかったマグマの通り道(火道)や大規模火砕流の研究をしています.

図4-1.丹生川火砕流堆積物(カルデラ関連火山岩)の分布

図4-2.丹生川火砕流堆積物に含まれる大きな軽石
中央にある灰白色で楕円形のものが軽石(マグマの粗い破片).
軽石の周りの暗灰色部は火山灰(主にマグマの細かい破片).

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