... (6-1)は極座標におけるラプラス演算子である。
... (6-2)
方程式 (6-1) の解のひとつ、ψ100 は
... (6-3)
である。( a0 はボーア半径: )
式(6-1), (6-2)を使って、この軌道の全エネルギー E を求めよ。
絶望させてしまいすみません。まあ、気持ちは分からなくもないですが、きちんと順を追って考えればそこまで難しいわけでもありません。(難しそうに見えても「考えてみよう」、というマインドを持ってほしい、という意図もありました 1)試験中にやれ、というのはちょっと無理がありましたが。 )
段取りとしては、(井戸型ポテンシャルでやったのと同じように)
(6-1)の左辺を計算すると、計算結果に 元の関数 ψ が含まれていて、その前の係数(定数) が E になる、と考えます。
左辺の第1項を計算します。
は大変ややこしいですが、落ち着いて見ると、ψ100 には や は含まれていないので、 の第 1 項だけを計算すればよいことが分ります。( や で微分すると、ψ は 0 になるので。)代入すると
やっぱり難しいよ!ママ! と言いたいところですが、落ち着いてよく見て、定数部分を前に出します。
... (1)
実際に計算しないといけないのは後ろの大かっこの部分です。演算子は右から順に処理をします。
指数関数を ① r で微分して ② r2 をかけて ③ また r で微分して ④ 1/r2 をかける
と順に計算していけばOKです。
① r で微分して
② r2 をかけて (定数は前に出す)
③ また r で微分して (合成関数の微分 [前微分後ろそのまま+前そのまま後ろ微分])
④ 1/r2 をかける
... (2)
これで 第1項の計算はほぼ終了です。項は2つあり、第1項には 1/r が残っています。r が残っていると、元の関数 ψ の定数倍にはならないので、(6-1)左辺の第2項と打ち消しあってくれることを期待します。
さて、(2)を(1)に入れて、(6-1)左辺第1項の計算を完了します。
元の関数 ψ ((6-3)式)に一致する部分を抜き出し、ψ に置き換えます。
... (3)
さて、(3)式右辺の第 1 項の a0 を 与えられている式で書き直すと
となり、期待通り、見事(6-1)左辺の第2項
と打ち消しあいます。
というわけで、長い計算でしたが、(6-1)の左辺は
となり、
が得られます。なお、a0 を 書き直すと
となり、ボーアモデルで算出したエネルギー(n = 1 のとき)と同じ値になります。
脚注
↑1 | 試験中にやれ、というのはちょっと無理がありましたが。 |