反応に伴うGの変化

N2O4の分解反応

ルシャトリエ平衡移動の法則 を化学反応に伴う G の変化から理解することができます。

 \rm N_2O_4 \rightleftharpoons 2 NO_2 

 \Delta_{\rm r} G^\circ = 4.7 \rm\ kJ\ mol^{-1} 
 \Delta_{\rm r} H^\circ = 58.0 \rm\ kJ\ mol^{-1} 

この反応は室温付近の温度変化で平衡が大きく変化します。
反応は吸熱で、温度が上がると褐色の NO2 の割合が増えます。N2O4 は無色。

圧平衡定数 KP は 0.15。
これは圧力によっては変わりませんが、「圧」平衡定数ですので、例えば初期圧力をNO2= 1 bar, N2O4= 0 bar とした場合と、NO2= 2 bar, N2O4= 0 bar とした場合とでは、平衡位置 (ξ ) は変わります。

圧力を上げると平衡位置(G の最小値)が左に、
温度を上げると平衡位置が右に動くことがわかります。

HIの生成反応

例をもう一つ。

 \rm H_2 + I_2 \rightleftharpoons 2 HI 

 \Delta_{\rm r} G^\circ = -16.1 \rm\ kJ\ mol^{-1} 
 \Delta_{\rm r} H^\circ = -9.4 \rm\ kJ\ mol^{-1} 


この反応(HI の生成反応)では、ΔG° が負なので、右方向に進みやすい反応であることが予想されます。
G° は反応物、生成物の分圧がすべて 1 bar の時の G の変化なので、ΔG° が正でも実際の反応は進みます。前のN2O4の分解反応の場合、ΔG° は正ですが、反応初期では生成物の分圧が低いので、反応に伴うΔG (丸なし)は負となり、G が最小となるまでは反応が進みます。)

この反応では反応物と生成物の mol 量が等しいので、平衡位置は圧力によっては変わりません。
発熱反応なので、温度を上げると平衡位置は左に動きますが、かなり温度を上げる必要があります。

圧平衡定数の温度依存性の算出法

温度変化に伴う G, および平衡定数の変化はファント・ホッフ式

 \displaystyle \ln \frac{K_P(T_2)}{K_P(T_1)} = - \frac{\Delta_{\rm r}H^\circ}{R} \left(\frac{1}{T_2}-\frac{1}{T_1}\right)  ... (26.31)

から算出しています。