解答
電磁波は 振動数 ν が決まれば 波長 λ が決まります。
この問題は、同じ分布の電磁波を、ν の代わりに λ を使って表す、という問題です。
基本的には ν = c / λ という関係式を使って、式中の ν を λ に置き換えていけばよいです。
...(5)
ただし、 dν に関しては、単純に置き換えて dν = c/dλ とはいきません。dν とdλ の関係をきちんと考える必要があります。これは微分を使って求めることができます。
dν/dλ と書くと、これは ν を λ で微分したものですから、高校で習った微分公式を使い
...(6)
と求められます。(6)式に両辺 dλ をかけると、
...(7)
と dν とdλ の関係が得られます。これを (5)式 の dν に代入して、ようやく
...(1.3)
と、ν とdν の代わりに λ とdλ で表した分布式を得ることができます。
(グラフの横軸の方向が逆になっている関係で、(7)式中の − は消えます。)
となります。似たようなグラフに見えますが、前のグラフでは右側が高エネルギー、このグラフでは左側が高エネルギーと、左右がひっくり返っています。
dν とdλ が単純に置き換えられない理由
(7)式で表されるように
...(7)
dν とdλ は「変な」関係式で換算されます。この式の係数、c/λ2 がなぜつくのかについて考えてみます。
最初のグラフ、ν の分布グラフで、ν を等間隔 (1 × 1014 s−1ごと)に区切ることを考えます。
区画には、エネルギーの低い方から順に番号をつけてみました。
同じ区画を、λ = c / ν の関係式を使い、λ の分布グラフ上に表してみます。
同じ数字は同じ区画を表しており、各区画が全体の面積に占める割合は ν のグラフと λ のグラフで同じになっています。(区画 1 は グラフの右の方にはみ出してしまいました。)
グラフは左右が入れ替わるだけでなく、 λ の大きい領域でグーンと引き延ばされていることがわかります。
ν の分布のグラフは、等間隔 dν での分布を表しています。同様に
λの分布のグラフは、等間隔 dλ での分布を表しています。
係数、c/λ2 は 横軸の間隔が変わるために入ってくるのです。
(大きい λ ほどグラフが引き伸ばされているので、縦軸の値は小さくなる)
ν の分布のグラフでは、分布の頂点は区画 4 にありましたが、
区画 3, 4, 5のあたりが引き伸ばされているために、
λ の分布のグラフでは、分布の頂点が 区画 7 に移動していることに注目してください。
分布の横軸が変わると、分布の頂点も変わるのです。
よって、ν で見たときに最も多く含まれる電磁波(νmax)と、 λ で見たときに最も多く含まれる電磁波(λmax)は
一致しないことになります。