解答
角運動量と慣性モーメント
「動いている物体は動き続けようとする」慣性の法則は運動量を使ってよく説明されます。運動量 p は p = mv 、すなわち (質量) × (速度) という量です 1)p = mv において、p と v はベクトル量です(p = mv) 。大きさの単位は kg m s−1, または N s。 。
外から力が加わらない限り、衝突等が起こっても運動量の和は一定に保たれます。
また、運動エネルギー E = (1/2)mv2 は、運動量 p を使って
と書くことができます。
「動いている物体は動き続けようと」するのと同様に、「回っている物体は回り続けようと」します。このような回転運動で基本量となるのが 角運動量 L です。角運動量 L は L = Iω 、すなわち (慣性モーメント) × (角速度) という量です 2)角運動量 L は実際はベクトル量で、外積を使って L = r × p と表されます。大きさの単位は kg m2 s−1, または N m s。 3)角速度 ω は 1 秒あたりの回転角度です。単位は rad/s、またはラジアンを無次元とみて s−1 。速度 v と 回転半径 r を使うと、ω = v/r 。。
運動量と同じように、外から力が加わらない限り、衝突等が起こっても角運動量の和は一定に保たれます。
ここで、質量の代わりに出てくるのが 慣性モーメント I です。I は回転半径を r として、
と定義されます。同じ質量でも、回転半径 r が大きくなると 慣性モーメント I は大きくなります。フィギュアスケーターの回転で、手を伸ばした回転(r が大きく、慣性モーメント大きい)から手を縮めると(r が小さくなり、慣性モーメントが小さくなる)、回転速度(角速度)を速くなります。
回転に伴う運動エネルギーは、角運動量 L と慣性モーメント I を使って、運動量の時と同じ式の形 K = L2/2I と書くことができます。
換算質量
2 原子分子のような、2 つの質点ががっちりつながっている物体の回転を考える際に登場するのが換算質量 μ です。
左図(A)のように、質量 m1, m2 の 2 つの質点が距離 r でつながっている場合、両者は重心を中心として回転します。
これを左図(B)のように、一端を固定して回転半径 r で回転する 1 個の質点と比較します。
導出は省きますが、この 1 個の質点の質量 を
…(5.22′)とすると、上図 (A)と(B)は同じ 慣性モーメント I を持つことになります。
このように、換算質量 μ を使うことで、2 個の質点の回転運動を 1 個の質点の回転運動に置き換えることができます。
次の問題で見るように、同じ質量 m の 2 個の質点の場合、換算質量 μ は m/2 となります。
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脚注