5-7 水素原子の換算質量

計算

というわけでようやく計算ですが、式(5.22′)に値を代入すると

\displaystyle \mu = \frac{m_1 m_2}{m_1 + m_2} = \rm \frac{(9.109 390~\times~10^{-31}~kg)(1.672673~\times~10^{-27}~kg)}{(9.109 390~\times~10^{-31}~kg)+(1.672673~\times~10^{-27}~kg)} \\ \\ = 9.104432~10^{-31}~kg

となります。これは 電子の質量とほとんど同じで、その差は 0.054% です。(換算質量の方がわずかに小さい)

これはプロトンの方が電子に比べて質量がずっと大きいので、重心(回転中心)がプロトンにとても近いところにあるためです。このように 水素原子の回転を考える場合、プロトン(原子核)は固定していると考え、換算質量 μ ではなく電子の質量 me を使ってほぼ問題がないことがわかります。


換算質量 μ の考え方は量子論特有のものではなく、古典論でも全く同じように使うことができます。