信州自然誌科学館2008
自然と遊ぶ

同窓会長あいさつ

「自然と遊ぶ」という言葉に無上の贅沢を感じる

「自然誌科学館」の開催おめでとうございます。
毎年のことながら、「自然誌科学館」が近づくと松本平の夏と山と川を思い出します。
今年の「自然と遊ぶ」という題は、どういうわけか、岩の上で寝ころがって雲の流れを追っている内に本格的に寝てしまった時の背中のあたたかさを思い出させました。何度となく行き来した徳沢の平や横尾の橋も思い出深いものです。さわやかな初夏の風の中をのんびり歩く日もありましたし、雨の中を最終バスめざして早足でたどったこともありました。
そうした大自然の中でのことだけでなく、赤黒くうれた桑の実やリンゴの木のまだ青い実、飛びまわるハチの羽音、女鳥羽川のもぐり込んでいた水が横からの合流もありながら水量を急に増やしてゆく様、まだ夏なのに赤トンボが夕暮れの日をあびながら土管にビッシリととまって様子など、本当にいろんな事に心うばわれたことを思い出します。
そうした一つ一つはそれだけの事ですが、知らない内にそれらの事柄が一つのまとまりを見せ、自然に対する認識をつくっていき、そして未だ体験したことのない事についても、それなりの予想や考えをもたせるようになっていくのだ、ということを「自然と遊ぶ」という言葉は、私にあらためて思い起こさせました。
「自然と遊ぶ」という言葉から人それぞれに思い描くものがあると思いますが、実際に参加した人にとって、新しい描き方、色のつけ方を増やしていくことができるなら、この催しは大成功というものです。
「自然誌科学館」が豊かで一層深まりをもった催しとなりますことを心から祈っています。
準備と運営をなさっているすべてのスタッフの方々、裏方でささえている多くの方々の御努力に心から敬意を表します。
2008年7月10日
信州大学理学部同窓会長 森 淳