解答
この問題のψ(x)について
ψ(x) に 含まれる x2(a–x)2 を図示すると
というような形状である。左端 (x = 0) と 右端 (x = a) で 0 になっており、ψ(0) = 0, ψ(a) = 0 という境界条件を満たす関数の一つである。
左端、右端では傾きも 0 になっており、sin(nπx/a) より波動関数としてふさわしいかもしれない。
は規格化係数であり、 になっている。
この関数について、エネルギーの測定値のばらつき(分散) を求めるというのがこの問題の趣旨である。
計算
エネルギーを求める演算子(ハミルトン演算子)
…(2)を用いて、
…(3) …(4)
を計算する。
ポテンシャルエネルギーについては特に触れられていないので、
(2)式中の 、
(4)式中の である。
(3), (4)式中で、演算子 は、右側の だけに作用することに注意しよう。
ハミルトン演算子には 2階微分が含まれているので、あらかじめ x2(a–x)2 の微分を計算しておこう。
まず展開して
1階微分、2階微分 … と順に4階微分まで求めておく。
さて、まず(3)式について計算する。
計算は少し面倒だが、実際にやってみると
とシンプルな答えが得られる。
続いて(4)式について計算する。
得られた値から 分散 を計算すると
となる。
教科書本文で出てくる ψn(x) = (2/a)1/2 sin(nπx/a) では は 0 になるのに対し、この関数では 0 にならない。
1 次元に閉じ込められた粒子が (1) 式のような波動関数で表される状態にあるとすると、エネルギーの測定値の平均値は だが、測定のたびに異なる値が得られることを示している。
次ページでもう少し考えてみよう。